次元
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次元(じげん、dimension)は、空間の広がりをあらわす一つの指標である。座標が導入された空間ではその自由度を変数の組のサイズとして表現することができることから、要素の数・自由度として捉えることができ、数学や計算機において要素の配列の長さを指して次元ということもある。自然科学においては、物理量の自由度として考えられる要素の度合いを言い、物理的単位の種類を記述するのに用いられる。
転じて次元は世界の構造を意味することがある。
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[編集] 独立要素数
[編集] 空間・時空
私たちの住む世界は共時的には3つの向きへの広がりをもった実3次元的な空間だととらえられる。また、時間は一方向的な実1次元的物理量だと考えられ、ニュートン力学では空間と時間は相互に独立な物理概念として取り扱われる。一方、相対性理論では光速を通じ時間の尺度と空間の尺度とは結びつけられ、符号(3, 1)の計量が入った実4次元の空間(ミンコフスキー空間)において現象が記述される。ただし、ミンコフスキー空間においても依然として時間軸は他の3つの空間軸とは性質の異なるものとしてとらえられることに注意しなければならない。
[編集] 配列
コンピュータ言語において添字で指定できる一連の変数を配列(配列変数)と言うが、ひとつの配列で独立して指定できる添字の個数を配列の次元と言う。 配列参照。
[編集] 次元論
数学では、次元は様々な数学的対象について異なる方法で定義されている。例えば、
- ベクトル空間の次元 - ベクトル空間において、異なる要素同士が一次独立(線型独立)なベクトルからなる集合の最大要素数。
- 多様体の次元
- 複体のホモロジー次元
- 環のクルール次元
- ハウスドルフ次元 - フラクタルも参照。フラクタルで定義される次元は0以上の実数であり、整数とは限らない。
などが挙げられる。次元の概念は多様であるが、基本はユークリッド空間 Rn の次元が n となることであり、局所的に Rn である空間の次元が n に一致することである。
現代的な次元の概念は、古典的な図形の幾何学がユークリッド空間内の点集合論として一般化される19世紀末から20世紀初頭に掛けて、ポアンカレやブラウワーを萌芽としてメンガーやウリゾーンらの手によって可分な距離空間に対して定式化された。区別のために被覆次元と呼ばれるこの次元の概念はルベーグによれば「可分距離空間 X の任意の有限開被覆に対して高々次数 n + 1 の細分がとれるとき、X の次元は高々 n である」として述べられ、X が高々 n 次元かつ高々 n − 1 次元でないとき X は n 次元であると定義される。たとえば被覆次元が 0 であるというのは、各点が開かつ閉なる近傍を持つことであると述べることができる。そして古典的な意味で次元 n であるユークリッド空間 Rn は被覆次元の意味でも n 次元になる。
[編集] 物理量の種類
自然科学では物理量を長さ、時間、質量といった基本量とそれ以外の二次的な量とに区別し、二次的な量を基本量の冪積の定数倍として表すとき、その基本量の指数の集まりとして次元が定義される。ここで言う定数は物理定数ではなく数学的な意味での定数であり無次元量と称される。例えば
となる量 q に対して、その次元を [q] のように表すと
である。ここで、M = [mass], L = [length], T = [time], ... と置いて、物理量 q の次元式は MmLlTt… であるなどという。
考えている系の中で適切に基本量を決定すれば、一つの物理量に対して一つの次元が与えられる。一つの物理量に複数の単位が与えられているとき、それらは基準とする大きさのみを異にし、したがって適切な無次元量を係数として与えれば互いに取替えが可能である(そこで物理量の代わりに物理量の単位を使って次元式を考えることもある)。例えば長さの次元を持つ物理量の単位にはメートルやインチ等があるが、1 インチは 0.0254 メートルにほぼ等しい。一方、見かけ上異なる物理量が同じ次元を持つならば、その物理的本質は同じであると見なされる。例えば仕事とエネルギーはどちらも等しく次元式 ML2T−2で表される次元を持つので、仕事とはエネルギーとは互いに他の変換されたものであると理解される。
次元が同じ物理量では加法や減法を考えることができ、計算結果はやはり同じ次元の物理量になるが、異なる次元の量を加減することは意味を成さない。一方、物理量同士の乗法や除法を施すときは、結果は別な次元の物理量になる。いずれにせよ物理量からなる等式の両辺の次元は等しいのであり、異なる次元をもつ物理量同士の等式は意味を持たない。いくつかの系がことなる基本量によって記述されている場合に、ある法則や方程式などから見かけ上の次元がことなる等式が現れるならば、それは基本量と考えてきた量たちの間に変換則が成り立つことを示唆しており、またそのような変換則を仮説に立てることはそのような等式の存在を予言するものである。このようにして(未知の)物理量の次元を決定することを次元解析と呼ぶ。
ニュートンの運動方程式 F = km a (力 F, 質量 m, 加速度 a, また k は無次元量)を例にとると、見かけ上右辺は質量と加速度の積の形をしており、次元式 [F] = [m][a] = M · LT −2 が成り立つ。質量、長さ、時間をそれぞれ kg, m, s を単位として測るとき、力の単位は kg·m/s2 の定数倍で測ることができることが方程式から分かる。特に方程式における定数 k を 1 に取れる力の単位として N = kg ·m/s2 が定義される。
[編集] 転用表現
[編集] 観点・尺度
あまりにもかけはなれた考え方、技量、性質を形容する際に「次元が違う」と表現することがある。特に、量の違いではなく質の違いがあることを指して「まったく別の要素(次元)を取り入れないと理解できない」ということを意味することが多い。かけはなれていること意味する「次元」は、多くの場合で「世界」に置き換えが可能である。(例: 世界が違う)
[編集] 世界
SFやファンタジーなどの創作作品においてしばしば用いられる「次元」は、それぞれの世界に働く根源的な要素の集まりのことを指すことが多い。転じて、ある根源的な要素を基調とする世界のことも次元と称されることもある。
根源的な要素という意味の次元には、ある世界に存在しないまったく異なる要素も含まれる。そのような要素を持っているいる世界と持っていない世界とでは、世界の仕組みや過ごし方がまったく異なる。このため、世界の根源をなす要素が異なる(異次元の)世界同士は、異次元世界(または単に「異次元」)と呼称される。例えば、我々が過ごしている3次元空間の世界では、空間内を動くことによって移動が行われるが、魔法などによって移動が行われる世界では、我々の過ごす世界と根源となる要素が大きく異なっていると考えられる。このような場合において、「双方の世界は、異次元である」「双方は、異次元世界である」などと表現する。
また、異次元世界(異次元)という用語は、「異なった根源的な要素による世界」という意味の転用として、別世界、別天地、異世界、パラレルワールドなどとほぼ同義に用いられる。
[編集] 架空世界・架空人物
次元という語は、視覚メディアなどで提示される架空の世界を現実の世界から区別する用語として使用されることがある。具体的には、奥行き情報を込めずに構成される架空世界を「2次元世界」、物理空間における現実世界を「3次元世界」と呼称することがある。
また、漫画やアニメーションのキャラクターなど、伝統的に平面的なメディアの上で視覚化されてきたキャラクターを「2次元キャラクター」などと呼ぶことがある。ただし、3次元コンピュータグラフィックスなどの3Dモデリング(3次元モデリング)によってヴィジュアルを製作されたキャラクターについては、「2.5次元キャラクター」などと呼ぶ。あるいは、3次元によるモデリングであることを強調して「2次元キャラクター」と呼ばないこともある。
これに由来して、漫画やアニメ、ゲームなどに登場する架空のキャラクターにのみ興味を持ち、現実の異性に興味を示さない人間を揶揄して「2次元世界の住人」「2次元人」などと呼ぶ事がある(あるいは自虐的に当人がそう自称する事もあり、特にアダルトゲームの愛好者にその性向が多く見られる)[要出典]。
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