編集王
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編集王(へんしゅうおう)は、土田世紀による漫画。青年漫画誌の編集部を舞台に、編集者や漫画家の姿を描いた。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載された。
目次 |
[編集] 内容
15年近く打ち込んだボクシングの世界で芽が出ないまま、網膜剥離で引退する事になった桃井環八(カンパチ)が、新たに出発したマンガの編集の世界で『あしたのジョー』の“ジョー”を目指す姿を描く。ちなみにカンパチのモデルは、小学館の編集者・八巻和弘といわれている。
マンガ好きの人間ならニヤリとするような実在の人物・事件が織り込まれているが、それを抜きにしても、それまであまり取り上げられ事のなかった1つの「業界」を描いた傑作である。その「マンガ業界」そのものが主役と言えるため、次第に狂言回しとしての主人公・カンパチの影が薄くなっていった事は否めない。 もちろん現代の漫画業界をリアルに描いた漫画ではなく、物語上大幅にカリカチュアライズされている。
[編集] 登場人物
名前には日本の道路や交差点などの地名が使われることが多い。
[編集] ヤングシャウト編集部
- 桃井環八
- 青梅広道
- 疎井一郎
- 宮史郎太
- ヤングシャウト副編集長。疎井編集長とは若い頃からの付き合い。背が低くオカマっぽい口調で話し、女性的な趣味をしているが、結婚していて二児をもつ。カンパチたちの理解者。モデルは演歌歌手宮史郎。ちなみに「八代亜希」という女流漫画家も登場した。
- 目白通代
- ヤングシャウト編集者。カンパチには「姐さん」と呼ばれる。男まさりの性格で仕事に打ち込んでいたが、女性であるということで差別され、仕事をやめようと思っていたがカンパチたちに励まされ、復帰する。このエピソードでは、目白の好きだったマンガとして『キャンディ・キャンディ』の図版が使われていたが、後の愛蔵版などではその許諾が降りなかったようで真っ白になっている(→キャンディ・キャンディ著作権事件)。名前は目白通りから。
- 本占地雪之丞
- アイドルオタク編集者。はじめ文芸編集を志し、マンガを馬鹿にしていたが、カンパチたちとつきあううちに真面目に打ち込むようになる。文芸派を気取るが難しい漢字が読めない。実家は大金持ち。
- 三京稔
- ミリタリーマニアの編集者。青梅と対照的に、ノラリクラリと仕事をする疎井派だったが、後に和解。元バレエダンサーだったが、足の故障で断念。最初はリアルだったが後半は常軌を逸した大きさのアフロヘアーになる。名前は第三京浜道路から。
[編集] 漫画家
- マンボ好塚
- 戦後のコミック史に名を残す巨匠漫画家。一応現役だが、現在はほとんど自分では描いておらず、酒とゴルフと釣りの毎日。重度のアル中。ヤングシャウトには「しれとこ番長TAKE2」という作品を連載中。人気も最低だが、コミックスがそこそこ売れるという理由で掲載されている。カンパチたちと出会い、若い頃の気持ちで真剣にマンガに取り組むことを決意し、最高傑作「あした」を仕上げた日に心不全で死亡する。名前は「好事家」から。代表作は「王女アンナ」。モデルに特定の人物はいないが、石ノ森章太郎・赤塚不二夫・梶原一騎など複数の人物を参考にしていると思われる。なお、最終話の回想シーンでは、「神様」と呼ばれる巨匠漫画家とマンボが邂逅するシーンがあり、代表作が「ブロックジィック」などという描写から、こちらは間違いなく手塚治虫をイメージした人物であると思われる。顔は描かれていない。
- 仙台角五郎
- 晴海
- ヤングシャウトで連載中の人気漫画家。自称「天才」で、実際に評価は高いが気分屋で締め切り破りの常習犯。漫画にたずさわる人間は自分も含めて、作品のためなら生活や家族すらも犠牲にすべきという考えの持ち主で、カンパチとぶつかる。名前は晴海通りから。原作では苗字しか出てこないが、ドラマでは「晴海圭介」というフルネームが設定された。また文庫版第10巻表紙では「晴海太」という名前とともに、「対パンダ」なるギャグ漫画を連載していることが確認される。
- 骨川サヨリ
- ヤングシャウトで「空手ラブ・スカッチ」という漫画を連載する漫画家。大人気作家ではないが若手漫画家のリーダー格。実家の借金のため、ライバル誌ヤングナッツに引き抜かれる。沖縄出身。モデルは西田敏行。
- 小泊浅虫
- 「ブルセラムーン」という超人気エッチコミックを連載中の漫画家。読者に迎合した不本意な連載をすることに苦しみ、意を決して連載をやめる。名前は青森の地名から。
- 山手さゆり
- 大原愛、村木ともみ、北村永吾
- 3人とも売れない漫画家だったが、明治によって「北原とも」としてユニットを組み、企画漫画「ぬかずヌルハチ」で大ヒットを飛ばす。のちヤングナッツに引き抜かれる。
- 尾上龍子
- 締め切り破りの常習犯。ヤングシャウトに移ってきた明治が担当となり、締め切り厳守のために屈辱的な指示をされる。最終シリーズではヤングナッツに引き抜かれる。文庫版第8巻表紙により、ヤングシャウトでは「みすたぁ・しすたぁ」という漫画を連載していたことが明らかになる。
- プラム佐和子
- 自分で描かない、作品がつまらない、誰も文句が言えないと、マンボ好塚と双璧を成す札付きのベテラン女流漫画家。
- 山田英吾
- 児童誌で活躍する、マンボ好塚と同時代の漫画家。代表作は「ブチネコニャン太」。モデルは藤子・F・不二雄。
[編集] 支配社社員
- 社長
- 支配社の社長。編集者あがりで、現場の編集を後輩のように見守っている。「カッちゃん」という愛称しか出てこないが、当時のスピリッツ編集長白井勝也がモデルと思われる。。
- 五日市
- 文芸誌「絶叫」の編集長。昔は売れていたが、今は見向きもされない文芸誌を一人で編集しているが、ヘルプに入ったカンパチに振り回されるうちに編集者の心を取り戻し、退社して自費出版で文芸誌を刊行する。社長と疎井の同期。名前は五日市街道から。
- 明治一郎
[編集] その他
- 四面道渡
- 東京ドームで開催される日本最大の同人誌即売会「マンケ」の主催者。若い漫画家を探しに来たがエロ漫画に辟易したカンパチと参加者が衝突した際、事態を収拾する。のち、カンパチに協力して支配社に同人漫画家を連れていく。名前は環八と青梅街道が交わる「四面道交差点」から。
- 猪頭賢伍
- ゲーム会社・オレガ社社長。通称イノケン。カンパチの幼馴染で、ゲーム界の風雲児と呼ばれる。「ブルセラムーン」ゲーム化の件でカンパチと再会する。モデルは飯野賢治。番外編的なエピソードでゲーム製作の話が語られるが、本編同様実際のゲーム製作の現場とはややかけはなれたファンタジックな話であった。名前は井の頭通りから。
- 陳子昂(ちんすこう)
[編集] テレビドラマ
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テレビドラマ |
フジテレビで2000年10月~12月にテレビドラマ化。主演はネプチューンの原田泰造。主題歌はTRICERATOPSの「FALL AGAIN」
[編集] 出演
ゲストで、宮史郎太のモデルである宮史郎がチョイ役出演して、高橋演じる宮史郎太と鉢合わせるシーンがあった。原作から敷衍した話が数話あったほかは、基本的に設定のみ共通のオリジナルストーリーであった。
[編集] スタッフ
[編集] サブタイトル・視聴率
- いきなり水着で歓迎会 12.6%
- あなたの才能信じます! 9.1%
- 激走! 涙の親子リレー 8.9%
- 恋愛に勝敗はない 6.8%
- 女がリングに上がるとき 9.6%
- 涙のヴァージンロード 8.0%
- 赤ちゃんと夢を取り戻せ 7.3%
- 今、決断のゴングが鳴る 8.8%
- 天国からのラブレター 6.8%
- 無差別殺人!?犯人は熱烈読者!?兄貴に捧げる特大最終号 6.9%
- 運命の最終ラウンド!!死ぬな兄貴涙の大演説 5.8%
平均視聴率8.2%、最終回視聴率5.8%は共に火曜夜9時枠としては歴代最低記録となった。
[編集] 逸話
- 視聴率は低迷したがこのドラマでの原田泰造の演技力が認められ、この後俳優としての仕事が増える事となる。
- 2007年1月に放送されたネプリーグでフジテレビのアナウンサーチームに「タイトルが漢字のみのドラマを5つ答えろ」と出題された際、原田泰造がこのドラマのタイトルを口にしたが自局のアナウンサー陣でさえ誰一人存在を知らなかった。
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