飛行場
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飛行場(ひこうじょう)は航空機が発着する場所である。
[編集] 概要
民間用の飛行場は、用途によって大きくふたつに分類される。公共の用に供することを目的とした飛行場を「公共用飛行場」、そうでないものを「非公共用飛行場」という。飛行場に主として離発着する航空機のうち最大のものが常用できるように計画・設計される。飛行場は全体の敷地内に滑走路、着陸帯、過走帯、誘導路、エプロンといった基本施設と、定期航空運送事業者が利用するような規模の大きなものになると、夜間運用に必要な滑走路灯をはじめとする航空灯火施設、無線誘導により航空機を計器進入させる航空保安施設(無線誘導施設など)が必要となり、基本施設に併せて計画・設計される。
飛行場の基本構成はハードおよびソフトを含めて、1944年12月7日にシカゴで採択された「国際民間航空条約(Convention on International Civil Aviationいわゆるシカゴ条約」に基づき、1947年4月4日発足した「国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization 略称:ICAO)」が定める飛行場を設置する際の推奨標準に基づきデザインされる。日本国においては、「国際民間航空条約の規定ならびに同条約の付属書として採択された標準、方式ならびに手続きに準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、もって航空の発達を図ることを目的とする」ための法律である、航空法(昭和27年7月15日法律231号)に基づく安全基準が適用される。
日本国内で飛行場を設置する場合には、航空法第38条の規定に基づき、国土交通大臣に設置許可申請を行う必要がある。飛行場の建設用地選定で重要なのは、航空法第49条に規定される、航空機の離発着に必要な無障害物の空間(制限表面)を確保することである。また、航空法に規定のある各種基準を充分に満たすように綿密に計画しなければならない。大規模の飛行場設置計画の場合は、飛行場計画地の属する各自治体に各種の事前調整を行い、環境アセスメント手続き等を行う場合が多い。また、航空法第39条第2項の規定に基づき、航空機の離発着経路の直下にあたる地域住民と周辺住民(利害関係者)に対して、必ず公聴会を行うよう義務付けられる。
国土交通大臣が申請を許可した場合、国は航空法第40条の規定に基づき当該飛行場の位置及び範囲、着陸帯、進入区域、進入表面、転移表面、水平表面並びに供用開始の予定期日を告示するとともに、現地においてこれを掲示しなければならない。
設置許可を受けた申請者は、申請書に自ら記した工事完成予定期日までに工事を完了する必要がある。完成後は、航空法第41条の規定に基づく国土交通大臣による完成検査に合格し、空港設置申請者において供用開始日を定め、大臣に提出しなければならない。これを受けて、国が行う、航空法第46条に基づく供用開始の告示を経て、供用開始日において初めて営業をスタートすることが可能になる。
公共用飛行場の場合、設置申請者が行う飛行場設置許可申請に基づく手続きと並行して、国土交通省航空局によって、新たに飛行場が設置されること、新たに設置される飛行場を利用するための進入・出発手続きが新たに設定されることについて、例え日本国内の飛行場であっても、AIRAC(運航規程等の変更を必要とするような運航上重要な航空情報を世界的に統一された有効日に合わせて有効となるよう有効日の少なくとも28日前に配布先に届くよう作成される方式を意味し、航空路誌改訂版及び航空路誌補足版の冒頭にAIRACと付される)によって条約批准国に対して、その飛行場の存在および離着陸を行うための進入・出発方法を国際的に周知する手続きが行われる。飛行場の供用開始日の56日前(AIRACの周知期間2周期分)に、航空路誌(Aeronautical Information Publication、略称AIP)に追訂するかたちで国際的に周知される。
飛行場周辺とその空域周辺ではターミナルレーダー管制、飛行場と飛行場を結ぶ航空路では航空路レーダー管制が行われ、前者は国土交通省航空局の空港事務所、後者は同省同局の航空交通管制部に所属する航空管制官により飛行中の航空機の交通整理が行われる。(非公共用飛行場を除く。また、公共用飛行場でもヘリポートは除く)
国際民間航空機関(ICAO)では、旅客、貨物などの輸送に使われ、港のような役割を持つ公共用の飛行場を特に空港と呼ぶとしている。航空法では、航空機の離発着の用に供する施設を飛行場と表記している。また、空港整備法(昭和31年4月20日法律80号)第2条で、空港の定義及び種類分けをしている。空港とは、主として航空運送の用に供する公共用飛行場であつて、第一種空港、第二種空港、第三種空港とに分けている。グレード分けの規定は同法第3条~第5条に規定され、空港整備法施行令(昭和31年7月10日政令第232号)において、該当空港を分類している。
飛行場は、民間用、軍用、軍民共用といった形態でも分類される。民間飛行場はその国の航空当局により管轄され、軍用飛行場は軍隊や航空自衛隊により管轄運営される。日本の三沢飛行場のように、アメリカ空軍が管理運営し管制は航空自衛隊が実施している飛行場に、日本国内の定期航空路線の航空機が離発着する共用飛行場もある。
[編集] 日本国内の主な飛行場(官用・官民共用を含む)
※第一種・第二種・第三種空港に該当する大規模な空港については、日本の空港を参照。
- 北海道 - 十勝飛行場(陸上自衛隊) - 千歳飛行場(航空自衛隊) - 札幌飛行場(官民共用) - 鹿部飛行場 - 旭川飛行場(陸上自衛隊) - 愛別飛行場(民間) - 弟子屈飛行場 - 計根別飛行場(航空自衛隊) - 八雲飛行場(航空自衛隊)
- 青森県 - 八戸飛行場(海上自衛隊) - 三沢飛行場(官民共用) - 大湊飛行場(海上自衛隊)
- 宮城県 - 霞目飛行場(陸上自衛隊) - 松島飛行場(航空自衛隊) - 瀬峰場外離発着場
- 栃木県 - 宇都宮飛行場(陸上自衛隊)
- 茨城県 - 龍ヶ崎飛行場 - 阿見飛行場 - 大利根飛行場 - 霞ヶ浦飛行場(陸上自衛隊) - 百里飛行場(航空自衛隊・官民共用化工事中)
- 群馬県 - 大西飛行場(民間・廃止)
- 埼玉県 - ホンダエアポート - 入間飛行場(航空自衛隊)
- 千葉県 - 館山飛行場(海上自衛隊) - 木更津飛行場(陸上自衛隊) - 下総飛行場(海上自衛隊)
- 東京都 - 調布飛行場 - 横田飛行場(米空軍) - 立川飛行場(陸上自衛隊) - 硫黄島飛行場(海上自衛隊) - 南鳥島飛行場(海上自衛隊)
- 神奈川県 - 厚木飛行場(米海軍・海上自衛隊) - キャスナー飛行場
- 静岡県 - 浜松飛行場(航空自衛隊) - 静浜飛行場(航空自衛隊)
- 石川県 - 小松飛行場(官民共用)
- 岐阜県 - 岐阜飛行場(航空自衛隊)
- 愛知県 - 県営名古屋空港(官民共用)
- 三重県 - 明野飛行場(陸上自衛隊)
- 京都府 - 舞鶴飛行場(海上自衛隊)
- 大阪府 - 八尾飛行場(官民共用)
- 兵庫県 - コウノトリ但馬空港(県営)
- 岡山県 - 岡南飛行場(県営) - 笠岡ふれあい空港(旧農道離着陸場)
- 鳥取県 - 美保飛行場(官民共用)
- 広島県 - 広島西飛行場(県営) - 豊栄飛行場
- 山口県 - 岩国飛行場(米海兵隊・海上自衛隊) - 防府飛行場(航空自衛隊) - 小月飛行場(海上自衛隊)
- 徳島県 - 徳島飛行場(官民共用) - 小松島飛行場(海上自衛隊)
- 福岡県 - 築城飛行場(航空自衛隊) - 芦屋飛行場(航空自衛隊)
- 佐賀県 - 目達原飛行場(陸上自衛隊)
- 熊本県 - 天草飛行場(民間)
- 大分県 - 大分県央飛行場(旧農道離着陸場)
- 宮崎県 - 新田原飛行場(航空自衛隊)
- 鹿児島県 - 枕崎飛行場 - 薩摩硫黄島飛行場 - 鹿屋飛行場(海上自衛隊)
- 沖縄県 - 普天間飛行場(米海兵隊) - 読谷補助飛行場 - 嘉手納飛行場(米空軍)- 伊是名場外離発着場