アルファ化米
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アルファ化米( - かまい)とは、米飯を炊いた後に乾燥させたもの。古くは糒(ほしい・ほしいいい:乾飯とも)と呼ばれる保存食・非常食も存在し、近年では防災用品としてパッケージ化されたものも販売されている。
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[編集] 概要
アルファ化米は、米のデンプンが加熱によって糊化(アルファ化)し、消化・吸収しやすい形になったところで乾燥させた加工米で、日本などでは古くより糒の形で水とともに口に含んで咀嚼する保存食や非常食として、またヨーロッパではリゾットやパエリャに使う蒸して乾燥させたものが食材として存在する。
米デンプンは加熱前には分子構造の関係で消化が悪く、生の状態の米を食べても消化効率は悪い。このため一旦加熱してアルファ化してやることで、消化に適した状態にして食べる。(デンプンの項を参照されたし)
しかし保存食・非常食の場合には、煮るなり炊くなり蒸すなりして調理した後の米は水分を含んでおり、腐敗したりカビが生えてしまいやすく保存性が悪いし、また調理そのものがし難い状況である場合もある。このため加熱調理後に乾燥させたものが糒やアルファ化米と呼ばれる食品で、これに湯や水を加えて柔らかくして食べる。
[編集] 糒
炊いた飯を水で軽くさらしてから天日で乾燥させたもので、古くは炊き過ぎた米を保存するためにも利用されたらしい。鎌倉時代よりは「糒」の漢字が使われるようになったが、それ以前には「干し飯」(ほしめし・ほしいい)とも呼ばれていた。
そのまま水といっしょに食べたり、あるいは水を加えて炒めたり、茹でて戻したり、粉末にしてあられや落雁などの菓子の材料にも用いられた。
[編集] 非常食や保存食として
元々の非常食・保存携行食としての糒(ほしい)は、現代風に言うならレーションのような、軍事用の携帯食などで戦国時代などに盛んに利用されていた。忍者などの携帯食にも利用されており、他からの援助が得られない場合などに、水とともに口にして飢えをしのぐために利用されたと伝えられている。
現代のアルファ化米では、上に挙げた食材としての利用の他に、災害発生時に備えるための非常食としての商品が流通している。また自衛隊などでも野外での補給用食料に米飯関係を充実させるために、アルファ化米を取り入れる傾向も見られる。
災害はいつ発生するかわからず、これに備えて保存性に優れた食品が求められるほか、大規模な災害時にはライフライン崩壊など社会整備基盤の水準が急激に低下し、家庭ではコンロや上水道といった、普段何気なく利用している調理用の設備が利用できなくなることも予測されるため、それらの食品には、より簡便に調理して口に出来る物が望ましい。
現在流通しているアルファ化米では、この災害用の非常食としてのものが多く見られ、これには湯を注いで20分程度、水を注いでも1時間程度で食べられるものが販売されており、普通に炊飯器で炊いた米と比べると、飯粒が潰れたり砕けたりしているなど少々見た目は悪いが、湯を使った場合には暖かくて味も申し分無いご飯が食べられるようになっている。また容器がそのまま食器を兼ねている製品も多く、これにスプーンなどの口にするための使い捨て食器も付随しているものも多い。
なおこれらの食品は、乾燥しているため非常に軽量である上に、また容器にはレトルトパウチであるために3年程度の賞味期限が設定されるなど保存性も高く、また普通に生米を飯盒炊飯するよりも湯を沸かすだけで良い点で、必要な熱量(=必要な燃料)が少なくてすむという利点が挙げられる。
特にこれらは米飯に対して殊更思い入れの強い日本人にあっては、長期海外旅行・出張などの際に、簡単にホテルの室内などでも米飯が食べられる・持ち運びも便利な商品として愛用者もいる模様である。
また登山食としても愛用されているが、これは前述のように軽量であることから、荷物としての携行が容易であることに加え、山頂では気圧の関係で水の沸点が下がり、米飯を炊くのが困難なためである。
近年の製品の中には、上に挙げたような食のニーズにも関連して、炊き込み御飯(五目飯など)といった発展商品も見られ、これには味付け・乾燥した食材が同じパッケージ内に入れられており、これに湯または水を入れることで、所定の調理時間以降に食べることが出来るようになっている。
[編集] 関連項目
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