炭鉱
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炭鉱(たんこう)とは、石炭を掘り出すための鉱山のこと。過去には日本にも空知炭田や筑豊炭田などを中心に800以上あったが、2006年現在、坑道掘りでは太平洋炭礦を引き継いだ釧路コールマイン以外すべて閉山している。
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[編集] 炭鉱事故
[編集] 日本の炭鉱事故
日本では明治年間になると殖産興業の名の下、鉱山開発が盛んに行われた。しかし、当時の鉱山の安全対策は劣悪な場合が多く、特にガス爆発や粉塵爆発が発生しやすい炭鉱においては、しばしば大規模な事故が発生した。小規模な死傷事故は、記録に残っていない事故まで含めると膨大な数となると考えられる。第二次世界大戦後、安全対策が充実すると事故の発生件数は劇的に減少したが、高コスト、流体エネルギーへの転換、輸入炭の増大などから閉山が相次ぐ。
[編集] 日本の主な炭鉱事故
- 1899年 豊国炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者210人
- 1907年 豊国炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者365人
- 1909年 大之浦炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者243人
- 1912年 北炭夕張炭鉱(北海道)にて4月と12月に爆発事故。それぞれ死者・行方不明者267人、216人
- 1913年 二瀬炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者101人
- 1914年 新夕張炭鉱(北海道)にて爆発事故。死者・行方不明者423人
- 1916年 東見初炭鉱(山口県)にて海水流入事故。死者・行方不明者235人
- 1918年 大之浦炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者376人
- 1920年 北炭夕張炭鉱北上坑(北海道)にて爆発事故。死者・行方不明者209人
- 1927年 内郷炭鉱(福島県)にて坑内火災。死者・行方不明者136人
- 1938年 北炭夕張炭鉱天竜坑(北海道)にて爆発事故。死者・行方不明者161人
- 1941年 美唄炭鉱(北海道)にて爆発事故。死者・行方不明者177人
- 1943年 長生炭鉱(山口県)にて海水流入事故。死者・行方不明者183人
- 1944年 美唄炭鉱(北海道)にて爆発事故。死者・行方不明者109人
- 1963年 三井三池炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者458人を出し、日本の近代史上最悪の炭鉱事故になった。
- 1965年 三井山野炭鉱(福岡県)にて爆発事故。死者・行方不明者237人
- 1981年 北炭夕張新炭鉱(北海道)にてガス突出・爆発事故。坑内に59名の安否不明者が取り残されたまま注水作業を開始し、最終的な死者は93人。
- 1984年 三井三池炭鉱有明抗(福岡県)にて坑内火災。死者83人
- 1985年 三菱南大夕張炭鉱(北海道)にて爆発事故。死者62人
[編集] 中華人民共和国の炭鉱事故
中華人民共和国では、1990年代以降、経済の発展と共にエネルギー需要が逼迫し、小規模な炭鉱開発が無数に行われるようになった。政府は法令を整え安全対策などの充実を図るものの、貧弱な施設で操業する中・小企業及び無届け業者が非常に多く大事故の発生が絶えない(無届け業者は事故が発生すると、救助を行う前に逃げ出すという)。 2005年には3,341件の事故により5,000人以上の労働者が亡くなったという。事故に関連して処罰された責任者は200名を超える。このため、2006年には年間生産量が3万トンを下回る比較的小規模の炭鉱を2007年までに強制的に閉鎖する施策を発表している。
[編集] 2005年に発生した主な炭鉱事故
海外向けのニュースで配信された主な事故。
- 2月 遼寧省の孫家湾炭鉱にて爆発事故。死者・行方不明者200名以上
- 8月 広東省梅州市の大興炭鉱にて浸水事故。死者・行方不明者123名
- 10月 河南省鶴壁市の炭鉱にて爆発事故。死者・行方不明者34名
- 10月 四川省広安市の炭鉱にて爆発事故。死者・行方不明者28名
- 12月 河北省唐山市の炭鉱にて爆発事故。死者・行方不明者75名
- 12月 河南省新安県の炭鉱にて浸水事故。死者・行方不明者42名