アムウェイ
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アムウェイ(Amway)は、ダイレクトセリングの草分け的存在のアメリカ企業。トイレタリー製品メーカー。世界57ヶ国で事業展開する。総本部はミシガン州のエイダ。創業者ジェイ.ヴァンアンデル氏は全米商工会議所の会頭を歴史上初めて息子のスティーヴ氏と親子二代で務める。創業者リッチデヴォス氏はアメリカ共和党の資金調達委員長 長年に渡る地球環境へ配慮した製品開発、森林植樹運動等が評価され企業としては世界で2番目となる「地球環境功績賞」を国連より受賞(企業1番目は世界的タイヤメーカーのグッドイヤー社) 日本アムウェイは1979年世界10国目として開業。現在は東京・渋谷に本社(自社ビル建設費300億円)を置き、八王子・神戸、等に流通センターを持つ。
年商約1000億円。経団連会員。諮問委員の奥谷禮子・ザ・アール社長は日本郵政株式会社社外取締役。一時期は株式を店頭公開していたが、株主に収益を分配するのではなく、ディストリビュータに収益を分配する目的と、株を所有するディストリビュータへの情報の発信がインサイダー取引に抵触する可能性があることを危惧し、公開を中止した。現在は非上場企業である。
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[編集] 主な取扱品目
基本的に、化粧品、栄養補給食品、浄水器、空気清浄機、調理器具、調理家電、洗剤、食品などの日用品・消耗品を取り扱っている。
[編集] ダイレクトセリング
伝統的な流通方法である多段階流通(製造メーカーから第一次問屋・第二次問屋、そして商店を経て初めて消費者の手許に渡る)にかかる流通コストや宣伝活動に経費をかけるよりも、良いものを安く製造メーカーから直接消費者の手にわたしてしまおうというのが一般的な直販(ダイレクトセリング)の基本的な考えである。近年ではインターネットを利用した通信販売(ネット直販)が普及している。
アムウェイコーポレーションと契約を交わした独立した個人事業主(ディストリビューター)が宣伝活動を行い、本来ならば流通コストや広告料として支出する分をボーナス(特定利益)としてインセンティブ(業績報奨)リベートを分配するというのがアムウェイビジネスの基本的な考え方である。
連鎖販売取引企業の言うダイレクトセリングとは、固定した店舗を持たない独立した販売員が、直接消費者に対して商品の説明および販売を行う営業形態、いわゆる無店舗対面販売を指す。
アムウェイのビジネススタイルは、MBAの講義の際、“成功したMLMシステム”として講義されている。[要出典] 日本の大学の経済学部の卒論でもMLM、Amwayのビジネススタイルを扱う学生も出始めている
[編集] 特徴
自由、平等、安全、報われることの4点を柱とする。 時間の自由、テリトリーの自由、解約の自由。 全てのディストリビュータで平等な仕入れ価格、平等なチャンス。 登録料8400円を含み、消耗品は100%現金返済保証が付いている(開封、使用済みでも返品可)一切のノルマが無い。
[編集] ブレイクアウェイ
ダイレクトセリングの概念を初めて作ったのはアムウェイではなく、今は関連会社になっているニュートリライト社の創業者カールレンボーグ氏。1939年に北米初となるマルチビタミンを開発、製造するが、現在では一般的となったビタミン剤も当時は知られておらず、一般市民にとってはなぜ飲む必要があるのか分からない製品だったので、薬局の店頭に置いてもらっても全く売れなかった。[1]
そこでカールレンボーグ自身がひとつひとつ説明をしながら販売していた。これにより顧客の中に自分も健康補助食品を販売したいという人が出てきた。そのため代理店契約を結び販売を委託することにした。これによりまた他の顧客からも販売したいという声がでてきたために、ある程度の販売実績がある人には、直接ニュートリライト社との取り引きを認めることとした。取り引きを認められた人の事をダイレクトディストリビューターと呼び、直接取り引きを認めると同時に将来ディストリビューターになりたい人に対する教育活動や販売補助活動をするように求めた。
直接取り引きをする事により卸値で製品を手に入れられ、また教育活動や販売補助活動をしてグループを育成する事による報酬として、本来流通マージンや広告にかかる費用分の見合い(製品の卸値の3~21%)を仕事の成果(ボーナス)としてディストリビューターに分配する事とした(1つ目のボーナス)。
ある程度販売実績をあげられるようになると、ディストリビューターはグループから独立できるようになり、晴れてニュートリライト社との完全な直接取り引きができるようになった。その反面、時間や労力を使って一人前のセールスマンに育てたディストリビューターが独立されてしまった上位のディストリビュター。売り上げが除外されてしまうと、せっかく育てたグループの販売実績が下がってしまう。そこで、ニュートリライト社がダイレクトディストリビューターを指導育成してくれた報酬として独立していった新たなグループの売り上げの約10%の中から"のれん代"として影響度に応じて2つ目のボーナスを支払う事とした。これがダイレクトセリング企業の多くがとっている"ブレイクアウェイ"というプランが生まれた経緯である。
このニュートリライト社は、アムウェイの創業者であるリッチとジェイがディストリビューターとして活動していた会社である。1950年代当時、ニュートリライト社の他のディストリビューターが新たな会社を作ってディストリビューター達を勧誘すると同時に販売組織が崩壊してしまった。1959年にリッチとジェイは「自分自身で成功したいと思っているすべての人々にその機会を提供したい」という理念を基盤としたアメリカン・ウエイ・アソシエイション(現アムウェイコーポレイション)を誕生させた。アムウェイ社は設立当時から、各ディストリビューターのグループの保全と尊重を最大優先事項としている。
ニュートリライト社時代の苦い経験を教訓として、アムウェイ・ディストリビューターが他社ビジネス活動に勧誘したり、他グループへ引き抜き勧誘することを一切禁止している。現在、ニュートリライト社はアムウェイ社が吸収し、アムウェイの関連会社となっている。
[編集] ディストリビューター
アムウェイ製品を自己で消費するとともに他人にアムウェイ製品を販売したりアムウェイへのビジネス勧誘をする者のことをディストリビューターと呼ぶ。ディストリビューターの立場はアムウェイの社員ではないが、納税時には生保の勧誘員と同じく「外交販売員」とされる。一般的にはアムウェイの営業や販売員と思われがちであるが、販売代理店、個人商店、問屋に相当する。
ディストリビューターと名乗るには、希望者は紹介者を通じて手続きし登録料を支払う。この登録料はビジネスを始めるディストリビュータのリスクとならないように期限内であれば登録解消の際返還される。
ディストリビューターの実績は自分が作ったグループのPV(ポイント)により評価される。ただし、グループのPVが高くなったとしても自分の収入が比例増加する訳ではなく、宣伝の度合い(CM効果の大小=小売りなどの個人販売成績)により特定利益は分配される。このため必ずしも高収入というわけではなく、グループの努力の結果に応じての報酬という事で"収入の逆転"がおこる事がある。
分配方法の説明は通常、アムウェイそのものの企画ではなく、主にディストリビュータ自身が行うものとOpportunity Meeting(OM)と称するアムウェイビジネスの説明会の際になされる。アムウェイ自体は場所を提供するケースもあるが、その場合もアムウェイの企画での説明会ではない場合が多い。グループ実績などに応じて、「シルバー・プロデューサー」・「ゴールド・プロデューサー」から「クラウン・アンバサダー・ダイレクト・ディストリビューター」・「ファウンダーズ・クラウン・アンバサダー・ダイレクト・ディストリビューター」といった20種を越えるタイトルが設けられ、それぞれに対応する報酬が用意されている。[2]
ディストリビューターにはノルマが課されない。ボーナスは自らのグループの売上に基づき変化するため、不可視の“ノルマ的”な物は存在し、過去には一部のタイトル欲しさ、又はタイトル維持を目的としたディストリビュータが、無理やり在庫を抱えたり、不完全な自分のグループに購入を押し付ける等の行為をすることがあった。そのためディストリビューターが数百万円の在庫を抱えてしまい夜逃げ、自己破産、自殺したなどの問題が発生、被害者の会も出現し、国会やマスコミからも非難を浴びた。それにより、会社側の管理体制も厳しくなり一部の不当行為をしていたディストリビュータの強制解約処分や損害賠償請求などによる過去に支払ったボーナスの返還にまで至ったケースもある。 また多数の在庫を処分する目的で、インターネットオークションや格安販売店に商品を流してその場しのぎをするディストリビュータもいる。この場合、仕入れ原価を下回る(赤字になる)場合が殆どである。現在は個人での消費量を大幅に上回る発注は会社から却下される。
アムウェイの報酬プランでは、製品の愛用者(リピーター)づくりに主眼がおかれるため、無理な購入の被害者救済となる不良在庫の引き取り制度がある。この場合は、通常の”100%現金返済保証”と異なり90%しか保証されない。通常の”100%現金返済保証”という制度の場合は、使用者(ディストリビュータ本人を含む)が、商品を利用しそれについて評価をする必要がある。(評価内容は、使用感、コストであったりパッケージのデザインなどを含む) しかしながら人間関係で成り立っている組織のため、その制度自体を教えなかったり、ボーナスのために返品しないようお願いしたりする一部のディストリビューターがいるため、必ずしも返品制度は上手く機能しているとは言えない場合があり、この場合は、不実の告知という特定商品取引法に反する行為として罰せられる。
この法律の成立以前にその事を重視した会社側は返品制度の見直しなどを行い、ボーナスのために返品しないでおく事ができなくする等の処置を取った。不当在庫などの審査まで行い、不当行為を行ったディストリビュータはタイトルを認定しない等の厳しい処置も行っている。
2005年9月、アムウェイは「アーリー・ワーニング・システム」をスタートした。これは無理な販売を早期に発見するためのシステムであり、アムウェイ特有のものである。
ディストリビューターの自主企画運営によるラリー(表彰式&講演会)が年に数度、全国で行われる。大会場に数千人が自由に参加し、成功したディストリビューターの体験談や、スピーチを聴き、ビジネス成功のヒントを得る場となっている。本社や各地方では、毎月Opportunity Meeting(OM)セールスマーケティングプラン、ボーナス授与の説明会、LM(リーダーズミーティング)ビジネスの考え方やメンタルマネージメント等もある。
また、2000年9月にはディストリビュータに登録できない、登録したくない、がアムウェイの製品は安く購入したいと言う人向けに「買うだけクラブ」[3] という会員制度が発足した。
買うだけクラブはディストリビュータと同じく標準小売価格の約30%引きで商品の購入が可能となる。 このクラブを選択すると、商品の購入がアムウェイと直接であるためその都度ディストリビュータとの金銭授受が発生しなくなることがある。
ディストリビュータにある年間更新とは異なり、買うだけクラブは、最終購入日から1年間と自動的に延長される。 本来なら、キャッシュバックが得られる金額の購入をしていてもディストリビュータの資格を放棄しているクラブ会員であるため、そのボーナスの受給資格は無いので、受給資格の得られる金額に達する発注であるのかを、紹介したディストリビュータに確認を取るべきである。
なお、知り合いにディストリビュータがいない場合はアムウェイがなるべく近隣の同姓同年齢なダイレクトディストリビューターが紹介される。
アムウェイ製品を購入するのみの利用者はネット通販やネットオークション等を利用することによりディストリビュータを介在させる事無く格安に商品を購入する手段を用いる場合があるが、この場合は、アムウェイが保証している100%現金返済保証が付いていないので商品に対する保証が全く無くなり、販売者と購入者でのやり取りに委ねられることと、本来の再販の権利を有しない者の販売であることから、永続的な販売がなされない可能性がある。
[編集] アムウェイ問題
アムウェイに関わる問題の中には上記以外にもディストリビューター自身が作り出した原因もある。「相当数の勧誘をしなければ成功しない」という前提があるにも関わらず、「誰にでもすぐに簡単に成功できる」といった浅はかな宣伝活動をするディストリビューターが存在する為、悪徳商法の一つという印象を持っている人が多い。また、宣伝や勧誘の仕組みが似ている為、ねずみ講の様な犯罪と誤解する人も多いが、ねずみ講では無く「連鎖販売取引」(マルチ商法)である。マルチ商法が違法であるという認識が多い為、アムウェイ自体はこの商法についてマルチ商法と言う表現は用いていない。MLM(Multi Level Marketing)と呼称し、ホームページ上でもマルチ商法は悪質マルチと定義をし違いを説いていて、特定商品取引法に準じている連鎖販売取引である。
また、過剰在庫を先輩ディストリビューターが強要したり、薬事法や特商法に違反する宣伝活動を行ったりするディストリビューターが数多く存在した可能性も指摘されている。
勧誘は近親者に向けられる場合が多く、1990年代は、家族、親類、友人、知人などに早朝深夜の待ち伏せ、職場への執拗な電話などの執拗な勧誘行為の結果、しばしば「アムウェイは怖い」と感じさせたり、既存の家族関係、友人関係の信頼関係を潰すようなトラブルも起こった。
また、公務員など法律により副業が厳しく規制されている職業の人にも参加の禁止は行われておらず参加は可能(20歳以上、学生でなければ参加は自己責任で可能であり職業は不問)。ホームページ上でも「なお、申請する方々がお勤めの場合は、就労上の規定や、公務員の方であれば公務員法等の関連法令を確認の上、自己責任のもと登録していただくことになります。」と公務員の参加は参加しようとしている個人が自分で法律を調べて、参加するかどうかは自己責任に委されている。
アムウェイ社による対策としては、近年では実際に規約遵守をしないディストリビューターの資格剥奪、強制解約といった例もある。また、2007年度よりビジネス活動を希望する全てのディストリビューターに所定のセミナーの修了を義務づけている(セミナーは通信教育やネットでの受講も可能)。
ただし、全国に70万組(2005年12月時)存在するといわれるディストリビューターの行動について全てを把握・管理することは困難と思われる。
ディストリビューターの勧誘方法としては、事前にアムウェイの説明である事を告げずに「料理教室」「パーティー」として友人・知人を招待することがあり、自社製品を用いて調理したものを試食後、調理器具・調味料・洗剤などのデモンストレーションへと移行することが多かったが、特定商品取引法の連鎖販売取引に定める法律により、現在は違法となっている。 (デモンストレーションの中には手品を利用した詐欺的な商品比較も多く、アムウェイから禁止されている物もある)。
アムウェイは連鎖販売取引に関わる問題以外にも様々な影響をあたえている。
- 東芝アムウェイ問題[4] 東芝が日本アムウェイ向けに洗濯機をOEM供給する提携を行った。日本アムウェイはこの際、東芝との提携を「戦略的提携」と2001年5月15日に発表しようとした。しかし、東芝・家電機器社の中川惇社長が行った日本アムウェイとの提携に対し、東芝の岡村正社長から強い不快感を持たれたため、この発表は結局取りやめとなった。東芝側が後続商品の販売を巡って提携を解除した結果OEM供給は洗濯機一つのモデルのみに終わった。
- 裁判では無敗訴を誇るが、山岡裁判[5]の判決では「マルチまがい商法」という表記が名誉毀損に当たらないとされた。現在では法律が変わり連鎖販売取引(マルチ商法)の企業に含まれるため今日では争点とはならない。
- 雑誌「実業界」裁判(アムウェイを「マルチ商法」と書いて名誉毀損で訴えられる。判決では名誉毀損が認められたが、当時の法律では連鎖販売取引(マルチ商法)に含まれない事が大きい(「マルチまがい商法」と記した山岡裁判との大きな違い)。今日では連鎖販売取引(マルチ商法)の企業に含まれるためマルチ商法と記した事により名誉毀損となる可能性は低いと思われる)
近年は長野オリンピックでのスポンサード(イメージCM、選手村に商品を無償提供)に見られるように、本社はTV、ラジオ、新聞等マスコミを使用した会社の宣伝を行なっている。2006年は「One by One こども基金」の紹介CMと化粧品、健康食品の紹介を行っている。
また、阪神・淡路大震災発生時も栄養食品、鍋、洗剤等生活用品に値する商品を無償で大量に寄付、日本盲導犬協会、日本赤十字社、障害者自立支援団体、地球環境保護運動団体への売り上げ寄付、海岸清掃キャンペーン参加など、会社サイド、ディストリビューターサイドを問わず福祉、ボランティア活動に取り組んでいる。
[編集] 脚注・外部参考資料
- ^ 上のダイレクトセリングの歴史についての記述は、外部リンク(Direct Selling Association)の記述と異なる
- ^ ディストリビューターの資格登録
- ^ アムウェイ内ディストリビューターと買うだけクラブ
- ^ 日経BP2001年5月23日付記事
- ^ アムウェイ山岡事件判決全文山岡裁判とはアムウェイが「マルチまがい商法」か否かを巡る名誉毀損の裁判である。
[編集] 外部リンク
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