イージス艦
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イージス艦(イージスかん)とは、イージスシステムを搭載した艦艇の総称である。駆逐艦や巡洋艦などとは異なり、軍艦の種別の1つではない。正確に言えばイージス艦は「イージスシステム搭載の艦艇」を指す。
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[編集] 概説
対空戦闘能力が非常に優れており艦隊防空の要となっている。現在ではミサイル防衛(BMD) においての使用も計画されている。ちなみにイージスとは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが、娘アテナに与えたというあらゆる邪悪を払う盾(胸当)アイギス(イージス)のことで、優れた防御性能を持つことからこの名を冠する。
※システム開発等の詳細はイージスシステムを参照のこと。
イージスシステムはアメリカ合衆国が開発したシステムであり、アメリカ海軍では1983年に就役した「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」の一番艦「タイコンデロガ」に初めて搭載され、現在の主力水上戦闘艦である「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦」にも搭載されている。元々は原子力を動力源とする艦艇にシステムの搭載を予定していたが、コスト高などの問題によりタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦への搭載に落ち着いた。現代の艦載防空システムとしては、イージスシステムが世界最高峰の防衛機能を有していると言われており、システムの購入を希望する国も多い。
日本においては、海上自衛隊がイージスシステムを搭載した「こんごう型護衛艦」4隻、「あたご型護衛艦」1隻を「ミサイル護衛艦」として運用しており、1護衛隊群に1隻ずつ配備されている。「こんごう型護衛艦」は、1993年に「こんごう」、1995年に「きりしま」、1997年に「みょうこう」、そして1998年に「ちょうかい」が竣工した。「あたご型護衛艦」はヘリコプター搭載能力とミサイル防衛を考慮しており、一番艦「あたご」が2007年3月に竣工、舞鶴の第3護衛隊群に配備された。二番艦「あしがら」は2008年3月の竣工予定である。また、現在配備されている「こんごう型護衛艦」1隻をミサイル防衛に対応させる為の予算が2004年(平成16年)度予算で認められた。
現在イージス艦を保有、配備しているのはアメリカ、日本、スペイン、ノルウェーのみであるが、韓国、台湾もこれに加わる予定である。なお、中国海軍の052C型は、フェーズドアレイレーダーを装備しているものの、イージス艦には分類されない。また、性能面・信頼性どちらもアメリカのシステムほど高いとは言えないとされる。 ただしアメリカは国防上の機密を盾にイージスシステムの全容を公開してはいない。
[編集] イージス艦一覧(カッコ内は保有数)
- アメリカ(73隻)
- タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(22隻)
- アーレイバーク級ミサイル駆逐艦(51隻)
- 日本(5隻)
- スペイン(4隻)
- アルバロ・デ・バサン級フリゲート(4隻 1隻建造中)
- ノルウェー(1隻)
- フリチョフ・ナンセン級フリゲート(1隻 計5隻建造予定)
- 韓国(0隻)
- KDX-III級駆逐艦(1隻建造中 計3隻建造予定)
- 台湾
- 計画中
- オーストラリア
- 計画中
[編集] イージス艦を扱った作品
[編集] 架空のイージス艦
- オーブ海軍イージス艦(『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ)
- ダニロフ級イージス艦(『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ)
- DDH-182みらい(『ジパング (漫画)』)
- いそかぜ(『亡国のイージス』)