磐梯急行電鉄
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磐梯急行電鉄(ばんだいきゅうこうでんてつ)は、かつて福島県の川桁駅と沼尻駅とを結んでいた鉄道路線。1969年に全線が廃止された。一般には沼尻鉄道の名前で呼ばれていた。
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[編集] 路線データ
[編集] 歴史
当線は、沼尻鉱山で採れる硫黄の鉱石を運搬する目的で、日本硫黄によって敷設されたものである。1908年から609mm軌間・馬力動力による輸送を行っていたが、762mmに改軌して1913年5月8日に日本硫黄耶麻軌道部として開業した。1945年1月1日に地方鉄道に変更して日本硫黄沼尻鉄道部と改称した。
しかし、1960年代から硫黄酸化物による公害が問題化し原油からの脱硫が必要となったため、原油から除去した硫黄成分が安価に世に出回るようになって採掘では採算が取れなくなり、1964年には鉱山が閉山となった。そのため、観光鉄道に転換すべく、1964年6月1日に日本硫黄観光鉄道、1967年8月1日に磐梯急行電鉄に改称した(これは鉄道部門を分離したのではなく、日本硫黄自体が社名を変更したものである)。1968年10月14日、会社の倒産に伴い全線が休業、1969年3月27日に廃止された。「電鉄」と名乗っていたが、最後まで電化されぬままであった。
[編集] 駅一覧
川桁駅(かわげた) - 白津駅(しろづ) - 内野駅(うつの) - 会津下館駅(あいづしもだて) - 荻窪駅(おぎくぼ) - 白木城駅(しらきじょう) - 会津樋ノ口駅(あいづひのくち) - 名家駅(みょうけ) - 酸川野駅(すかわの) - 木地小屋駅(きぢこや) - 沼尻駅(ぬまじり)
[編集] 接続路線
- 川桁駅:磐越西線
[編集] その他
- 歌謡曲『高原列車はゆく』は、当線を歌ったものである。
- 映画『警察物語』(1955年日活)の舞台が川桁(劇中では福島県横宮町)で当線の列車が走るシーンが何度も見られた。
- 磐梯急行電鉄の倒産後、旧経営陣が磐梯電鉄不動産という不動産会社を設立した。磐梯電鉄不動産は1972年に和歌山県の御坊臨港鉄道を買収(存続会社は御坊臨港鉄道)し、紀州鉄道に改称している。
- 旧沼尻駅周辺には、沼尻駅前という地名が残っている。
- 猪苗代緑の村にはDC12 1とボサハ12・13が保存されている。
[編集] 参考文献
- 鉄道廃線跡を歩くII(宮脇俊三 編著、JTB、1996年)