歌舞伎舞踊
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歌舞伎舞踊(かぶきぶよう)
(1)歌舞伎演目のなかに含まれる劇中舞踊。もしくはそれが独立したもの(例 『娘道成寺』)。
(2)歌舞伎演目のうち舞踊的な要素の特につよい作品(例 『勧進帳』)。
(3)独立の舞踊演目として行われるもののうち、その初演が歌舞伎役者によるものであったり、源流が歌舞伎にあるなど、歌舞伎と縁の深いもの(例 『隅田川』)。
以上を総称して歌舞伎舞踊の名がある。現在、歌舞伎舞踊を演ずるのは、歌舞伎役者と日本舞踊家である。重要無形文化財(各個認定)であり、技能保持者は人間国宝と俗称される。
[編集] 歌舞伎舞踊の用語
- 所作事(しょさごと)
歌舞伎演目中の舞踊的な部分を指す。大きく舞踊そのものと舞踊的な演劇とに区分することができ、伴奏が、前者の場合には長唄、後者の場合には義太夫節常磐津節清元節などの浄瑠璃となる。ただし両者のあいだの明確な区分は不可能であり、なかには『娘道成寺』のように途中で地方(伴奏)が義太夫節から長唄に変る例もあり、境界線はきわめてあいまいである。なお浄瑠璃による所作事を「浄瑠璃所作事」という。
元来、浄瑠璃所作事は、数段形式の歌舞伎狂言のうちの一段として作られたもので、その源流は丸本歌舞伎、文楽にある。現行の演目でいえば『仮名手本忠臣蔵』八段目(「道行旅路の花嫁」)や『義経千本桜』の「道行初音旅」などがこれにあたる。その後、この形式が歌舞伎のなかで消化されてゆくにしたがって、もともと演目全体がひとつの舞踊もしくは舞踊劇として作られるものが出現した。例えば『六歌仙容彩』『三社祭』のような、現在歌舞伎芝居の一部分としてではなく独立の舞踊として歌舞伎の演目になっているものがこれである。
- 「娘道成寺」、「鷺娘」など。
- 変化物(へんげもの)
一人の踊り手が早替りで次々と異なる役柄に扮して踊るもの。江戸後期に大いに流行した。役柄ごとに独立した一曲となっている。曲数により、○○五変化、○○七変化などと呼ぶ。一曲ごとに衣装・背景・伴奏音楽の種類が変わるため、見ていて面白い。変化物の誕生にともなって、役者に振りをつけて教える振付師も誕生した。
- 「藤娘」など
- 松羽目物(まつはめもの)
明治時代に演劇改良運動によってできた、能楽の題・内容と様式を借用した舞踊劇。
[編集] 歌舞伎舞踊の化粧
おおむね平面的で様式美を強調する。娘役を例に取ると、洗顔の後、鬢付け油を顔全体にすり込む、眉を硬い鬢付け油で塗りつぶす、胸、首、襟足に練りおしろいを塗り、スポンジで伸ばす、顔に練りおしろいを塗り、スポンジで伸ばす、赤でノーズシャドー、アイシャドー、ほほ紅を差す、目じりに紅を差す、黒のアイライナーを太く入れる、眉を、先ず赤で、続けて黒で描く、真っ赤な口紅を、輪郭をはっきり描く、という具合。他の役柄も、基本は同じ。
[編集] 関連項目
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