秘境探検ファム&イーリー
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『秘境探検 ファム&イーリー RUIN・EXPLORER』(ひきょうたんけん ファムあんどイーリー)はかつてホビージャパン社から発行されていた月刊RPGマガジン(ゲームぎゃざの前身)で1992年より連載されていた田中久仁彦作の漫画作品。高度な魔法文明が崩壊してから数百年後の異世界を舞台に、古代文明の遺跡を探索する冒険者である遺跡探索者(RUIN・EXPLORER)の少女二人組を主人公としたファンタジーコミックである。
連作としていくつかのエピソードが存在するが、作者が遅筆なために休載や減ページ、下書き状態での雑誌掲載を繰り返した末に、結局未完のまま打ち切りとなった。最も長いエピソードとなった「万能なる力編」は1995年にOVA化されている(後述)。
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目次 |
[編集] ストーリー
遺跡探索者であるファムとイーリーは、呪いをとくための手段を探して各地の遺跡で冒険を繰り広げる。
- 万能なる力編
ファムとイーリーは何でも願いが叶うという万能なる力を手に入れるため、遺跡を探していた。ある日、旅商人のガルフから万能なる力の在処を示すという地図を手に入れた二人はさっそくその遺跡に足を踏み込む。しかし遺跡は地図にはないトラップだらけ。さらに二人の行く手を阻もうとラーシャとミゲルも動いていた。
[編集] 主な登場人物
- ファム
- 耳が長くしっぽのある種族「ヴィガン族」の少女。文明の遅れたヴィガン族の暮らしがイヤになって飛び出し、イーリーと共に遺跡探索者となる。ヴィガン族の能力として、動物や自然の精霊たちと会話を出来る。純真で騙されやすい性格。
- イーリー
- 魔法使いの少女だが、イタズラが過ぎたため師匠に魔法を使うとネズミとなる呪いをかけられ破門されてしまう。呪いを解くための方法を探して遺跡探索者となるが、現時点で見つかっているのはネズミから人間に戻ることが出来る貴重な飲み薬だけ。そのため普段は剣を使う。髪は長いががさつな性格で胸も小さいため初対面の人間から男と間違えられることも多い。
- ラーシャ
- 高飛車な女魔術師。遺跡探索者であり欲しいものはどんな手段を使ってでも手に入れる主義だが、詰めが甘く失敗することも多い。ネズミが大の苦手。ファム&イーリーとは腐れ縁で各地の遺跡で出会ってしまい、対立する。
- ミゲル
- ラーシャの相棒の凄腕剣士。魔法は使えないが剣で切れる相手なら絶対に負けないという自信の持ち主。相棒に振り回され、貧乏くじを引くことも。
[編集] 単行本
- 秘境探検ファム&イーリー 1巻 ISBN 4894250365
- 1995年10月にホビージャパンコミックスとして発売。「1巻」となっているが、2巻以降は出ておらず、単行本未収録エピソードも存在する。
[編集] OVA
OVA版は声優に椎名へきる、山寺宏一など人気声優を起用し、アニメーションは亜細亜堂が制作とかなり豪華なキャストとスタッフで製作されている。また、ドラマCDや各キャラクターのキャラクターソングも作られた。
[編集] キャスト
- ファム(声:椎名へきる)
- イーリー(声:根谷美智子)
- ラーシャ(声:松本梨香)
- ミゲル(声:山寺宏一)
- ラエル(声:緑川光)
- ガルフ(声:大塚周夫)
- ギル(声:緒方賢一)
- 精霊王サーガス(声:大友龍三郎)
- ルグドゥル(声:家弓家正)
[編集] スタッフ
- 製作:茂木隆、吉田稔、高橋豊
- 企画:渡辺繁、多田則彦、沢登昌樹
- プロデューサー:松本健、金子重雄、池田和彦、寺田将人、頼経康史
- キャラクターデザイン:海谷敏久
- 作画監督:海谷敏久、柳田義明、斎藤卓也、西村博之
- レイアウト:西村博之、柳田義明、湯浅政明
- 美術監督:宮野隆、中村隆
- 色彩設計:一瀬美代子
- 撮影監督:斉藤秋男
- 録音監督:鶴岡陽太
- 音楽:天野正道
- 演奏:ヴェルサイユ室内交響楽団
- 制作協力:亜細亜堂
- 協力:RPG MAGAZINE編集部、学研 アニメV編集部
- 制作:アニメイトフィルム
- 製作:バンダイビジュアル、日本コロムビア(現・コロムビアミュージックエンタテインメント)、ムービック
- 監督・脚本:もりたけし
[編集] 主題歌
- OP「Magical Beet!」
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- 作詞:杜孟子
- 作曲:天野正道
- 歌:松本梨香
- ED「Dear My self~私だけのタイムカプセル」
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- 作詞:杜孟子
- 作曲:天野正道
- 歌:今野久美
- イメージソング「永遠伝説」
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- 作詞:岸田るみ子
- 作曲:天野正道
- 歌:今野久美
ちなみに最終話はOP主題歌が使われた。
[編集] 各話サブタイトル
- TURN:1「我が意のままに…」
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- 脚本・絵コンテ:もりたけし
- 演出:佐々木和宏
- 作画監督:海谷敏久、柳田義明
- TURN:2「大気にあまねく精霊よ」
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- 脚本:もりたけし
- 絵コンテ・演出:西村博之
- 作画監督:海谷敏久、柳田義明
- TURN:3「愚か者に戒めの光を」
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- 脚本:もりたけし
- 絵コンテ・演出:西村博之
- 作画監督:海谷敏久、斉藤卓也、柳田義明
- TURN:4「空や海や森や…」
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- 脚本:もりたけし
- 絵コンテ・演出:西村博之
- 作画監督:海谷敏久、西村博之
[編集] ノベライズ
OVAの監督・脚本を務めたもりたけしによる小説版が朝日ソノラマのソノラマ文庫より発売された。全2巻。
[編集] TRPG
1993年にRPGマガジン別冊として発売された『秘境探検ファム&イーリー特別編』には、漫画本編(当時、単行本は未刊だった)やイラスト集と共に、山北篤により製作されたテーブルトークRPG(TRPG)のオリジナルルールが収録されていた。
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- キャラクター
- 「体力」「運動」「知性」「感性」「カリスマ」の5種の能力値と「ヒットポイント」、そして各種技能によってキャラクターの特性を表現する。ただし、初期取得技能は「戦士」「魔法使い」「盗賊」「何でも屋」の4つのパターンを選択することでおおむね自動的に決定されるという擬似的なクラス制。
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- 行為判定
- 行為判定は下方判定に属する。判定に使われる技能のレベルに等しい数の6面サイコロを振り、能力値から算定される「判定値」以下の出目が一個でもあれば成功となる。判定値以下の出目のサイコロの個数が「成功レベル」となり、その行為の達成度を示す。もし技能がない場合は6面サイコロ2個を振り、両方が判定値以下だった時のみ1レベル成功として扱われる。
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- 魔法
- 魔法の呪文は、技能扱いで一つ一つ習得する必要がある。また呪文にはそれぞれ詠唱ラウンド数が設定されており、強力な呪文ほど時間をかけて詠唱しないと発動しない。これにより「弱いが詠唱時間の短い呪文」「強力だが詠唱時間の長い呪文」を使い分ける判断力が魔法使いに求められる(もっとも、用意された呪文は漫画本編中で使われたものだけなので、複雑な判断をするほどバリエーションは無いのだが)。