無洗米
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無洗米(むせんまい)とは、とぎ洗いの手間を省き袋から出して水を加えて炊くだけで食べられるよう、糠をあらかじめ精米工場で取り去る加工をした米のことである。とぎ汁が出ないため環境にやさしいとされている。
無洗米ブームは首都圏の生協より広まったとされる。現在、多くの社員食堂やほっかほっか亭、CoCo壱番屋などの飲食店でも使われている。理由は洗う必要のない便利さが主な理由である。洗う時間や使用水量を削減できることから、経済的な点から採用されている。現在では一般家庭への普及も進んでいる。
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[編集] 規格
「無洗米の信頼を得るため」というふれこみで、2000年(平成12年)10月22日に、BG無洗米を製造している米穀業者らが中心となって全国無洗米協会を設立。統一規格を作り、認証を得た無洗米にはキャラクターである「えこめちゃん」の認証マークを交付している。
無洗米の市場のうち、東洋精米機製作所の開発した「BG精米製法」で作られるBG無洗米がトップシェアを誇り、事実上無洗米のスタンダードとして認知されつつある。 無洗米の品質測定基準である「濁度(だくど)」も、BG無洗米が最も低い。
[編集] 製法
- BG精米製法
- 白米表面にある「肌ヌカ」と呼ばれる付着糠の粘着性を利用し、くっつけてはがす事で取り除く。BGとはBran(糠)Grind(削る)の頭文字である。製造工程上、水洗いもせず薬品等化学的な処理を施すことがないため、安全で無駄がない。以前は技術開示がないため様々な風評がささやかれていたが、2004年に無洗米機を一般公開、特許申請を行いほぼ完全に公開した。しかし、実際には各精米工場で稼働している機械は未だに東洋精米機の一部技術者以外は入ることも見ることも出来ない。
- 水洗い乾燥法・湿式法
- 水洗いで糠を除去する方法。米を一度濡らし乾燥させるため、ひびが入ったり品質が安定しない欠点がある。また大量の水を使用するために、汚水処理が必要となってくる。
- NTWP(ネオ・テイスティ・ホワイト・プロセス)加工法
- 湿式法の一つで、水を使い米表面の糠を軟らかくした後、熱付着剤としてタピオカ(中華料理やデザートに用いる)に糠を付着させて取り除く方法。高級食材であるタピオカの加工コストが高いという欠点がある。
- 準無洗米
- 研米機などで糠の一部を取り除いたものだが、多くの糠が残るため、無洗米と呼べるか難しい。そのため、業界ではこうよばれる。
[編集] 歴史
昭和初期ごろには精米の無洗化処理を目的とした研米機が開発されていた。なめし皮やポリウレタンによる研磨方式、静電気を利用した静電分離方式のほか、精米機に噴風装置を組み込んだものもあった。一部は陸軍で「不洗米」として試用されたが、普及には至らなかった。1977年(昭和52年)、サタケが無洗米時代の先駆けとしてクリーンライト加湿精米装置を開発したが、実用に耐えるものではなく、必ずしも無洗米の実現という目的を達成していたとはいえない。 1991年(平成3年)頃に新たな無洗米製造機が開発され、普及が進んだが、同時期にBG無洗米が開発され、事実上BG無洗米がここまでの無洗米市場を作り上げたと言える。なお、無洗米は1955年(昭和30年)ごろまでは淘(と)がない米という意味で不淘洗米と呼ばれることもあった。
[編集] 特許
無洗米製造機(水洗い方式)に関して特許係争があったが、2004年「洗い米特許」は無効となった。
[編集] 外部リンク
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