騎士 (ファイブスター物語)
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騎士(ナイト、きし)とは、永野護の漫画『ファイブスター物語』に登場する用語である。極めて高い反射速度と耐久性・筋力を持ち、モーターヘッドを駆り戦場にて戦うことを生業としている人々を指す。ヘッドライナーともいう。
おおむね国家や各種騎士団・傭兵騎士団に所属する他、各地組織の用心棒などとして雇われることも多い。一般には自らのモーターヘッドとファティマを持つことが、騎士としての最低条件と見なされる。騎士は超帝國に誕生した騎士達の血を受け継いでいるが、その血を濃く受け継いでいる者らの能力は絶大で、純血の騎士として一般の騎士とは区別される場合がある。
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[編集] 騎士の素質と処遇
騎士は貴族の家系に現れる事が多いと思われているが、「純血の騎士」の血は全星団に劣性遺伝として広く行き渡っており、約20万分の一と確率は低いものの庶民の中からも騎士が生まれることがある。ボォス星の少数民族であるミミバ族は、貴族や豪族の家系ではないものの騎士並の能力を持っている者が多く、優秀なヘッドライナーを輩出している。そうでなくても「準騎士」クラスの者も多く、忍者として情報収集や工作活動などに就いているとして知られている。存在自体が貴重で世襲が不可能であるため、騎士の身分は貴族より上に置かれている。
騎士の超人的能力は、生まれながらに有しているものではなく、成長過程で起こる「騎士代謝」と呼ばれる生理現象によって、身体が作り変えられることで獲得されるものである。騎士代謝は、一般的に幼少期に起こるものであるが、稀に成人後に起こる例も知られており、この場合には変態時の身体的負担がより大きくなるために死亡する確率が高い。またファティマの製造技術を応用した有機合成による四肢再生技術においても、完全な回復には一般人より時間がかかる(騎士能力の完全な回復には数年を要する)ため、騎士は普段から身体の各パーツを複製しておき、戦闘による損傷時はそれを移植する事で早期回復を図る事が多い。
騎士はその超人的な身体能力故に、一般人から尊敬される一方で妬みや羨望、恐怖の対象となっている。また「星団法」により、如何なる理由があろうとも職務に無関係な形での一般人への暴行は重罪と見做されるなど、人権を制限されている。これらの制限は騎士の能力が発現していれば年齢などに関わらず適用され、例えば幼少の頃であっても周囲からのいじめに対して暴力をもって仕返しをすることは決して許されない。貴族や有力者の家系であってもこれらの制限を免れないが、国王やそれに準じたクラスともなると、往々にして法違反行為をもみ消すこともある様だ。騎士である以上は、強ければ国家や傭兵団のヘッドライナーに、弱くても「騎士警察官」や警備員の様な仕事に就かなければならず、実質上「職業選択の自由」は存在しない。作中にバスケットボールらしきスポーツの存在が描かれているが、騎士は「プロスポーツ選手」にはなれない(騎士が一般人に混じってスポーツをするのは、人間の100メートル走にチーターが参加したり、人間の綱引きにゾウが参加したり、人間の競泳自由形にイルカが参加したりする様な物で、まるで勝負にならないからである。)。
騎士に求められているものはヘッドライナーとしての活躍であるが、そのためにはファティマの存在が欠かせない。しかしながら、「マスターの選択」はファティマに許された数少ない権利の一つであり、弱い騎士はファティマには選ばれないことがある。ファティマがなければモーターヘッドの操縦はできず、ファティマを持たない騎士は一般市民からは「半騎士」と呼ばれて馬鹿にされている。また、名声を上げるためには、国家騎士団などに所属し出世するのが近道であるが、能力があったとしても従順な騎士を選ぶ騎士団が少なくないため、出世の道は険しい。貴族や高名な騎士の家系に生まれた騎士達は、家の名声ゆえに武功を立てる事が強く期待され、それ無しには高い地位に就いたり庶民を治める力を持つことができない。また、騎士には戦争において「一騎打ち」が優先される、自分の名誉を守るなど独特の権利である「騎士権」が認められている。
騎士が銃ではなく剣を武器として使うのは、その身体能力に起因する。銃弾を目で見て回避しコンクリートを素手で破壊できるパワーを持つ騎士にとっては、点の攻撃である銃よりも線の攻撃である剣を用いた接近戦が最も能力を生かせる戦術となるのである。
[編集] 騎士の称号
騎士への称号としては大別すると剣聖と天位がある。剣聖は騎士として最も優れた者に与えられ、天位の中でもより優れた者には小天位と強天位という称号が与えられる。代々のバキンラカンの聖帝には騎士の技量を見抜く能力があるとされ、聖帝のみ位を授与する権利を有する。様々な剣技が存在するが、その難易度により各称号相当だというランク付けがあり、剣聖剣技・天位剣技がある。また肉体での戦闘に限らず、これらをモーターヘッド騎乗時に応用してMH剣技として使う者もいる。
[編集] 剣聖
その時代で最も優れた技能を持つ者に与えられる称号。基本的に騎士の力を見抜く能力があるバキンラカン聖帝、もしくはアトールの皇帝のみに称号授与の権限がある。他の称号を持つ者と比較して技能に明確な差がある。原則として空位はなく、剣聖の死亡あるいは行方不明、また引退などにより空位になった場合には、星団の有力者らにより次の剣聖の選出が行われる。強天位を持つ者が剣聖として選ばれる可能性もあり、適格者不在の場合は剣聖の称号を返上した者が再度剣聖に就く場合もある。現在は剣聖カイエン死亡直後のため一時的に空位。AD世紀の時期にも同名の称号が存在していたが、最も強力な騎士という点が同様であるだけで、現在のものとの連続性は無いと思われる。現時点で発表されている剣聖は、その殆どが「純血の騎士」もしくはその数代以内の子孫である。純血の騎士の力がいかに絶大なものであるかが垣間見えるともいえる。
[編集] 過去の剣聖
- 初代
- ナッカンドラ・スバース(星団暦2310~2460)
- 2代目
- デューク・ビザンチン(2464~2549)
- 3代目
- ヘリデ・サヤステ(2550~2610)
- 4代目
- ハリコン・ネーデルノイド(2619~2620)
- 5代目
- ディモス・ハイアラキ(2620~2809)
- 6代目
- ダグラス・カイエン(2810~2819)
- 7代目
- ディモス・ハイアラキ (2819~2892)
- カイエンの行方不明により再着任
- 8代目
- 慧茄・ダイ・グ・フィルモア (2899~2970)
- 高齢のため離任
- 9代目
- ダグラス・カイエン(2970~3030)
- 再着任
- 10代目
- マドラ・モイライ(3030?~3075?)
- 剣聖預かり
- 11代目
- マキシマム・ハルトフォラス(3075?~3225?)
- 12代目
- ベルベット・ワイズメル(???~???)
[編集] 強天位
剣聖に次ぐ称号で、その称号は一時代に一人に限られる。天位を授ける権利を持つ。現在はジャコー。それ以前はアビエン・疋棟斎(ヒートサイ)。
[編集] 小天位
強天位に次ぐ称号で、その称号は一時代に一人に限られる。天位を与える権利を有する。現在はオルカオン・ハリス。
[編集] 天位
騎士として優れた技能を持った者へ与えられる称号。しかし明確な基準はなく、絶対的な強さを保証するものではない。存在を知られていない者や称号を希望しない者もおり、天位でなくても天位を超える能力を持つ者も数多く存在する。しかし称号を持つことは名誉だと考えられている。天位のみバキンラカンの聖帝やアトールの皇帝だけでなく天位よりも上位の称号の所有者からも与えられる。