ビット毎秒
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ビット毎秒(ビットまいびょう、bps: 英語 bits per second)は、データ転送効率の単位である。
1秒間にデータ転送路上の仮想の、または物理的な地点を通過した(すなわち転送された)ビットの個数と定義される。「ビットレート」、「ビット効率」などともいう。モデムやルータなどのデジタル通信機器で用いられる。
似た概念や用語として、「コネクション速度」、「転送レート」、チャネル容量、スループット、帯域幅がある。
転送が完了する待ち時間の長短から、また、毎秒あたりの数値である事から、「ビット速度」、「転送速度」など「速度」として表現されることも一般にはしばしば見られる。しかし、ビット毎秒は情報がどれだけ速く到着したか(伝搬遅延)ではなく、単位時間にどれだけ多くのビットが通過したかを表す転送効率であるため、「速度」として表現するのは正確には誤用である。[1]
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[編集] 記述のしかた
ビット毎秒は、ビット/秒と書かれたり、英語の "bits per second" を略して bps と書かれたり、b/sと書かれたりする。基本的には小文字で書かれる。
「毎秒」を省略して単に「ビット」と呼ばれたり、「ビット」さえも省略してその上に付く接頭辞だけで呼ばれることもある(「100メガビット毎秒」のネットワーク → 「100メガ」ネットワークなど)。
また最近では、通信技術の進歩によって非常に高い転送効率を持った機器が登場し、
- キロビット毎秒 (kbps、bps の 103倍)
- メガビット毎秒 (Mbps、bps の 106倍)
- ギガビット毎秒 (Gbps、bps の 109倍)
- テラビット毎秒 (Tbps、bps の 1012倍)
といった単位も用いられている。コンピュータの分野ではキロ、メガ、ギガなどの接頭辞を、本来の意味から離れて 210倍、220倍、230倍の意味として使用することがあるが(2進接頭辞も参照のこと)、ビット毎秒に関しては本来の 103倍、106倍の意味で用いられることが多い。
また混同されることがあるが、ボー (baud) とは異なる単位である。
[編集] バイト毎秒
bを大文字にして "Bps" または "B/s" と書くことによってバイト毎秒とされることが多い。それとの混同を防ぐため、ビット毎秒は原則として小文字で書かれる。通常、1バイトには8ビットのデータが含まれていることから、bpsの値を 8 で割るとBpsの値になる。しかし、1バイトを8ビットとして扱わない環境も存在するため、情報通信の分野においてバイトという単位を使うことは不適切とされ、オクテットという単位が用いられることが多い。
[編集] 使用例
非可逆圧縮を音声・映像データに使用するとき、元の信号との違いは compression artifact の形で表れる。これが主観的な品質に影響を及ぼすかどうか、それがどの程度であるかは、圧縮方式、エンコーダの処理能力、入力データの特徴、および受信者の artifact に対する熟知度に依存する(専門家は artifact に気づくかもしれないが、一般的な受信者はそれを気にしないことが多い)。
以下に挙げる値は、最新の圧縮技術を使用して一般的な受信者が参照標準よりも悪いとは思わない最低限のものである。同時にその他の使用例(媒体に記録する際に使用されるビットレートなど)も挙げる。
[編集] 音声
- 4 kbit/s - 音声を認識するための必要最低限(特別仕様の音声エンコーダを使用した場合)
- 8 kbit/s - 携帯電話 (ITU-T G.729Annex A) の音質
- 32 kbit/s - 一般的な固定電話、及びPHSの音質。AMラジオ(中波)の音質
- 48 kbit/s (ステレオの場合は 96 kbit/s )- FMラジオの音質
- 292 kbit/s - MD の SPモード
- 1441 kbit/s - オーディオ用CD (CD-DA) の音質。リニアPCM・ステレオのみ。
[編集] 映像
- 32 kbit/s - テレビ電話で話者を認識するための必要最低限
- 64 kbit/s - 3G-324M (MPEG-4ビジュアル + AMR) のテレビ電話の最高品質
- 128 kbit/s - ワンセグの H.264動画のみの品質
- 192 kbit/s - ワンセグ (H.264 + MPEG-2 AAC) の品質
- 1150 kbit/s - ビデオCDの MPEG-1動画のみの品質
- 1374 kbit/s - ビデオCD (MPEG-1 + MPEG Layer 2) の品質
- 2 Mbit/s - VHS の品質
- 9.8 Mbit/s - DVD-Videoに記録できる最高品質
- 18 Mbit/s - AVCHD (H.264 + AC-3) の最高品質
- 55 Mbit/s - HDTV の品質
[編集] 媒体
- 50 bit/s - 国際テレックス網
- 31.25 kbit/s -MIDI ケーブル
- 33.6 kbit/s - アナログ回線モデムの最大
- 1200 kbit/s - CD の1倍速
- 1.5 Mbit/s - USB Low Speed
- 11.08 Mbit/s - DVD の1倍速
- 12 Mbit/s - USB Full Speed
- 36 Mbit/s - BDの1倍速
- 400 Mbit/s - IEEE1394a-2000
- 480 Mbit/s - USB High Speed
- 800 Mbit/s - IEEE1394b
- 1500 Mbit/s - シリアルATA 1.0
[編集] 注意
技術の進歩、および使用するモードによって、比較対象の装置のうちのいくつかで使われている実際のビットレートの高低は異なる場合がある。
- μ-law や A-law を使用した電話回線は、約 64 kbit/s。
- DVD - HQ、HSP、SP と画質を落とすごとにビットレートは落ちる。
- MD - SP = 292kbps、長時間モノラル = 146kbps、LP2 = 132kbps、LP4 = 66kbps。MD は記録時間とビットレートが一致していない。Hi-MDではさらにビットレートをあげることも出来る。
[編集] 脚注
- ^ なお、「速度」「速さ」は物理学上は単位時間当たりの変動を表す量であり、一般的な意味では距離(道程)÷時間である。「距離÷時間」でない「速度」の付く単位として反応速度がある。通信分野においては「距離÷時間」における「距離」が通信地点間の距離を想起させ、もって「距離÷時間」は伝搬遅延となるため、「速度」としての表現は用いられないと考えられる。