白魔道士
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白魔道士(しろまどうし)は、スクウェア・エニックスのゲームソフト・ファイナルファンタジーシリーズ(以下、FFシリーズ)に登場するキャラクタークラスや肩書きの一つである。FFシリーズでは、キャラクタークラスをジョブという。
『FFII』では白魔導師、『FFIII』、『チョコボと魔法の絵本』では白魔道師、『FFX-2』では白魔導士と表記している。回復・援護を主体とする白魔法とよばれる魔術を使う。対の存在として黒魔道士がいる。
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[編集] 歴史
『ファイナルファンタジーIII』などのジョブシステムがあるシリーズではジョブの一つ。
チョコボシリーズなどでは、シロマや、単に白魔道士とだけ呼称するなど、一人の人物の固有名詞のように扱われることがある。
チョコボシリーズなどではピンク色の髪をした白魔道士のシロマや、単に白魔道士とだけ呼称する人物が、スターシステム的なキャラクターとして登場する。彼女らが女性であることは、ジョブチェンジシステムのない作品で女性の白魔道士や回復を得意とする女性キャラクターがよく登場している点や、性別の設定されていない『FFI』での白魔道士が女性の様に見える点、『FFIII』での導師が女性のような姿である点など、FFシリーズでは伝統的に白魔道士には女性的なイメージがついていることや、同じくチョコボシリーズなどでは対となる黒魔道士が男性的に描かれていることに理由があるだろう。相手の体力を回復させるという献身的なイメージが、女性の多い看護士のイメージと重なることも理由にあると思われ、回復を主体に扱うキャラクターが女性であることは、FFシリーズに限らずあらゆるメディアの作品で多く使われている。白魔道士ではない白魔法を扱うFFシリーズのキャラクターにも女性は多い。ただしFFシリーズで一番最初に性別が確定した白魔道士として登場したキャラは『FFII』のミンウと言う男性であり、必ずしも女性ばかりと言うわけではない。
[編集] 容姿
基本的に、袖や足元、フードの顔の周り部分に赤いギザギザ模様が入った白いローブを身につけている。フードはキャラクターによって被る者と被らない者がいる。また、黒魔道士とは異なり素顔は晒している。
武器は、魔道士系ジョブの例に漏れず、力が弱く、ロッド、メイス、杖、フレイルなどの軽い打撃武器を好む。しかし、白魔道士は黒魔道士よりは力が強いが、ジョブ特性から刃物を装備する事を嫌う傾向にあり、黒魔道士すら装備可能な短剣を装備する事が出来ない。これは装備することが出来ないより、装備しないといった方が実態には近い。
ただし、一部作品では上記とは全く異なる格好の白魔道士も登場する。
[編集] 作品ごとの個性
- ファイナルファンタジーシリーズ全般
- 白魔道士であるキャラクターやジョブは、「白魔法」を扱うことが前提にあるため、白魔法が使えない白魔道士はいない。白魔道士は主に「回復」に関する魔法やキャラクターを強化する魔法が多い。武器は、基本的に杖しか装備できないが、作品によっては与一の弓やニルヴァーナのように強力な武器も存在する。
- ファイナルファンタジー
- 初めに「白魔術士」があり、上位の「白魔道士」になることができる。白魔法はレベルが8まであり、白魔術士のままだと一部の白魔法が扱えない。後のFFシリーズの多くでは白魔法「ケアル」に備わる能力となっているものが、独立した一個の魔法として存在している。一人のHPを回復する「ケアル」系統、全体のHPを回復させる「ヒール」系統、アンデッドの性質を持つモンスターにダメージを与える「ディア」系統がある。
- ファイナルファンタジーII
- 「ケアル」の持つ能力が、「ヒール」と「ディア」を内包するものになる。また、最も強力な白魔法とされる「アルテマ」が初めて登場する。なお、『FFII』の白魔導師は、当初からアルテマ以外の白魔法を全て覚えているミンウの肩書きであり、他のプレイヤーキャラクターと同じように、白魔法を忘れさせることが出来る。黒魔法を覚えさえることも出来るため、全ての白魔法を黒魔法に置き換えることも出来る。
- ファイナルファンタジーIII
- 風のクリスタルから得られるジョブ。土のクリスタルで得られる上位のジョブ、「導師」がある。白魔法はレベルが8まであり、白魔道士はレベル7まで扱える。飛行系特攻を持つ攻撃タイプの白魔法「エアロ」「エアロガ」「トルネド」が使える。トルネドはレベル8であるため導師でしか扱えない。『FFIII』までの攻撃タイプの白魔法は「ホーリー」「アルテマ」「ディア」と少数であり、「エアロ」系統、「トルネド」を含め、後に白魔法として残ったものは「ホーリー」だけである。なお、『FFIII』には「エアロラ」は登場していない。
- ファイナルファンタジーIV
- 白魔道士であるローザの能力「祈り」が登場する。MPを使用せずに味方全員のHPを少量回復させることが出来る。『ファイナルファンタジーIV アドバンス』では装備品によって「ケアルダ」と同様の効果で、稀に白魔法「エスナ」がかかる「奇跡」に変化する。また、弓矢での攻撃が必ず命中する「狙う」も使える。白魔道士のポロムは、モンスターから逃げやすくなる「うそなき」が使える。また、黒魔道士のパロムと共同することで、「ふたりがけ」という魔法が使える。ふたりがけは、プチメテオ、プチフレアのどちらかが発動し、『ファイナルファンタジーIV アドバンス』では、装備品によってWメテオが発動する。
- ファイナルファンタジーV
- 風のクリスタルで得られるジョブ。白魔法はレベルが6まである。『FFIV』まで登場する白魔法「ケアルダ」が無くなる。「MP10%アップ」のアビリティを覚える。
- ファイナルファンタジーX-2
- 他の魔道士系ドレスと同様に「こうげき」のコマンドが無くなる。「祈り」が「祈る」と名称を変え再登場するほか、自分のHPを回復させる「元気」が使える。なお、「祈る」の名称は『FFVI』のバナンの特殊コマンドとして登場している。彼のジョブは「神官」であり白魔道士ではない。
- ファイナルファンタジーXI
- 最初から選べるジョブの1つ。戦闘不能時の経験値消失を90%還元する蘇生魔法の「レイズ3」や、味方のMPを回復させる「デヴォーション」などの専用魔法やアビリティが存在する。一部の前衛職を大きく上回る性能の武具も装備可能で6回もの攻撃を繰り出す「ヘキサストライク」という専用技もあるが、プレーヤー間でのパーティー行動は基本的に仲間の回復や補助に徹する風潮がある。クエストでは亡国タブナジアとの関わりが大きい。
- ファイナルファンタジータクティクス
- 攻撃を受けると自動的に白魔法「リジェネ」が掛かるリアクションアビリティ、「リジェネーター」や、装着するとダメージが軽減されるサポートアビリティ、「防御力UP」を覚える。そのほか、敵の固定ジョブであるハイプリーストが「白養魔法」と呼ばれる白魔法と変わらない魔法を使う。
- ファイナルファンタジータクティクスアドバンス
- 人間族、モーグリ族、ン・モゥ族、ヴィエラ族がなれるジョブ。魔法の威力が高まるが、MP消費も高くなるサポートアビリティ、「MPターボ」や、コンボアビリティ、「白コンボ」を覚える。
- チョコボの不思議なダンジョン2
- モンスターの住む村の中で唯一の人間、シロマが登場する。チョコボと行動を共にするときは、回復の能力でチョコボを助ける。一人で行動するときは、魔道士だけあって、「魔法の本」のレベルが初めから高く、「不思議なハネ」の所持数が豊富である。村には黒魔道士も住むが、彼らはモンスターの扱いなので人間ではない。他に、シドという人間が、村外に研究所を構えている。ピンク色の髪をしたシロマのキャラクターデザインは、以降のチョコボシリーズでも散見され、一種のスターシステム的なものになっている。
- チョコボレーシング ~幻界へのロード~
- 白魔道士をプレイヤーキャラクターに選べる。シロマのスターシステム的なものであるが、名前は明かされていない。種族は人間。ホーリーカーペットという空飛ぶ絨毯型のマシンに乗り、魔法の効果を受けつけなくするアビリティ、「バリア」を持つ。彼女のストーリーモードでのホームコースは、FFシリーズでは白魔法である「ミニマム」が初めて登場するコースであり、シナリオでは白魔法「ケアル」を使う。
- ダイスDEチョコボ
- チョコボの友達の白魔道士が登場する。チョコボシリーズでは珍しくシロマのスターシステム的なものではなく、目深に被ったフードからブロンドヘアーを覗かせるおっとりとした性格の女性である。友達魔石として召喚でき、召喚されたエリアを通ると状態異常を回復してくれる。
- はたらくチョコボ
- チョコボと魔法の絵本
- マリオバスケ 3on3
- 白魔道士のシロマが登場する。キャラクターデザインは『チョコボの不思議なダンジョン2』などのシロマを襲踏しているが、イメージが随分と異なるスタイルの良い勝気な女性として登場する。テクニックタイプのキャラクターで、スペシャルショットの白魔法「ホーリー」を操る。しかし、レインボーカップでは何者かに操られ、同じように操られたニンジャ、クロマと共にトロフィーを奪い、優勝チームをレインボーシップにおびき寄せて殺そうとする。黒幕はパワースターを闇で操って作ったダークスターを使ってシロマ達を闇で操っている。3人の能力は他のキャラクターより一段と高く、正にラスボスに相応しい能力を持っている。黒幕は全キャラクター21人の中でニンジャ、シロマ、クロマを除いた18人の中の3人だが、誰なのかは不明。勝つ事ができれば、ダークスターは浄化されてシロマ達の闇が消え去って仲間になり、プレイヤーキャラとして使う事ができる。また、ニンジャ、シロマ、クロマの誰かがチームに入った状態でエキストラマッチを開始すれば彼等に変身した黒幕と戦うことが可能。黒幕のニンジャ達のカラーはシロマ達のニューカラーでもある。
その他、シロマ型の白魔道士は、携帯電話のキャラ電にもある(名称は白魔道士)。
[編集] 優劣関係にあるジョブなど
『FFI』でゲーム開始時に選択できるジョブは、白魔道士ではなく、白魔術士である。白魔術士は、白魔法を扱う点で白魔道士と同一であるが、高いレベルの白魔法は扱えない。シナリオを進めると、白魔術士は白魔道士になることができる。(クラスチェンジという)。ゲーム開始時に白魔術士として設定したプレイヤーキャラクターは、クラスチェンジにより初めて高いレベルの白魔法が扱える。
『FFIII』でジョブチェンジシステムが登場したとき、白魔術士は消滅した。しかし、『FFIII』ではジョブの優劣概念は失っておらず、白魔道士より高いレベルの白魔法が扱えるジョブ、導師が登場する。
『FFT』では敵ユニットであるザルモゥのジョブ、「ハイプリースト」が登場する。ハイプリーストは「白養魔法」と呼ばれる高位の白魔法だけを扱え、技術的には白魔法と大差ないが、「闇の契約を行使する」という設定が白魔道士とは異なる。白魔道士が装備できない、棒を装備することが出来るのも特徴の一つである。
『チョコボスタリオン』で登場するシロマは、白魔道士のローブを看護服に見立てたものを着用しているが、彼女は「秘書兼チョコボの医師」であるため、白魔道士ではない。
[編集] 登場作品
- ファイナルファンタジーシリーズ
- 括弧内は職業が白魔道士のキャラクター名。※印のついている作品ではジョブチェンジシステムで括弧内のどのプレイヤーキャラクターでもなることができる。
- ファイナルファンタジー※
- ファイナルファンタジーII(ミンウ)
- ファイナルファンタジーIII※(ルーネス、レフィア、アルクゥ、イングズ)
- ファイナルファンタジーIV(ローザ、ポロム)
- ファイナルファンタジーV※(バッツ、レナ、ガラフ、ファリス、クルル)
- ファイナルファンタジーX-2※(ユウナ、リュック、パイン)
- ファイナルファンタジーXI※
- ファイナルファンタジータクティクス※
- ファイナルファンタジータクティクスアドバンス※(人間族、モーグリ族、ヴィエラ族、ン・モゥ族)
- その他の作品
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- チョコボの不思議なダンジョン2(シロマ)
- チョコボレーシング ~幻界へのロード~(白魔道士)
- ダイスDEチョコボ(白魔道士)
- はたらくチョコボ()
- チョコボと魔法の絵本(シロマ)
- マリオバスケ 3on3(シロマ)