OCN
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OCN(オーシーエヌ、Open Computer Network)は、日本の大手通信会社、NTTコミュニケーションズが運営するインターネット・サービス・プロバイダである。
会員数は@nifty(富士通系ニフティ)、BIGLOBE(NEC)に次いで国内第三位である。
NTTグループのプロバイダながら、ADSLではアッカネットワークスの回線プランを、モバイルアクセスでは、ウィルコムのAIR-EDGEからのアクセスプランも提供している。
コンテンツサービスとして、会員専用の有料動画配信、音楽のダウンロード販売などを提供している。
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[編集] 沿革
- 1996年12月 - 分割化前のNTTによりインターネットサービスプロバイダ事業開始。
- 国内最大手の電話会社であるNTT自身が商用プロバイダ事業へ進出するということで、既存の商用プロバイダにとって脅威とされ耳目を集めたが、当初は他のプロバイダと競合する電話網からの接続サービス(アナログモデムによるダイヤルアップ接続)を提供せず、専用回線提供を伴った接続サービスから事業展開した。複数のユーザと共有する専用線サービスとして、月額38,000円で最大128kbpsのインターネット常時接続可能な「OCNエコノミー」サービスを開始。インターネット網への接続サービスを含んでいたが回線名称を前面に出した広告展開を行なった。大手企業に限られていた常時接続が中小企業やSOHOまで広がることとなる。のちに電話網からのダイヤルアップ接続サービスへ事業拡大した際に、回線名称であったOCNを事業名称とした。
- 1999年7月 - 分割化によりNTTコミュニケーションズに移管。
- 2000年5月 - 米国Tier1プロバイダVerio社を買収し、OCN/Verioの名称でTier1接続業者となる。
- 2002年10月 - NTTPCコミュニケーションズが運営するプロバイダ事業『InfoSphere』のうち、個人向けサービスをOCNへ統合。これをもって、個人向けインターネット接続プロバイダとしてのInfoSphereは消滅した。
同じNTT系列のプロバイダぷららとの統合を示唆する話は出ているが、まだ正式な発表はされていない。- 2006年7月21日 - ぷららと「goo」を運営するNTTレゾナントを子会社化すると発表。
- 2006年9月1日 - ぷららと「goo」を子会社化した。
[編集] OCNエコノミー
ADSLによる常時接続が広く普及するまで、個人がインターネットへ接続する方法は電話回線(公衆回線)へモデムをつなぐかISDN回線へDSUならびに対応ターミナルアダプタかルータで接続し、ダイヤルアップする方法が一般的であった。常時接続用にデジタル専用線は存在したものの、最低の64kbpsでもプロバイダ接続料を含めると10万円を超える月額費用となり、利用者はある規模以上の企業に限られ、個人が気軽に利用するにはハードルが高かった。
当時のNTTが開始したOCNエコノミーは、専用線としてデジタルアクセスを採用しながらも、NTT側のルータを最大24ユーザで共有させることで、プロバイダ接続に関わる費用を削減し、月額38,000円で提供することが可能となった。これによって、中小企業やSOHO、一部個人のパワーユーザで導入を開始するところも出た。 また、固定グローバルIPアドレスを最大16個まで取得できたため、自己所有のサーバを使ってオリジナルドメイン名でのwebサイト(ウェブサーバ)やメールサーバなど、各種サーバを開設することが出来た。 ただし、NTT側ルータを共有するベストエフォート方式のため、128kbpsの回線速度は常時保証されていなかった。
1999年10月1日より6,000円値下げし月額32,000円にて提供された。
その後、ADSL、FTTHの普及に伴い、より安価で高速な常時接続サービスが登場したことでユーザが減り、2006年5月をもって新規受付を終了している。ただし法人向けサービス、ビジネスOCNの一つとしてほぼ同等のサービスを提供している。
[編集] スパムとOCN
迷惑メールの送信元ISPを調査しその結果を公表するプロジェクト"SPAM WATCH"の調査(2004年1月18日)によると、同日に30台の調査用端末が受信した違法広告メール(スパムメール)1万2451通のうち、発信元1位はOCNの4,339通(34.8%)であり、この数値は2位のNTTPCコミュニケーションズ(InfoSphere)の1,299通(10.4%)や、3位のDIONの1,006通(8.1%)を大きく引き離している。この点につき、会員のスパム行為に寛容なOCNの体質を指摘し問題視する声もある[1]。