DIVE!!
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DIVE!!(ダイブ)は森絵都による飛込みを題材とした「スポ根」青春小説シリーズ。2000年から2002年にかけて、講談社より1~4巻が刊行された。第52回小学館児童出版文化賞受賞作。2006年に角川文庫より文庫版(上・下)が発売された。
目次 |
[編集] シリーズ
- 講談社刊
- DIVE!! 1 - 前宙返り3回半抱え型 ISBN 4062101920
- DIVE!! 2 - スワンダイブ ISBN 4062105209
- DIVE!! 3 - SSスペシャル'99 ISBN 4062108577
- DIVE!! 4 - コンクリート・ドラゴン ISBN 4062114143
- 角川書店刊
- DIVE!! 上 (1・2巻分) ISBN 4043791038
- DIVE!! 下 (3・4巻分) ISBN 4043791046
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
坂井知季の通うミズキダイビングクラブ(MDC)は赤字経営による存続の危機に陥っていた。MDCを閉鎖しようとする親会社を説得し、新コーチ・麻木夏陽子が提案したクラブ存続の条件は「次の年のオリンピックにMDCから日本代表選手を送り出す」というものだった。選考会に向けて、知季たちの過酷な練習の日々が始まった。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- 坂井知季(さかい ともき)
- MDCに在籍する中学生。飛込み暦は6年。天性の柔軟な体と「ダイヤモンドの瞳」を持つ。初めは平凡な選手だったが、夏陽子の指導で急速に成長していく。
- 沖津飛沫(おきつ しぶき)
- 幻の高校生ダイバー。昭和の初めに天才ダイバーと騒がれた、沖津白波の孫。13歳から、海に向かって飛込みをしていた。夏陽子との「契約」でMDCにやって来た。巨体を生かした豪快で勇壮な演技が持ち味。
- 富士谷要一(ふじたに よういち)
- 元飛込み選手の両親を持つサラブレッド。小学2年生から飛込みを始めて、現在高校生。3年連続中学生チャンピオンの実績を持つ、MDC一の実力者で裏のボス(サッチン談)。一寸の乱れもない安定した演技が武器。美男子だが、彼女いない暦=年齢。レモンイエローのパンツで試合に出る。
[編集] MDCのクラブメイト
- レイジ
- 知季と同い年で、同じ頃に飛込みを始めた。神経質なところがあり、演技の際にもジンクスを気にする。
- 陵(りょう)
- 知季と同い年で、半年遅れで飛込みを始めた。負けず嫌いな性格。昔、要一に試合前に真っ赤な海パンを隠されたことがある(当時は要一が隠したとは知らなかった)。
- 幸也(さちや)
- 年齢は知季たちより1つ下。趣味はママさんシンクロの人間模様の観察。愛称はサッチン。選考には参加せず、「サポーター」を務める。
[編集] MDCのコーチ
- 麻木夏陽子(あさぎ かよこ)
- MDCに新しくやって来たコーチで、中学生の担当。MDCの創設者である、水城真之介の孫。飛込みに関する天性の勘を持つ。MDCのコーチになるため、アメリカでコーチング技術を学んだ。コーチとしての技量は富士谷コーチが保証するほど。まだ結婚願望は捨てていない。
- 富士谷敬介(ふじたに けいすけ)
- 中学生と小学生の両方を監督する。要一の父で、飛込みの元オリンピック選手。父子の間には一定の距離を置いている。
- 大島(おおしま)
- 小学生を担当している。津軽から上京してきた飛沫と同居している。飛沫曰く「やたらよくしゃべる」。得意料理(唯一のレパートリー)はすき焼き。
[編集] ライバルたち
- 寺本健一郎(てらもと けんいちろう)
- 作中には名前のみ登場する。日本飛込み界のエース。実力が突出しており、代表は確実といわれる。
- 松野清孝(まつの きよたか)
- 基本に忠実で安定した演技をするが、高さやスピードに欠ける。要一たちと共にアジア合同強化合宿のメンバーに選ばれたが、途中で肩を痛めて帰国した。
- ピンキー山田
- 本名は山田篤彦(やまだ あつひこ)。ショッキングピンクの海パンをトレードマークにしている。素質には恵まれているが、試合の途中で必ずくずれだす。
- 辻利彦(つじ としひこ)
- もともとは器械体操の選手。得点を上げるために低い台から飛んでいく。
- 炎のジロー
- 本名は平山二郎(ひらやま じろう)。試合のたびに失敗率100%のスーパーダイブに挑み続ける。そして、失敗して水に叩きつけられ、試合が進むごとに体が真っ赤な炎のように腫れあがっていく。要一が目立つことに関して唯一負けを認める相手。
[編集] 知季の関係者
- 坂井弘也(さかい ひろや)
- 知季の弟で、早生まれ(知季が4月、弘也が次の年の3月)なので同学年。兄弟というより仲の良い友達といった関係。未羽のことが好き。
- 未羽(みう)
- 知季、弘也と同学年。中学1年の春に知季に告白して付き合いだした。だが、そのあとから弘也と内緒で付き合っている事が発覚する。
[編集] 飛沫の関係者
- 恭子(きょうこ)
- 飛沫の2つ年上の恋人。以前は男を漁るような恋愛をしていたが、飛沫と付き合いだしてからはその悪癖も止んでいる。
- 文さん(あやさん)
- 恭子の祖母。飛沫と恭子の味方である。現実主義者。
- 沖津白波(おきつ しらは)
- 伝説のダイバー。体の出来上がっていない時期から過酷な飛込みを重ねてきたため、飛沫と同じように腰に故障を抱えていた。引退後、孫の飛沫に飛込みを教え込んだ。飛沫の父と共に嵐の海に呑み込まれて死んだ。
[編集] その他の飛込み関係者
- 水城真之介(みずき しんのすけ)
- 夏陽子の祖父。大手スポーツメーカー、ミズキの元会長。ベルリンオリンピックに日本飛込み陣のチームリーダーとして出場した。世界に通用する飛込み選手を育てるため、沖津白波をスカウトした。白波が引退してからは、商売に専念し、飛込みのことは忘れていた。しかし、白波の死を知らされ、駆けつけた津軽で飛沫と出会う。その出会いに宿命を感じ、MDCを創設した。結局、飛沫のことは説得できないうちに亡くなった。
- 富士谷頼子(ふじたに よりこ)
- 敬介の妻で、要一の母。旧姓は仲野。元「飛込み界のマドンナ」。現在は日水連の仕事をしている。現役時代に前原会長からセクハラを受けたことがあり、それ以来の前原アンチ。
- 前原一朗(まえはら いちろう)
- 日水連の現会長。78歳。元競泳選手だがオリンピックには縁がなかった。メダルに対する執念から「メダルの鬼」とも呼ばれる。