ニュートン力学
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ニュートン力学(ニュートンりきがく、Newtonian mechanics)は、アイザック・ニュートンが創始したとされる力学の一分野で、解析力学などとあわせて古典力学と呼ばれる。
質点の運動の理論として、特殊相対性理論は速度が光速よりも十分遅いときニュートン力学で近似でき、量子力学は運動量が十分に大きい場合にニュートン力学で近似できる。またニュートン力学に含まれることもあるニュートンの万有引力理論は、重力が弱い場合の一般相対性理論の近似である。
ニュートン力学はわれわれが日常扱うスケールでの有効理論にすぎないが、日常的な運動の範囲で完結する問題はニュートン力学での扱いで十分説明できる。
目次 |
[編集] 概要
[編集] プリンキピア

ニュートンは石ころから天体の運動までを説明する運動の哲学を発見し、それをプリンキピア "Principia" に記した。ガリレオや、ティコ・ブラーエ、ケプラーなどにより定量的に発見・研究されてきた物理を、ニュートンが数学的記述を以ってまとめたものとする歴史研究者もいるようである。当時、数学といえば幾何学であり、プリンキピアでは現代において用いられている数式ではなく、すべて作図による説明がなされている。
[編集] 運動の法則
ニュートン力学では、物体は質点すなわち質量を伴った数学的な点の集まりとして扱われる。各質点は、力の影響を受け、ニュートンの三法則にしたがい運動する。
- 第1法則(慣性の法則)
- 外力が加わらなければ、質点はその運動(静止)状態を維持する。(力を加えられない質点は等速度運動(等速直線運動)を行う)
- 第2法則(ニュートンの運動方程式)
- 質点の運動(運動量)の時間的変化は、それにかかる力の大きさに比例し、力の方向に作用する。
- 質点の運動(運動量)の時間的変化は、それにかかる力の大きさに比例し、力の方向に作用する。
- 第3法則(作用・反作用の法則)
- 二つの質点 1,2 の間に働く力には一方の質点に作用する力だけでなく、他方への反作用の力がある。これらの力は大きさが等しく、方向が逆である。ただし、方向が逆だと言っても、
と
が一直線上にあるとは限らない。
- 二つの質点 1,2 の間に働く力には一方の質点に作用する力だけでなく、他方への反作用の力がある。これらの力は大きさが等しく、方向が逆である。ただし、方向が逆だと言っても、
[編集] 古典力学
ニュートン力学はラグランジュ形式やハミルトン形式でも表される。ニュートン力学は相対論とともに量子論的効果を考慮しないという観点から古典力学と呼ばれる。また、相対論や量子力学などの20世紀に花開いた現代物理学を含まないという観点からニュートン力学(およびその解析力学的表現)のみをさして古典力学と呼ぶこともある。