粉塵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
粉塵(ふんじん)とは、粉のように細かく気体中に浮遊する塵(ちり)状の固体の粒子である。「塵」が当用漢字外の字であるため、法令では粉じんと書かれる。
目次 |
[編集] 概要
大気汚染防止法では、「物の破砕、選別その他の機械的処理又はたい積に伴い発生し、又は飛散する物質」のこととし、ばい煙や自動車排出ガスと共に規制している。同法では、人の健康に被害を生じるおそれのある物質を「特定粉じん」、その他を「一般粉じん」と定めている。現在、特定粉じんは、アスベストのみである。
また、労働安全衛生法では、粉塵を業務に危険性または有害性をもたらすもののひとつに挙げている。このため、粉塵の要因となる原料のメーカーや取り扱い業者にはMSDSなどの資料により、現場の作業員に危険性、有害性、対処方法の周知をさせることが定められており、また関係行政機関も粉塵の発散を防止するために、必要に応じて注水するなどの措置を行うよう呼びかけている。
物の燃焼等に伴い発生するものは、煤煙(ばいえん)といい、このうち、いわゆる「すす」のことを煤塵(ばいじん)という。
[編集] 測定法
[編集] 粉塵爆発
気体中にある一定の濃度の粉塵が浮遊していると、火花などで引火して爆発を起こすことがある。これを粉塵爆発という。
これが起こる原因は、粉塵は非常に細かいので、体積に対する表面積の占める割合がかなり大きいだけでなく、空気中に飛散すると周りに十分な酸素も存在することとなり、燃焼反応に敏感な状態になってしまうためである。炭鉱で石炭の微粉末によって起こる炭塵爆発が、その代表例である。他にも小麦粉や砂糖の様な食品や、アルミニウムのような金属粉でも粉塵爆発を起こすことがある。このような粉塵爆発事故によって、穀物サイロや工場などの建造物が破壊され、また炎上することになる。
[編集] 粉塵爆発の例
- 1899年、豊国炭鉱にて日本初の炭塵爆発事故が発生。死者210名を出す大惨事となり、以後、炭鉱内での対策が進むこととなった。
- 2007年、新潟県上越市の信越化学工業の工場で爆発事故が発生した。現在、粉塵爆発の可能性があるとされている。