ThinkPad s
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ThinkPad sシリーズ(シンクパッド エス -)は、かつてIBM (現在はレノボ)から発売されたノートパソコン、ThinkPadブランドの1シリーズ。 (「s」は小文字である)
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[編集] コンセプト・特徴
ThinkPad sシリーズは『リアルモバイル』をコンセプトとしており、携帯性・バッテリー運用時間を重視したシリーズである。ThinkPad 240シリーズの後継と位置づけされた。 本機の一番の特徴は、さらにコンパクトになった筐体両側からせり出した耳状の突起である。本体側はフルサイズキーが配置されたキーボードが収まり、液晶ベゼル側は無線LANアンテナが収まっている(無線LANモデルのみ)。 10.4インチXGA液晶モニター、1スピンドルノートPCであり、フロッピーディスクドライブとCD-ROMドライブはオプションとなった。 基本的にレガシーデバイス・コネクターは排除されており、外付けのストレージデバイスはUSB接続となる。コンパクトフラッシュスロットが搭載された。 有線LAN+IEEE1394モデル と 無線LANモデルがラインナップされ、筐体サイズとチップセットの仕様等によりそれらは排他選択となった(MiniPCIカードに実装)。
[編集] ラインナップ
すべてのモデルが、i440MXチップセット、超低電圧版Pentium III 600MHz、HDD容量は20GB(リカバリー領域を含む)となっていた。
[編集] i Series s30
2001年5月発売。i Series 1124の後継とされ、OSはWindows Meがプレインストールされた。ThinkPadとして初めて「ミラージュブラック天板」モデルがラインナップされた(当初はこれのみだった。すぐにラバーブラック天板モデルが追加された)。磨くためのクリーニングクロスが付属していた。
- 2639-43J (有線LAN+IEEE1394モデル)
- 2639-4AJ (無線LANモデル)
- 2639-45J (ラバーブラック天板、有線LAN+IEEE1394モデル)
- 2639-4RJ (ラバーブラック天板、無線LANモデル)
[編集] s30
カタログに掲載されたモデルのみ記載する。
- 2001年6月発売分
- is30の発表から少し遅れて発表・発売された。プレインストールOSはWindows 2000。天板はラバーブラック塗装とされた。
- 2639-42J (有線LAN+IEEE1394モデル)
- 2639-4WJ (無線LANモデル)
- 2001年10月発売分
- is30とs30が統合され、Windows XP-Home Editionがプレインストールされた。
- 2639-RRJ (無線LANモデル)
- 2639-R5J (有線LAN+IEEE1394モデル)
- 2639-RAJ (ミラージュブラック天板、無線LANモデル)
- 2639-R3J (ミラージュブラック天板、有線LAN+IEEE1394モデル)
[編集] s31
日本国外で販売された。s30のマイナーチェンジというわけではなく、s30の日本国外向けモデルという位置づけだった。主に台湾、香港で出回っていた。
[編集] 本機を取り巻く問題
超低電圧版PentiumIII、ミラージュブラック天板、無線LAN内蔵といった注目度抜群のシリーズであったが、販売面や本機を取り巻く環境は決して良好ではなかった。
[編集] ハードウェアの問題
- チップセットがi440MXであり、メモリの搭載最大容量が256MBであるため、OSをWindows XPに乗せ換えたり重たい処理を実行したりする場合の足枷となった。
- 有線LANと無線LANがハードウェア的に排他仕様であり、両環境を状況によって使い分けるユーザーにとっては別途PCカードを用意する必要があり、使い勝手がよくなかった。
- 筐体や基板・コネクターなどの構造上の問題があり、過負荷や発熱に対する余裕が少なく、さらに左USBコネクターの不良が多発した。なお、クリックボタンのクリック感がなくなる現象は、この時期に販売されたThinkPad共通(特にXシリーズ)の問題であり、ボタンの中のラバードームの破れによるものである。
[編集] 販売面・市場の問題
- 販売面では主力ではなく、10.4インチモニター搭載のB5サイズ・リアルモバイルノートパソコン自体の市場がもともと狭く、日本以外の世界的市場を見ると顕著であった。当時IBMではPC販売全体において苦戦中でこのクラスのノートPCに資源を割くことができない状況になっており、結局は2002年にsシリーズの販売打ち切りとXシリーズへの統合が発表された。 IBMはほぼ同時にコンシューマー市場からも撤退している。
- 結局はXシリーズへの統合となったが、当時のXシリーズ(X2x、X3x)では大きく重過ぎるとのユーザーの批判も多く、彼らの欲求を満たすモデルはX40の発売まで待たなければならなかった。
ThinkPad | |
現行シリーズ: | ThinkPad G | ThinkPad R | ThinkPad T | ThinkPad X | ThinkPad Z |
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