谷山豊
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谷山 豊(たにやま とよ、1927年11月12日 - 1958年11月17日)は埼玉県出身の数学者。
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[編集] 来歴・人物
東京大学理学部数学科卒。もともと名前は「とよ」と読むのが正しいものの、「ゆたか」と読み間違える人が多かったので、いつからか自ら「ゆたか」と名乗るようになったそうである。
高木貞治の「近世数学史談」を読んで、数学者を志すようになる。
1958年に東大助教授に就任。同年自殺。 また谷山の死の一月後、婚約者も彼を追って自殺。
業績にアーベル多様体の高次元化、虚数乗法論。谷山・志村予想(全ての楕円曲線はモジュラー形式である)がある。 前者は谷山の死後志村五郎がその研究を発展させ、後者は志村が定式化した。 当時谷山・志村予想を着想した谷山は天才としかいいようがない。
谷山の盟友だった志村五郎は次のように述懐している。
「彼は数学者として非常に注意深いという人では無かった。彼は沢山の間違いを犯した。だが良い方向に間違えるので、最終的には正しい答に辿り着くことが出来た。私は彼を真似ようとしてみて、良い間違いを犯すというのは実は非常に難しいのだということを知った。」
[編集] 谷山による問題(谷山・志村予想の原型)
(1955年9月、栃木県日光市で開催された代数的整数論国際シンポジュームにて配布された問題より)
問題12 Cを代数体k上で定義された楕円曲線としk上Cの L函数をLc(s)とかく:
は、k上Cのzeta函数である。もしHasseの予想がζc(s)に対して正しいとすれば、Lc(s)よりMellin逆変換で得られるFourier級数は特別な形の-2次元のautomorphic formでなければならない。(cf.Hecke) もしそうであれば、この形式はそのautomorphic functionの体の楕円微分となることは非常に確からしい。
さて、Cに対するHasseの予想の証明は上のような考察を逆にたどって、Lc(s)が得られるような適当なautomorphic formを見出すことによって可能であろうか。 (谷山豊)
参考文献『現代数学の展望』