胴体着陸
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胴体着陸(どうたいちゃくりく)は、航空機の緊急着陸方法の一つである。
[編集] 概要
本来の降着装置(車輪、スキーなど)を用いず機体そのもので着地を行うものをいう。複数ある降着装置のうち、一部が使用できない結果、胴体が地面に接地して着陸した場合も胴体着陸に含まれる。主に故障などで降着装置が出ないときなどの非常時に行われる。
火災の発生を抑えるため、燃料を使い切る、あるいは投棄して行うことが多い。ボーイング747のような大型旅客機は塔載している燃料が莫大なので排出装置がついているが、それよりも小型の航空機は排出装置がついていないものもあり、この場合 着陸地上空を旋回するなどして燃料を消費した上で胴体着陸を行う必要がある。
[編集] 事故による胴体着陸の例
- 東京発南紀白浜行きであった381便が、離陸後に後輪の左車輪が故障し、出せなくなった。同機は羽田に引き返し、前輪と後輪が右側のみの片輪で着陸を強行。着陸はスムーズであったが、速度が落ちると機体は脚のない左後方に大きく傾き、胴体を滑走路に激しく擦る半胴体着陸となった。乗員乗客は全員無事。なお、この便には女優の由美かおるが搭乗していたうえに着陸まで時間があったので、羽田空港には着陸の瞬間を伝えるべく多数のマスコミが詰めかけた。
- 高知空港に着陸の際に前輪が出なかったため、主脚のみによって着陸し、最後は機体前部の胴体を接地させる前胴体着陸を行い、無事に成功した(乗員乗客に死者・負傷者無し)。
- サマラの空港に着陸の際に胴体着陸を強行し失敗。乗客乗員57人中 7人死亡。原因については調査中。