軍事技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
軍事技術(ぐんじぎじゅつ)とは、軍事兵器及び、それに付随した設備に使用される技術である。古来は軍事技術が先端技術になる例は少なかったが、近年、我々が目にする技術の多くが、軍事技術から転用されたものであるように、軍事技術の進歩と科学技術の進歩は強い関係にある。
軍事技術を民生技術の元として転用することをスピンオフと称し、その逆をスピンオンと称する場合があるが、現在の先端技術は、どちらにも利用可能なデュアルユースと呼ばれる内容が多くなっている。これは、民生用設備に高度な技術を用いたものが多くなったためである。 日本の産業で使用される技術は軍事転用可能なものが多く、過去にはCOCOM違反事件など軍事技術流出とみなされる事件も起きているが、その中身の多くは産業用の民生技術である。
軍事技術は過酷な環境や人体の安全にかかわる場合が多く、その信頼性に対する要求は民生用のそれに比べてはるかに高い。このため軍事技術にはさまざまな規格が定められており、この規格に適合したものが使われる傾向にある。スピンオンの場合も同様で、特に必要が無い場合を除けば、民生技術や製品は軍用として改良改造が行われる。
目次 |
[編集] 軍事技術
- イージスシステム
- フェーズドアレイレーダー
- チョバム装甲
- IVIS(車輌間情報共有システム)
これら軍事技術は、それが使用された兵器の種別で語られることが多い。(例、イージスシステム→イージス艦)
[編集] 軍事技術から民生技術へ派生したもの(スピンオフ)
- コンピュータ - コンピュータENIACは弾道計算を目的に実用化。
- 原子炉 - 世界初の原子炉、シカゴパイル1はマンハッタン計画で開発。
- ロケット - V2ロケットの技術は後の人工衛星打ち上げ技術に発展。
- グローバル・ポジショニング・システム(GPS) - 軍用のGPS衛星による測位システム。
- 補償光学 - 人工衛星から地表を観測する際の大気のゆらぎを補正するための技術。今では地上の望遠鏡には必須の装備になっている。
- インターネット - 前身はアーパネット(ARPA-Net)。ソ連からの核攻撃を想定し、それでも指揮能力を喪失しないようにするため、分散処理システムとしての現在のインターネットの原型が誕生した。
[編集] 民生技術が軍事技術の素材になったもの(スピンオン)
- 合成繊維 - ナイロンは撥水製が良く、衣類、防弾チョッキなどに応用された。
- 飛行機 - 初期の飛行機は偵察機として用いられ、やがて戦闘機などに発展した。
- 液晶ディスプレイ - 元々は電卓の表示用であったが、現在では多目的表示装置として軍事用でも陸海空問わず幅広く使用されている。