秋田小1男児殺害事件
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秋田小1男児殺害事件(あきたしょう1だんじさつがいじけん)とは、2006年5月18日、前日の17日から秋田県山本郡藤里町で行方不明になっていた小学校1年生の男児が、隣の能代市で他殺体となって発見された事件。
目次 |
概略
- 2006年5月17日午後3時、被害に遭った男子児童YG君の友人が、約束の時間になっても、約束場所に現れないことが心配となり、自宅に行ったところ、YG君が直前に下校途中に別れてから、自宅に帰っていないことが分かった。
- 午後5時過ぎ、家族が秋田県警に捜索願を提出。
- 翌5月18日午後3時、能代市の市道脇でジョギング中の男性が遺体を発見。
- 秋田県警では、遺体の状況から殺人事件と断定し、捜査本部を設置。
- 司法解剖の結果、YG君の死因は首を絞められたことによる窒息死と判明。
- 6月5日、捜査本部は33歳の女・HS容疑者(4月に水死したHAさんの母親)を、YG君の死体遺棄の疑いで逮捕した。
- 捜査本部は、HS容疑者の自宅から血痕や、YG君のものとみられる体液も分析の結果発見され、有力な物証とみている。
- 6月6日、HS容疑者がYG君の殺害をほのめかす供述を始める。
- 6月25日、HS容疑者をYG君殺害容疑で再逮捕。
- 7月14日、HS容疑者は、4月に起こったHAさんの水死事件に関して、「一緒に魚を見に行った際、橋から転落した。気が動転して助けを呼ばなかった」と供述。これまでの「長女(HAさん)は『(YG君に)人形を見せに行ってくる』と言ったきり戻ってこない」という供述を自らが覆す。
- 7月15日、HS容疑者が「長女を橋からつき落とした」と供述。
- 7月18日、HS容疑者をHAさん殺害容疑で再逮捕。同日、秋田地検はYG君殺害容疑でHS容疑者を起訴。
- 8月9日、HS容疑者をHAさん殺害容疑で追起訴。前日、HS容疑者は「なんで私が犯人なの?」などと今までの自身の供述を自身で真っ向否定する供述をしている。
2006年4月に起きた、小4女児死亡事案との関係
- 2006年4月、今回亡くなった男子児童の2軒隣の小学校4年生の女子児童が、自宅から10キロ離れた川で水死体となって発見された事案で、秋田県警では当初事故と判断していたが、1ヶ月の間に二人も亡くなっていることに疑問を抱き再捜査を始めた。ところが、上記のような容疑者の供述からこれは事故ではなく事件だと断定され、秋田県警の初動捜査ミスが指摘されるようになった。秋田県警は、初動捜査の不手際を完全に否定していたが、容疑者のウソをうのみにし、当初は80人体制だった捜査員を20人にまで減らしていた。これについては漆間巌警察庁長官も7月20日の定例会見の中で「聞き込みなどが本当に十分だったのか、もう1度検証する必要がある」と秋田県警に苦言を呈している。
- また、この事件では、容疑者は当初「長女を事故だと断定した警察に不信感がある」などとしており、自らで長女の消息を求めるビラなどを付近に配布するなどの行動を起こしている。ところが上記のような容疑者の供述を考えると、ビラを配るなどの容疑者の行動はいささか不可解だという見解が、ニュースやワイドショーなどで大きく取り上げられることになった。一方で、「容疑者が事故ではなく事件にしたがったのは、犯罪被害者給付金目当てでは?」ともささやかれている。
- 容疑者は、供述内容をコロコロと変えたり、明らかに不自然な供述を繰り返しなどしている。
報道をめぐる問題
- この事件では容疑者が身を寄せていた実家にメディアが殺到し(メディアスクラム)、一部メディアは容疑者が外出する際に追走したりし、周辺住民の間からもメディアの取材に対する苦情やトラブルが相次いで起こった。こうした事態を重く見たBPO(放送倫理・番組向上機構)は5月24日に放送各社に「節度をもって取材に当たる」よう要望する事態にまで発展した。このメディアスクラムは1994年に起こった松本サリン事件や1998年に和歌山カレー毒物混入事件でも問題になったが今回の事件ではこれらの教訓が全く生かされなかったとの指摘も出ている。
- また容疑者が逮捕される前から容疑者に関するプライバシーが週刊誌を中心にセンセーショナルに報道された。これについてある週刊誌の記者は東京新聞の取材に対し「この事件に対する世間の関心は非常に高い。いろいろな噂がある中で何が真実かを確認するには、本人に取材せざるを得ない。やむを得ないのではないか」(2006年6月8日付東京新聞)と報道の意義を強調している。しかし容疑者が特定・逮捕されていない段階でこうした報道がなされたことに対しては「逮捕されていない人が、逮捕されたかのような扱いで、推定無罪という考え方がどこかへ飛んでいってしまっている」(松本サリン事件で報道被害を受けた河野義行2006年6月8日付東京新聞)と言った批判も出ている。
- 一方で産経新聞が6月6日付けの社説でこうした過熱取材を自己批判する社説を掲載したり東京新聞が6月8日付けの紙面でメディアスクラムを検証するなど報道する側からもこうした過熱取材に対する疑問が提起された。
- だが、この事件は「狭い田舎の町で短期間で2人もの子供が亡くなる」という特異性や、地元住民などはもとから「長女の死は事故ではない」と考えていた。報道各社は加熱取材を冷まそうとしていたが、報道各社のサツ回りの中で「実は長女の母親が捜査線上に浮かんでいる」という情報を警察関係者から聞き、ある1社が抜け駆けて紙上で「長女の母親犯人説」を大々的に掲載した。
関連項目
外部リンク
- 秋田小1男児殺害事件 - Yahoo!ニュース