近代美術と現代美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
近代美術は、modern artの、現代美術は、contemporary artの、それぞれ翻訳であると思われるが、その意味するところはケースによって様々である。
一般に、時代区分の近代と現代には不変の境界が設けられることはなく、その時々の現代が時間の経過とともに近代に変化するという傾向が不可避なことが、近代美術と現代美術の定義の曖昧さの大きな原因ともなっていると言える。
近代美術の指し示す範囲の考え方にはおおむね以下のような種別がある。
- 19世紀前半の、新古典主義・ロマン主義・写実主義以降を近代美術とする考え方
- 19世紀後半の、印象主義(印象派)・象徴主義・後期印象主義(後期印象派)以降を近代美術とする考え方
- 19世紀末の後期印象派以降を近代美術とする考え方
- 20世紀初頭のフォーヴィスム・ドイツ表現主義以降を近代美術とする考え方
- 20世紀初頭のキュビスム以降を近代美術とする考え方
- 日本に限っていえば、明治維新以降の美術、または明治末期以降の美術を近代美術とする考え方
など。
近代美術に対して、現代美術の指し示す範囲の考え方にはおおむね以下のような種別がある。
- 20世紀初頭のフォーヴィスム・ドイツ表現主義以降を現代美術とする考え方
- 20世紀初頭のキュビスム 以降を現代美術とする考え方
- 20世紀前半のシュルレアリスム・抽象絵画(抽象美術)以降を現代美術とする考え方
- 第二次世界大戦以降の美術を現代美術とする考え方
- これらとは別に、20世紀以降の美術全体を現代美術とする考え方
などがある。 なお、5番目の考え方のような範囲の美術を示す場合には、誤解が生じないように「20世紀の美術」または「20世紀美術」と呼ぶこともある。