特別取締役
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特別取締役(とくべつとりしまりやく)とは、日本の会社法上の制度のこと。重要財産委員会(後述)に代わって導入された。「重要な財産の処分及び譲受け」(362条4項1号)、「多額の借財」(362条4項2号)の決議について、取締役会としての決議をなすことを任務とする。
目次 |
[編集] 設置の条件
[編集] 設置の効果
- 通常の取締役会の決議要件(369条1項)の適用が排除され、373条1項の決議要件が適用される。
- 373条1項の決議が行われる際は、特別取締役以外の取締役の出席を必要としない。
[編集] 登記
特別取締役による議決の定めがあることや、特別取締役の氏名は登記事項となっている(911条2項21号イ、ロ)。
[編集] 重要財産委員会
重要財産委員会(じゅうようざいさんいいんかい)とは、かつて認められていた、重要な財産の処分及び授受と多額の借財について、取締役会に代わって決定をすることができた、日本の株式会社の機関の一種である。会社法施行後の現在においては、上述の特別取締役制度に移行している。
株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)上の会社の機関であり、2003年4月から利用可能となった。株式会社では、本来、重要な財産の処分及び授受と多額の借財については、取締役会で決定しなければならない。しかし、これらの事項は緊急な決定が必要な場合が多い。そこで、機動的な会社経営を可能とするため、重要財産委員会が取締役会から委任を受けて決定することができるとされた。重要財産委員会を設置できるのは、一定の要件を満たした会社だけである。もっとも、設置するか否かは任意である。一定の要件とは、商法特例法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)等であること、取締役の人数が10人以上であること、1人以上の社外取締役がいることなどである。なお、委員会等設置会社では重要財産委員会を設置できない。設置のためには、定款変更などは不要であり、取締役会の決議だけでよい。重要財産委員会は3人以上の取締役(重要財産委員)により構成され、社外取締役の参加は義務付けられていない。
なお、この制度は使い勝手がよくないという指摘があり、2005年に制定された会社法(2006年5月施行)においては、この制度は廃止され(=重要財産委員会を独立した機関として位置づけされることはなくなり)、特別取締役の制度に変更された(それまで重要財産委員であった者は、会社法施行後は、任期満了まで特別取締役とみなされる)。
[編集] 関連項目
- 会社法
- 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律
- 常務会
- 経営委員会