美利河ダム
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美利河ダム(ぴりかダム)は北海道瀬棚郡(檜山支庁)今金町美利河地先、一級河川・後志利別川本川上流部に建設されたダムである。
国土交通省北海道開発局函館開発建設部が管理する特定多目的ダムで、後志利別川本流唯一のダムである。型式は重力式コンクリートダムとロックフィルダムの複合式、いわゆるコンバインダムである。堤頂長(ダムの長さ)が極めて長いダム(1,480m)で、河川を横断して建設されたダムとしては日本一の長さを誇る。ダムの高さは40.0m。ダム湖は「ピリカ湖」と呼ばれるが、カタカナ表記のダム湖も全国的に珍しい。
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[編集] 沿革
後志利別川総合開発事業の中核事業として1975年(昭和50年)に着手され、1991年(平成3年)に完成した。目的は洪水調節・不特定利水・かんがい・水力発電である。
[編集] 河川環境への配慮
ダムのある後志利別川は「日本一の清流」に認定された事もある水質の良好な河川で、サケ・サクラマス等の漁業資源が豊富である。ダム建設に伴い水質の悪化と魚類への影響が懸念された。国土交通省は全長6kmに亘る日本一長い魚道を設置。なだらかな魚道を設置する事によって魚類の遡上を容易にする工夫を施した。結果、現在では順調に魚道を遡上している魚類の姿を観察できる。又、水質についてはダム完成後もBOD値の平均が0.6ppmと極めて良好な水質を維持している。
道央自動車道・国縫インターチェンジより美利河峠を越えて直ぐの位置にあり、インターチェンジから車で30分程度の距離にある。近くに美利河温泉があり、ダム周辺も公園として整備されている事から観光地となっている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献・資料
- 国土交通省北海道開発局 函館開発建設部 美利河ダム管理所
- 建設省河川局監修・全国河川総合開発促進期成同盟会編 『日本の多目的ダム 直轄編』1980年版:山海堂 1980年
- 財団法人日本ダム協会 『ダム便覧』 美利河ダム