蝿の王
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『蝿の王』(はえのおう、原題:Lord of the Flies)は、1954年出版のウィリアム・ゴールディングの小説。題名の「蝿の王」とは、悪魔「ベルゼブブ」のことを指す。作品中では蝿が群がる豚の生首を「蝿の王」と形容している。
未来の大戦中、疎開に向かう少年達を乗せた飛行機が墜落し、少年達は南太平洋の無人島に置き去りにされる。この状況設定はジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』やロバート・バランタインの『珊瑚礁の島』など19世紀以前に流行した「孤島漂着もの」のパロディであるが、本作はこれらの作品とは正反対の悲劇的な展開となっている。
最初法螺貝を中心に規則を作って協力し合っていた少年たちは、次第に内面の獣性が目覚め些細なことで対立を繰り返すようになる。やがて闇に潜む「獣」に脅え、狂気にとらわれた少年たちはついに自分たちの仲間の少年を集団で手にかけてしまうに至る。
スティーブン・キング、中上健次はこの小説にも影響を受け、両者の作品には「蠅の王」というモチーフが度々登場する。