河合幹雄
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河合幹雄(かわいみきお、男性、1960年-)は、日本の法学者。現在は、桐蔭横浜大学法学部法律学科の教授。一橋大学法学部客員教授。専門は、法社会学。
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[編集] 来歴
1960年に生まれる。1982年に、京都大学理学部生物系を卒業。卒業後、同大学の文学部で社会学を学び、法学部大学院で法社会学を専攻。1991年に京都大学大学院法学研究科博士課程を修了。パリ第二大学への留学の経験もある。京都大学法学部の助手を経て、現職。スイスのチューリッヒやフランスのパリなど欧州各地での滞在経験も豊富。
[編集] 活動
現在は、法社会学の視点から「社会統制と法」や「個人主義と法」をテーマとして研究及び執筆活動を続けている。フランスへの留学経験及び滞在経験もあることから、フランスの法制度や犯罪情勢にも通暁している。
2004年に岩波書店から刊行された「安全神話崩壊のパラドックス~治安の法社会学~」で、犯罪白書などのデータに基づいて、日本での「治安の悪化」や「犯罪の急激な増加」の誤りを指摘して反響を呼んだ。同書の中で、戦後日本の高水準の治安維持のメカニズムや個人主義化が進む現代日本において必要とされる犯罪対策についても指摘している(同様な指摘は、法学者の浜井浩一も行っている)。その上で、ガーディアンエンジェルスを筆頭にNPOなどのセミフォーマルな犯罪統制について言及しているものの、その主張には小宮信夫らが唱道する環境犯罪学と通底している箇所も多い。同書は、2005年に日本法社会学会の第六回奨励賞を受賞した。
余談だが、河合幹雄の父親は日本におけるユング心理学の紹介者としても知られる河合隼雄(前・文化庁長官)であり、叔父は霊長類の研究で知られる河合雅雄である。
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『安全神話崩壊のパラドックス――治安の法社会学』(岩波書店, 2004年)
[編集] 共著
- (辰野文理・杉原弘泰・紀藤正樹・中山善房)『刑事裁判を見る目に確かさを』(成文堂, 2005年)
[編集] 共編著
[編集] 訳書
- アントワーヌ・ガラポン『司法が活躍する民主主義――司法介入の急増とフランス国家のゆくえ』(勁草書房, 2002年)