陀羅尼
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基本教義 |
縁起、四諦、八正道 |
三法印、四法印 |
諸行無常、諸法無我 |
涅槃寂静、一切皆苦 |
人物 |
釈迦、十大弟子、龍樹 |
如来・菩薩 |
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部派・宗派 |
原始仏教、上座部、大乗 |
地域別仏教 |
インドの仏教、日本の仏教 |
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経典 |
聖地 |
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陀羅尼 (だらに)とは、仏教において用いられる呪文の一種で、比較的長いものをいう。通常は訳さず(不翻)、サンスクリット原文を漢字に音写したものを唱える。
梵名はダーラニー (Skt:dhāranī धारणी)で、総持、能持、能遮等と意訳される。ダーラニーとは「記憶して忘れない」という意味で、本来は仏教修行者が覚えるべき教えや作法などを指した。
やがてこれが転じて「暗記されるべき呪文」と解釈される様になり、一定の形式を満たす呪文を特に陀羅尼と呼ぶ様になった。
本来、陀羅尼は暗記して繰り返しとなえる事で雑念を払い、無念無想の境地に至る事を目的とした。「能遮」という意訳は雑念妄想を「能く遮る」という意味である。
その構成は、多くの場合まず仏や三宝などに帰依する事を宣言する句で始まり、次にタド・ヤター(『即ち、この尊の肝心の句を示せば以下の通り』の意味。一般には「タニャター」「トニヤト」「トジト」等と音写される)と続き、本文に入る。本文は多くの場合、神や仏、菩薩や仏頂尊などへの呼びかけや賛嘆、願い事を意味する動詞の命令形等で、思想上あまり深い意味は無い。そして最後に成功を祈る聖句「スヴァーハー」「ソワカ」「ソモコ」等で終わる。
陀羅尼の本文が意味希薄な言葉なのは、これが本来無念無想の境地に至る事を目的としていたためで、あまり具体的な意味のある言葉だと日常的な連想が働いて却って雑念を呼び起こしてしまうからである。
しかしそのあまりに神秘的な響きから、やがてこれを唱えたり書写したり、また暗記する事で様々な霊験が現れるという信仰が生まれた。