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越後七不思議(えちごななふしぎ)は、越後国に伝わる珍しいことがらを七つ集めたもの。
様々な内容が語り継がれており、その総数は40あまりにもなるが、親鸞の伝説にかかわる次の七つが特に有名。越後国は親鸞の流刑地であり、浄土真宗が盛んであったため、動植物の珍種を親鸞の起こした奇瑞として伝えたものである。
- 逆さ竹(さかさダケ) 新潟市 西方寺、天然記念物
- 枝が下向きに生えるタケ。親鸞が竹杖を逆さに土に挿したものに根が生えたと伝える。
- 焼鮒(やきフナ) 新潟市 山王神社
- 体に黒い焦げ目模様のついているフナ。1211年(建暦元年)11月、親鸞が赦免され当地を去る際に催された酒宴の肴に、焼いたフナが用意されたが、親鸞が傍らの榎に纏っていた袈裟を掛け「わが真宗の御法、仏意にかない、念仏往生間違いなくんば、この鮒必ず生き返るべし」と唱えてから池に放したところ、生き返り泳ぎだしたと伝える。1796年(寛政8年)には、親鸞が袈裟を掛けたとされる榎の枝が折れたため、その枝を挽くと切り口に親鸞の姿と鮒の形がくっきりと現れた。神社近くを走っていた新潟交通電車線には、この伝説にちなみ名付けられた「焼鮒駅」があった。
- 八房の梅(やつふさのウメ) 阿賀野市 梅護寺
- ひとつの花に八つの実がなる八重咲きのウメ。親鸞が植えた梅干の種から育ったと伝える。
- 数珠掛桜(じゅずかけザクラ) 同上、天然記念物
- 花が長く房のようにつながって咲くサクラ。親鸞がサクラの枝に数珠を掛けたためと伝える。
- 三度栗(さんどグリ) 阿賀野市 孝順寺
- 一年に三度花が咲き、実がなるというクリ。親鸞が植えた焼栗から育ったと伝える。
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- 糸を通したような穴のある実のなるカヤの木。親鸞が植えた食膳のカヤの実から育ったと伝える。
- 片葉の芦(かたはのアシ) 上越市 居多神社
- 葉が片側一方向にだけ伸びるアシ。親鸞が神社に参詣し念じたところ、池に生えるアシが一夜にして「片葉」になったと伝える。
[編集] 八珍柿
八珍柿(はっちんがき)は渋柿の品種。正式名は平核無(ヒラタネナシ)。実の中に種のできないカキの変種。越後七不思議の次に珍しい、の意から「八珍」と名づけられた。原木は新潟県新潟市古田にあり、樹齢約320年、高さ16m、幹周り203cmの巨木で県指定天然記念物。明治初期、庄内藩家老職の酒井調良が苗木を庄内地方に持ち帰り産地化したものが「庄内柿」であり、昭和初期になって佐渡郡羽茂村農会技術員が庄内柿の穂木を佐渡島に持ち帰り産地化したものが「おけさ柿」である。