黒部川第四発電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
黒部川第四発電所(くろべがわだいよんはつでんしょ)は黒部ダムから水を引いて発電を行う、関西電力の水力発電所。通称「くろよん」として有名。
1958年に世界銀行から3700万ドルの融資を受けるなどし、1963年に完成。また、取水する黒部ダムの建設のためにつくられた「関電トンネル」の工事では冷水と破砕帯との闘いとなり、小説・映画『黒部の太陽』の舞台ともなった。現在は無人化されている。1961年1月15日発電開始。最大出力33万5000kW(建設当時25万8000kW)、使用水量72.0m³、有効落差545.5m。
環境保護のため及び厳冬期の雪崩対策として、この発電施設及び輸送ルートや送水管はすべて地下に作られている。
[編集] 発電所までのルート
発電所までのルートは、黒部ダムからのルートと宇奈月温泉側からのルートの2ルートがある。 黒部ダムからのルートは、黒部ダムから黒部トンネルを通過するルートである。大町市側からなら通年行くことができる。 また、宇奈月温泉側からのルートは、宇奈月駅から欅平駅までの黒部峡谷鉄道を終点の欅平駅まで利用し、欅平駅から関西電力黒部専用鉄道を使うことになる。ただし、関西電力黒部専用鉄道は通年運行するものの黒部峡谷鉄道が冬季は運休するため、通年利用できるルートではない。
なお、どちらも原則として関西電力関係者以外は利用することが出来ず、一般人はどちらのルートからも行くことはできない。
- 黒部トンネルは、立山黒部アルペンルートの関電トンネルとつながっているが、一般に開放されている関電トンネルと異なり、原則として関西電力関係者以外は通行できない。また、関西電力黒部専用鉄道も関係者専用である。
ただし、関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」に応募し当選すれば、黒部トンネルから黒部川第四発電所を見学して、関西電力黒部専用鉄道に乗車し欅平までのコース、あるいはその逆コースを通行することができる。「黒部ルート見学会」は一般人がこの発電所を見学できるほぼ唯一の方法でもある。
[編集] 建設資材の輸送
建設資材等は、富山地方鉄道(旧黒部鉄道方面)が現在のJR黒部駅へ乗り入れて運搬していた。
- そのため、かつては両線の線路は電鉄黒部駅とJR黒部駅の間でつながっていたが、1969年(昭和44年)8月17日付で同区間の営業が廃止となり、現在では線路は取りはずされて富山地方鉄道電鉄黒部駅やJR黒部駅にその跡がかすかに残っているだけである。
[編集] テレビへの登場
NHKの「プロジェクトX~挑戦者たち~」で、この発電所の建設にまつわるエピソードが取り上げられた。これに関連して、2002年の第53回NHK紅白歌合戦において、中島みゆきが発電所に隣接する関西電力黒部専用鉄道の駅構内のトンネル内でその主題歌である「地上の星」を生中継で歌った。歌詞を間違えたことで有名。