西武サハ1311形電車
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西武サハ1311形電車(せいぶさは1311がたでんしゃ)は、西武鉄道に在籍していた通勤形電車。当時多摩湖線国分寺駅~萩山駅間では多摩湖線国分寺駅のホームが短く、20m2連では輸送力が足りない為、例外的にホーム有効長ぎりぎりの17m3連が、比較的長年使用された。
当形式は311系クハ1311形からの改造であり、本来は311系か351系どちらかで解説すべき内容である。しかし
- 前述の多摩湖線用という限定で運用された
- 311系と351系が混結して運用されたのはこの編成のみである為(311系の編成と351系の編成が連結された事は、星の数ほどある)311系・351系・西武多摩湖線の項目に重複した説明となってしまい、どれか一つに集約する事が難しい
- 細かい変遷が意外と複雑
等のネックがある。この為当形式に限り独立項目として、編成の変化を時系列で解説する。また本文中のB・C・Dタイプの意味(形態上の特徴など)については、311系の項を参照。
[編集] 変遷
- クモハ311-クハ1311-クモハ311
最初に3連化されたのはクハ1311形の1313・1314(どちらもCタイプ、以後便宜上1313・1314Fと記述)を使用した2本で、当初はクハのまま挟まれていた様である。
- クモハ311-サハ1311-クモハ311
程なくサハに改造されたが、乗務員室扉はハメ殺しのまま残され、車内も撤去運転台部には座席が無かった。
- クモハ371-サハ1311-クモハ371
1313・1314Fの両端は当初クモハ311形のBタイプやCタイプが使用されたが、後にクモハ371形で固定された。
- クモハ351-サハ1311(1331)-クモハ351
その後1973年に萩山駅近くに団地が出来た為、輸送力不足でクモハ401系(初代)が引退。新たに増備されたのが、クモハ351形355・356の中間にサハ1336(つまりDタイプ)を挟んだ1336Fの1本だった。
- 701系以前の行先表示が板式から幕式に一斉交換された際、これら3本は運用が限定されていた為、板式のまま残された。
- クモハ351-サハ1311-クモハ351
そして1975年に1313・1314Fも先頭車がクモハ351形に差し替えられ、クモハ351-サハ1314-クモハ352とクモハ353-サハ1313-クモハ354になった。このクモハ351形は幕式になっていた為、西武の板式行先は1336Fのみとなった。電動発電機(MG)とAK-3形電動空気圧縮機(CP)は本来クモハ351形に搭載されるが、この3連はサハ1311形にMG534-Mrb(12kVA)電動発電機1台とAK-3形電動空気圧縮機を2台搭載してユニット化され、車両重量の平均化が図られた。なお捻出されたクモハ371形は栗原電鉄と大井川鉄道に譲渡された(詳細は371系を参照)
- 1980年頃に乗務員扉撤去(他の窓と比べシル・ヘッダーが無いという違いが残った)、内装をアルミデコラ、客室部の床をリノリウム(運転室は木のまま)、前照灯をシールドビーム2灯、手ブレーキを保安ブレーキ、サービス電源を交流化などの更新工事が行われ、1336Fの板式行先もやっと幕式に交換された。
- なお夏には冷房車が必要となり、また一橋学園駅を利用する一橋大学生が減る事から、401系と新501系は2連で入線した。さらに捻出された3両編成が西武園線に入線したり、多摩湖線以外で最後に赤電車が残った、多摩川線用の551系+クハ1651形や571系が、2連で多摩湖線に入線した事もある。
- 3両編成は多摩湖線国分寺駅改修工事完了により、20m車4連の使用が可能になる1990年まで、西武最後の赤電車・非冷房車として使用された。引退時には独自のヘッドマークを装着して、多摩湖線国分寺~萩山間を往復している。この引退により、西武の車両はすべて20m車に統一された。
- なお301系にクハ1313・1314が登場してから本形式が廃車されるまで、西武には同一番号の車輛が2組在籍していた。