茄子 アンダルシアの夏
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『茄子 アンダルシアの夏』(なす アンダルシアのなつ)は、黒田硫黄の漫画『茄子』の短編『アンダルシアの夏』を原作として2003年に公開された上映時間47分のアニメーション映画である。劇場公開当時、上映時間が一般的な映画の半分程度である事から、チケットも通常の半額ということで話題になった。
日本アニメ界随一のサイクリストとして知られる高坂希太郎が監督・脚本・キャラクターデザイン・作画監督を務め、第56回カンヌ国際映画祭の監督週間に日本アニメとして初めて出品された。
高坂希太郎は、宮崎駿の一番弟子と呼ばれ、スタジオジブリ作品にて作画監督を務めるほど、ジブリに精通していることが絵柄にも滲み出ている。そのためか、レンタルビデオ店ではジブリアニメコーナーに置かれていることが多いが、本作の制作会社はマッドハウスでありスタジオジブリは制作に一切関与していない。
声優は、ジブリ作品でも声優を務め、主に北海道で活躍するタレントの大泉洋が主人公ペペを演じる。また、周りを固めるのは、俳優の筧利夫、タレントの小池栄子、そして日本テレビアナウンサーの羽鳥慎一という面々である。
エンディングテーマは、『自動車ショー歌』(小林旭)の替え歌である『自転車ショー歌』で、やはり自転車好きで知られる忌野清志郎が歌っている。これはペペ役の大泉洋の出演する番組「水曜どうでしょう」の企画「対決列島」の中で『自動車ショー歌』が使用され、それを監督が気に入ったことに由来する。
作品中にはアンダルシア地方の名物として「茄子のアサディジョ漬け」がちらほらと出てくるが、実際にはアンダルシア地方にこのような郷土料理は存在しない。原作者も認めている通り、もっとも近いものをアンダルシア付近で探しても、カスティーリャ・ラ・マンチャ地方のアルマグロの町に伝わる茄子の漬け物程度である。なお「茄子のアサディジョ漬け」のレシピは原作『茄子』第1巻巻末に記されている。
宇都宮で行われるジャパンカップサイクルロードレースを舞台とする続編『茄子2(仮称)』は2007年に完成の予定である。
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[編集] ストーリー
スペインの自転車ロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャを舞台に、主人公ペペ・ベネンヘリが解雇の危機に直面しながらなおかつ、かつての恋人と兄の結婚という複雑な思いの中にあっても、プロ自転車選手として「仕事」に取り組むさまを描く。
主人公ぺぺはベルギーのビール会社「パオパオ・ビール」がスポンサーとなっているロードレース・チームのアシスト選手(エースではなく、水や補給食の運搬、エースの風除けなどをこなす選手 プロロードレースでは通常9人で1チームを編制し、エース1人を勝利に導くためだけに残り8人がエースをサポートする)である。ぺぺの故郷の町がゴールとなっている平坦ステージ、ぺぺは監督の指令でレース中盤にアタックをかける。これはゴール前での集団吸収を前提とした捨て駒としてのアタックで、集団から何人かの選手を引き連れて逃げ集団を形成し、レースのペースを上げるのが目的であった。このアタックによって11人の先頭集団を形成、さらに再度ペペはアタックをかけるが今度のアタックにだれも乗ってこなかった(ライバル選手からは危険な選手とは見なされず・アシストとしては仕事をしていないことになる)ところがレース中のアクシデントで集団落車が発生したことで、ぺぺに逃げ切りの可能性が生まれる。急遽ぺぺは単騎逃げで勝ちを狙いに行くよう指示される。一方、アクシデントから立ち直った集団もペースを上げてぺぺを追う。ついにレースはぺぺを交えてのゴールスプリントにもつれ込んだ・・・。
[編集] キャスト
- ぺぺ・ベネンヘリ:大泉洋
- カルメン:小池栄子
- エルナンデス:平野稔
- リベラおじさん:緒方愛香
- フランキー:平田広明
- 監督:坂口芳貞
- スルバラン:醍醐貢正
- ギルモア:佐藤祐四
- チョッチ:田中正彦
- ベザル:西凛太朗
- ザメンホフ:佐々木誠二
- ボロン:石井英明
- オリョーリ:小原雅一
- スポンサー:村田則夫
- カルメンの母:竹口安芸子
- 神父:伊藤和晃
- 会場アナウンサー:渡辺寛二
- レポーターA:青山勝
- レポーターB:沢田冬樹
- 友人A:小林さやか
- 友人B:近藤隆
- 友人C:栗田圭
- 女A:甲斐田裕子
- 女B:山川琴美
[編集] スタッフ
- 原作 黒田硫黄 『茄子』より
- 監督・脚本・作画監督 高坂希太郎
- 演出 高橋敦史
- プロデューサー 丸山正雄
- エンディング・テーマ 忌野清志郎
- 音楽 本多俊之
- 制作 マッドハウス
- 特別協賛 日本自転車振興会
- 製作 「茄子 アンダルシアの夏」製作委員会
上映時間47分