高松琴平電気鉄道1200形電車
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高松琴平電気鉄道1200形電車(たかまつことひらでんきてつどう1200がたでんしゃ)は、高松琴平電気鉄道が保有する通勤形電車である。もと京浜急行電鉄700形で、1967・1970・1971年、東急車輌または川崎車輌(川崎重工)製。2003年から2006年に入線した。制御電動客車の1201~1216、1251~1256による2連11編成22輌が琴平線および長尾線に在籍する。
高松琴平電気鉄道及び四国初の4扉車両。琴平線在籍車輌で最大輌数を誇る。
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[編集] 車輌概要
[編集] 車体
最大長18500mmの全鋼製車体で、窓配置はC3'-d1D2D2D2D1である。連結面は幅広貫通路を採用している。 車内の座席はロングシートで、奥行きが浅め、位置は高めである。 座席のモケットは緑(優先席は赤)、化粧板も薄緑で、寒色系でまとめられている。
外板の塗装は当初より、路線別塗装が採用された。 琴平線用の1201~1216は上半分がアイボリー、下半分が黄色である。一方、長尾線用の1251~1256は上半分がアイボリー、下半分が緑色である。
なお、1201Fは「ことちゃんこんぴら号」としてマスコットキャラクターの「ことちゃん」のイラストが貼られている。また、1203F・1255Fは、新屋島水族館・せとうち夢虫館の全面広告電車、1205Fは金刀比羅宮の全面広告電車「しあわせさんこんぴらさん号」、1215Fは四国電力グループである四電エナジーサービスの全面広告電車となっている。
[編集] 走行装置
台車は川車(川重)製がTH-700K、東急製がTH-700Tである。形式は異なるが同一仕様である。なお、従来、京浜急行電鉄から購入する車輌は、重心の低い東急車輌製に限定されていた。これは川崎車輌製車輌が急曲線に弱点のある台車(OK-18、軸梁式)を使用していたためである。 主電動機は、東洋電機TDK-819または三菱電機MB-3070で、出力は150kW。平行カルダン駆動である。なお、ことでん在籍車輌中、最大出力である(但し編成出力は琴平線の他の営業用車輌と同じ600kW)。
[編集] 車輌来歴
[編集] 琴電入線前
京急700形は、1967年から1971年に普通列車用として製造された。 1980年から1988年に冷房化改造が実施された(冷房機は三菱製のCU-126 能力10.500Kcal/hを1両あたり3機搭載)。 その後、1998年から老朽化および加速性能の問題(2.7Km/h/s)、ATS更新(1号形ATS→C-ATS)等を理由に廃車が始まった。
[編集] 琴電入線後
一方、2002年、会社再建の始まった高松琴平電気鉄道に対して、高松市が車輌購入の補助金を出すことを決定。高松琴平電気鉄道ではこれを活用し、京浜急行電鉄の700形を購入することになった。 入線にあたり、以下の改造が京急ファインテックにより実施されている。
- 電動制御車と附随車による4輌編成から、制御電動車による2両編成に変更。なお、旧奇数車が偶数車(高松築港側)に、旧偶数車が奇数車(琴電琴平・長尾側)になっている。
- 各車、運転台側の台車から主電動機を撤去。1両あたりの主電動機は2個に。また、側先頭車の主制御器を撤去し、2両で1制御機を使用。
- マスコンをHL用に交換。制動機をHSC-D(発電制動併用電磁直通制動・応荷重制御、耐雪ブレーキ付)から電磁SME-D(非常管併設発電制動併用非セルフラップ式電磁弁付三管式直通空気制動)に変更。旧型車との併結および総括制御を可能にするためである。なお、1200形は自動加速制御(電動カム軸式)のままである。
- 旧奇数車のパンタグラフを撤去。なお、撤去跡は残っていない。
- 他形式と連結するため連結器を電気連結器付き密着連結器から密着自動連結器に復元。
- ジャンパ栓の新設。
- 空気圧縮機をAR-2形から琴電標準のC-1000形に交換。
- ブレーキシューをレジン製から鋳鉄製に交換。
- ATSを1号形から琴電形に変更。
- 速度リミッターの取り付け。(琴平線用は80km/h、長尾線用は65km/hで作動。)
- 旧奇数車(高松築港側先頭車)に車椅子スペースを設置。
- つり革を丸形から三角形に変更。
- 座席モケットの交換(一般席は緑、優先席は赤)
- 妻面窓のカーテンを撤去
- 運転台の圧力計を2個共に直通圧力計及び元空気溜め圧力計付に交換されている。なお、非常管圧力計は取り付けられていない。
2003年3月、1201~1206の3編成が航送・陸送により高松琴平電鉄に搬入、同月より営業開始した。 以降2004年11月に2編成(1207~1210)、2005年7月に2編成(1211~1214)、同年8月に1編成(1215~1216)が琴平線に投入され、合計8編成16輌となった。方向幕は京急時代と同様に黒地に白抜き文字となっている。このタイプはことでんでは初採用である。 一方、長尾線の路線改良工事が終了し大型車の入線が可能になったため、同線用として2006年7月に2編成が、同年12月に1編成が増備された。こちらは1250番台の車番(1251~1256)が付与され琴平線車輌と分けられている。これにより元・名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)の車両(600形)は志度線に転用し、残存する旧型車両を置き換える。 また、1250番台では四国の鉄道で初めて優先席付近を示し、携帯電話の電源を切ることを促すオレンジ色のつり革が採用されている。
[編集] 車歴
琴平線
- 琴電1201←京浜急行電鉄デハ706 1967年東急車輌製 2003年3月入線
- 琴電1202←京浜急行電鉄デハ705 1967年川崎車輌製 2003年3月入線
- 琴電1203←京浜急行電鉄デハ728 1970年東急車輌製 2003年3月入線
- 琴電1204←京浜急行電鉄デハ727 1970年東急車輌製 2003年3月入線
- 琴電1205←京浜急行電鉄デハ732 1970年東急車輌製 2003年3月入線
- 琴電1206←京浜急行電鉄デハ731 1970年東急車輌製 2003年3月入線
- 琴電1207←京浜急行電鉄デハ734 1970年東急車輌製 2004年11月入線
- 琴電1208←京浜急行電鉄デハ733 1970年東急車輌製 2004年11月入線
- 琴電1209←京浜急行電鉄デハ738 1970年川崎重工製 2004年11月入線
- 琴電1210←京浜急行電鉄デハ737 1970年川崎重工製 2004年11月入線
- 琴電1211←京浜急行電鉄デハ702 1967年川崎車輌製 2005年7月入線
- 琴電1212←京浜急行電鉄デハ701 1967年川崎車輌製 2005年7月入線
- 琴電1213←京浜急行電鉄デハ704 1967年川崎車輌製 2005年7月入線
- 琴電1214←京浜急行電鉄デハ703 1967年川崎車輌製 2005年7月入線
- 琴電1215←京浜急行電鉄デハ724 1970年川崎重工製 2005年8月入線
- 琴電1216←京浜急行電鉄デハ723 1970年川崎重工製 2005年8月入線
長尾線
- 琴電1251←京浜急行電鉄デハ736 1970年川崎重工製 2006年7月入線
- 琴電1252←京浜急行電鉄デハ735 1970年川崎重工製 2006年7月入線
- 琴電1253←京浜急行電鉄デハ742 1971年川崎重工製 2006年7月入線
- 琴電1254←京浜急行電鉄デハ741 1971年川崎重工製 2006年7月入線
- 琴電1255←京浜急行電鉄デハ740 1971年川崎重工製 2006年12月入線
- 琴電1256←京浜急行電鉄デハ739 1971年川崎重工製 2006年12月入線
[編集] 編成
- 1201(706)-1202(705)
- 1203(728)-1204(727)
- 1205(732)-1206(731)
- 1207(734)-1208(733)
- 1209(738)-1210(737)
- 1211(702)-1212(701)
- 1213(704)-1214(703)
- 1215(724)-1216(723)
- 1251(736)-1252(735)
- 1253(742)-1254(741)
- 1255(740)-1256(739)
[編集] その他
高松琴平電気鉄道の電車 |
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現用車両 |
営業用(カルダン駆動・冷房車):600形・700形・1070形・1080形・1100形・1200形 営業用(釣掛駆動・非冷房車):20形III・30形III・60形・1000形・3000形・5000形 事業用:デカ1形・13000形 |
過去の車両 |
01形・変1形・10形・20形I・20形II・30形I・30形II・50形I・50形II・70形I・70形II・80形I・80形II・90形 750形・820形・850形・860形・880形・890形・920形・950形・1010形・1013形・1020形・1050形 1053形・1060形・1063形・2000形・6000形・7000形・8000形・9000形・10000形・11000形・12000形 |
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