辛子蓮根
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[編集] 発祥と由来
熊本藩主細川忠利は生来病弱だったが、ある時前任地である豊前国耶馬溪羅漢寺の禅僧・玄宅が忠利を見舞った時に、蓮根を食べるよう勧めた。そこで藩の賄方であった玄五郎が、加藤清正が熊本城の外堀に非常食として栽培していた蓮根の穴に和辛子粉を混ぜた麦味噌を詰め、麦粉・空豆粉・卵の黄身の衣をつけて菜種油で揚げたものを忠利に献上したところ、忠利は喜んで食べたという。
蓮根は増血剤として優れている上に辛子には食欲増進作用があること、また蓮根を輪切りにした断面が細川家の家紋(九曜紋)と似ていたことから門外不出の料理とされていたが、明治維新からは一般にも製法が伝わった。
[編集] 製法
蓮根をたわしでよく洗い、両端を切り落としておいたものを、沸騰したお湯の中に入れ15分ぐらい茹る。茹であがったら蓮根を笊に立て陰干しをし水気を取っておく。
味噌、粉辛子、蜂蜜を混ぜ合わせて作った辛子味噌を蓮根の穴に隙間無く詰め込み、5時間以上置いておく。辛子味噌を山盛りにしておき、蓮根の断面を上から山を削るように押しつけるのが、もっとも簡単な辛子味噌の詰め方である。
辛子味噌を詰めておいた蓮根に、小麦粉・ターメリック・水を粘りが出るように混ぜ合わせて作った揚げ衣を、たっぷり満遍なくつけて中温(180度)の油で揚げる。油は通常菜種油を使うため、衣のターメリックとの相乗効果で出来あがりは黄色く発色した状態となっている。揚げあがったら、適度な厚さで輪切りにして食べる。
蓮根につめた辛子が口にいれたときに強いアクセントとなり、ご飯のおかずにも酒の肴にもよく合う。
[編集] 食中毒事件
1984年、辛子蓮根による集団食中毒事件が発生、36名が中毒症状に陥ってうち11名が死亡した。この食中毒は真空パックした商品でのみ起こったが、滅菌処理を怠ったためパック内に嫌気性のボツリヌス菌が繁殖し、さらに真空パックのため辛子の成分が揮発せず菌が生き続けるという悪条件が重なって発生したことが判明している。
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