飛行場管制
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空港の管制塔(コントロール・タワー)では、飛行場とその周辺を航行する航空機を、目視により管制しており、これを飛行場管制(ひこうじょうかんせい)と呼んでいる。この業務は飛行場内エプロンを除く走行地域と航空交通管制圏内の空域をその対象としている。
飛行場管制は元々、無線交信を担当する席と直通電話等を使用して調整を行う席のみであったが、現在のトラフィック量(交通量)から言って、規模の大きい空港においては前述2席のみではトラフィックを捌ききれないため、いくつかの席に分けて行われている場合がある。以下に例を示す。
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[編集] 管制承認伝達席
クリアランスデリバリーなどと呼ばれる。
計器飛行方式により管制空域を航行しようとする航空機は、管制機関から飛行計画のうち、経路、高度等管制業務に関係ある事項について管制機関が与える承認を得る必要がある。 この承認を行うのが、クリアランスデリバリーである。
計器飛行方式により出発する航空機がいちばん最初に通信を行う管制機関である。
[編集] 調整席
フライトデータ、略してFDと呼ばれることが多い。
関係機関との調整を行う席である。
[編集] 地上管制席
グランドと呼ばれる。走行地域のうち滑走路を除く部分を担当する。なお、乗客の乗降、貨物の積み降ろし、整備又は停留のために行われるエプロン内の航空機の移動については管制業務の対象ではない。
クリアランスデリバリーより管制承認を受けた航空機はグランドへ通信の移管が行われ、プッシュバックもしくは地上走行のリクエストを行う。リクエストを受けたグランド管制官は地上走行の経路の指示を行う。
なお、有視界飛行方式により出発する航空機がいちばん最初に通信を行う管制機関でもある。
なお、成田空港の場合、駐機場近辺は成田国際空港株式会社の管理するランプコントロールという部署が置かれており、グランドと分離されている。
[編集] 飛行場管制席
タワーと呼ばれる。滑走路を使用する航空機及び管制圏内を飛行する航空機に対して指示を行う。従って航空機の離着陸の許可はタワーの担当である。
離陸する航空機の場合、通常、離陸滑走開始点に近づく前にグランドよりタワーへ通信の移管が行われ、交通状況が許せば、滑走路進入の指示もしくは離陸の許可を発出する。計器飛行方式で飛行する航空機の場合、離陸後はディパーチャーへ引き継がれるか、エンルート(航空路管制)へ引き継がれる
有視界飛行方式により着陸する航空機の場合、管制圏へ近づくとタワーを呼び出し着陸のリクエストを行う。リクエストを受けたタワーコントローラーは滑走路に至るまでの飛行方法の指示を行い、交通状況が許せば着陸の許可を発出する。着陸後、滑走路を離脱した航空機はグランドに通信移管される。
計器飛行方式により着陸する航空機の場合、アプローチもしくはエンルートより進入許可(あくまでILS等による進入許可であり、この時点では着陸は許可されていない)を受けた後、タワーに移管され、進入の継続、着陸の許可等の指示を受ける。着陸後、滑走路を離脱した航空機はグランドに通信移管される。
以上が大きな空港においての代表的な例であるが、管制承認伝達席のない空港においては、地上管制席が管制承認の伝達を行う等、空港によって席の構成が違っている。