盗掘
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盗掘(とうくつ)とは一般に、正当な権利がないにもかかわらず土地(私有地・公有地を問わず)を掘削し、そこから得られた財物(埋蔵物、動植物など)を窃取する行為である。
何が正当な「発掘」または「採掘」で、何を基準に「盗掘」とするかは、その時代、地域それぞれの倫理観、価値観、宗教観、地位や立場によって異なる。例えば遺跡の発掘について日本では「文化庁または教育委員会によって許可された学術調査である」「出土した埋蔵物は文化財として公的に管理する」といった条件によって盗掘と区別しているが、20世紀初頭のエジプトにおいてイギリスやナチス政権下のドイツが盛んに遺跡の発掘調査を行い、出土品を自国に持ち去ったことについて現地エジプトの国民から見れば盗掘であると判断することもできるであろうし、遺跡を掘り探し出土品を売り捌くことで生計を立てている村においては盗掘ではなく「仕事」であると主張されるであろう。
現代日本においては、公園等の公有地に移植された花卉類を持ち去る行為などが身近な「盗掘」である。売買や偏執的愛好家などによる窃取については理由が明らかであるが、ウミガメやカブトガニの卵など「食べるつもりなのかペットにしたいのか、自宅近くの浜辺にでも埋めるつもりなのか、子供のおもちゃのように与えられるまでは欲しがるが、取得すればすぐに飽きて捨てるような幼稚な精神の大人達なのか」と関係者の頭を悩ませる行為も多い。
野生ランや高山植物などの希少な植物をねらう盗掘も多い。群落全てを狙うような大規模なばあいもあり、一部の希少種ではかなりの個体が盗掘され絶滅寸前になっているものもある。この場合、「山野草の愛好家が直接盗掘する。」というケースもあるが、山取品として販売する業者の存在が大きい。また、インターネット上で「希少植物の自生地情報交換掲示板」などと称して盗掘を助長しているサイトの存在も環境保護団体等によって問題が指摘されている。日本では国内希少野生動植物種に指定されていても申請すれば法律上採取できてしまう。
[編集] 有名な盗掘者
[編集] 関連項目
- 埋蔵文化財
- 木乃伊取りが木乃伊になる
[編集] 関連書籍
- 「前方後円墳―その起源を解明する」藤田友治(編著) ISBN 4623031705 - 天皇陵の盗掘の歴史について触れている
- 「古代エジプト探検史」ベルクテール・ジャン(著)福田素子(訳)吉村作治(監訳) ISBN 4422210521 - エジプト盗掘の歴史