阿里山森林鉄路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
阿里山森林鉄路(ありさんしんりんてつろ、中国語繁体字:阿里山森林鐵路)は台湾に現存する森林鉄道の一つ。中華民国行政院の管理下にある国有鉄道の一つであるが、交通部台湾鉄路管理局の所属ではなく、農業委員会林務局嘉義林管處の所属となっている。阿里山や玉山観光の足としても利用されている。
[編集] 概要
日本統治時代に阿里山のタイワンヒノキ(中国語 紅檜)などの豊富な森林資源輸送を目的に1906年から建設を開始し、1908年に平地部分である嘉義—竹崎間が完成、1912年に二萬平まで67.1kmが完成した。1914年には沼の平(ぬのひら、現 沼平)まで延伸工事が完成し、現在の本線部分が全線開通した。その後も多くの支線が建設され、日本の神社建築などに用いる巨木も、少なからずこの鉄道を用いて運び出された。
1907年にアメリカリマ社から導入された蒸気機関車はシェイ式と呼ばれる特殊な片側縦置きのシリンダを持ち、傘型ギヤで動力を伝える間接駆動方式となっていた。現在は通常運転には使用されていないが、阿里山駅や奮起湖駅に動態保存されている。
本線は嘉義-沼平間72.7kmの区間で、2250m以上の高さを登るため、急峻な区間が続き、ループ線やスイッチバックを組み合わせている。また、渓谷を見下ろす雄大な景色も魅力で、沿線の植物は平地から海抜800m以下の部分が熱帯林、800mから1600mまでが亜熱帯林、1600m以上が温帯林となっており、垂直分布の違いによる車窓の変化も楽しむことができる。
2007年現在、本線には毎日一往復の全席指定特急列車が運行されているほか、日曜日などに普通列車が一往復運行されている。特急列車の指定席は阿里山森林鉄路の北門駅のほか、台鉄の嘉義駅でも販売されている。途中、停車する奮起湖駅には駅弁がある。
また、祝山線は、ご来光の時間に合わせて未明に阿里山駅を出発する列車が毎日1便運行されており、ご来光の30分ほど前に祝山駅に到着、すぐ前にある展望台から、玉山方向から昇る朝日を拝めるように考えられている。また、日の出の40分後ぐらいには、帰りの阿里山行き列車が運転される。
[編集] 路線一覧
- 阿里山線(本線) 嘉義-沼平(元の阿里山駅)
- 祝山線 沼平-祝山(御来光に合わせて早朝に運転)
- 眠月線(旧称塔山線) 沼平-眠月(台湾大地震後運休、復旧工事中)
- 水山線 元貨物線で、観光客向け運転の予定