立山黒部アルペンルート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
立山黒部アルペンルート (たてやまくろべアルペンルート)は、富山県中新川郡立山町の立山駅(富山地方鉄道)と、長野県大町市の扇沢駅とを結ぶ交通路であり、国際的にも大規模な山岳観光ルートである。1971年6月1日全通。なお、富山地方鉄道の電鉄富山駅からJR信濃大町駅までとされる場合もある。
[編集] 概要
立山駅から扇沢駅まで、ほぼ東西に25km足らずの直線距離だが、最大高低差は1,975mあり、ルート内の交通機関として、立山連峰の景観を望む立山ロープウェイ、全線地下式のケーブルカー、黒部ダム建設に用いられたトンネルを通るトロリーバス、国内一の堤高を持つ黒部ダムの堰堤上の徒歩での移動など、様々な乗り物を乗り継いで移動する。そのほぼ全区間が中部山岳国立公園内にあり、飛騨山脈・立山連峰を貫き、黒部ダムなどのいくつもの景勝地を通る。途中駅にはホテル等の宿泊施設もあり、それぞれが登山、散策、トレッキング、その他の観光コースの基点にもなっている。
最高地点は、立山登山の基点ともなる室堂で標高2,450m。富山県側の立山から黒部湖までの区間は山岳観光や立山の登山客の便を図る為に作られた。黒部ダムから扇沢の区間(途中に富山県、長野県の県境)は黒部ダム建設の資材運搬の為に建設され、ダム完成後に一般の旅客に開放された。
立山黒部アルペンルートは、登山道を除けば富山県と長野県とを直接結ぶ唯一の交通路である。しかし、自然保護の観点などから運賃が高目に設定されていることと、多くの乗り物を乗り継がなければならないことから、富山・長野間の移動を主目的として用いられることはほとんどない。乗客の大半は観光客である。
また、桂台料金所~美女平間および追分~室堂間の立山有料道路(富山県道6号富山立山公園線の一部)は、路線バス、観光バスや公安委員会の許可を受けた車両、緊急自動車しか通行できない。
昭和40年代の開通当初には一般車両を通行させる計画もあり、小型乗用車12,800円・普通乗用車18,900円の料金設定がなされたが、実際に一般車両を通行させることはなく現在に至っている。
[編集] 構成
立山黒部アルペンルートは、以下の交通機関から構成される。立山駅から扇沢まで、乗り換え時間を含めない合計移動時間は2時間弱。電鉄富山~信濃大町間の片道通し乗車券はおとな10,560円、こども5,290円。目的地までの乗車券を個別に購入することも可能。
- 電鉄富山駅~立山駅:富山地方鉄道本線・立山線(主に個人客が利用。団体客は観光バスを利用することが多い。)
- 立山駅~美女平駅:立山黒部貫光立山ケーブルカー
- 美女平駅~室堂駅:立山黒部貫光立山高原バス
- 室堂駅~大観峰駅:立山黒部貫光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)
- 大観峰駅~黒部平駅:立山黒部貫光立山ロープウェイ
- 黒部平駅~黒部湖駅:立山黒部貫光黒部ケーブルカー
- 黒部湖駅~黒部ダム駅:黒部ダム堰堤上を徒歩連絡
- 黒部ダム駅~扇沢駅:関西電力(関電トンネルトロリーバス)
- 扇沢駅~信濃大町駅:松本電気鉄道(大町アルペンライン路線バス 主に個人客が利用。団体客は観光バスを利用することが多い。)
黒部ケーブルカーは全線がトンネル内である。また、立山ロープウェイは途中に支柱を1本も設けていない。これらは自然環境に配慮した結果である。 さらに立山高原バスはディーゼルバスからハイブリットバスへの移行を進めており、2006年現在、所有台数の半数に及ぶ。