検察審査会
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検察審査会(けんさつしんさかい)とは、選挙権を有する国民の中から無作為に選ばれた11人の検察審査員が、検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項および検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項を扱う機関である。検察審査会法に基づき設置される。
[編集] 概要
日本においては告訴された事件について裁判所へ訴えを起こす(公訴を提起する、起訴する)権限は検察官が独占している。従って、犯罪被害者が特定の事件について裁判を行って欲しいと希望しても、検察官の判断により公訴が提起されない(不起訴処分になる)ことがある。このような場合に、その事件を不起訴にするという検察官の判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査するのが検察審査会の役割である。検察審査会は、このような求め(不服申立手続き)に応じて審査を行い、「不起訴相当」、「不起訴不当」、「起訴相当」のいずれかの議決を行い、検察に通知する。そのうち、不起訴不当と起訴相当の議決が成されたものについては、検察は再度捜査を行い起訴するかどうか検討しなければならない。しかし、検察審査会が行った議決に拘束力はなく、審査された事件を起訴するかの判断は最終的には検察官に委ねられるため、不起訴不当や起訴相当と議決された事件であっても結局は起訴されない場合も少なくない。ただし、司法制度改革の一環として検察審査会法を改正するための法律(平成16年法律第84号)が2004年5月28日に公布され、今後は「同一の事件について起訴相当と2回議決された場合には必ず起訴される」こととなり、法的拘束力を持つことになった(2009年5月27日までに施行するよう定められているが、裁判員制度開始に合わせることが予定されており、期日は未定)。
なお、司法に一般国民の常識を反映させるという目的により、検察審査員は選挙権を有する国民の中から無作為に選ばれる。これには法律で定められた場合を除いて職業や年齢による区別はなく、2009年5月までに開始される裁判員制度と同様に原則として辞退することができない。検察審査員は11名で構成され、任期は6か月、そのうち半数が3か月ごとに改選される。審査された事件から得られた情報を他に漏らすことは終生禁止され、違反した場合は罰則が適用される。検察審査会は全国に200か所あり、地方裁判所と地方裁判所支部の置かれている場所に設置されている。
[編集] 関連項目
- 事件・市民の判決(1996年にテレビ東京で放送された、検察審査会を舞台にしたテレビドラマ)
- 正塚の婆さん(1963年にTBSで放送された、検察審査会を舞台にしたドラマ)
- 裁判員制度(辞退することが事実上不可能な点と守秘義務を終生背負う点で類似。)
[編集] 外部リンク
- 検察審査会 - 裁判所公式サイト
- 検察審査会 - 仙台市青葉区選挙管理委員会
- 検察審査会法 - e-Gov 法令データ提供システム
- 司法制度改革推進本部 - 首相官邸