ウォーターボーイズ
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ウォーターボーイズ(うぉーたーぼーいず)は、 2001年公開の日本映画、および2003年から2005年にフジテレビ系で放送されたテレビドラマである。
もしくは、「シンクロナイズドスイミングに挑む男子学生達」を指す。映画版は矢口史靖監督。語自体は、映画プロデューサーが作った造語である。
このページでは、シリーズの概要と映画版「ウォーターボーイズ」について解説する。
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[編集] 概要
男子高校生たちが、シンクロに挑む青春活劇。モデルは男子校の埼玉県立川越高校の水泳部が実際に1986年から文化祭の演目として行っているシンクロ公演。
1999年、プロデューサーが「ニュースステーション」(テレビ朝日)で放送された川越高校水泳部のドキュメンタリーを見て映画化を決意。後に矢口史靖監督が加わり2001年に映画化された。公開から徐々に口コミと地方キャンペーンで話題となり、結果的に大ヒット映画となった。
当初は少数の映画館のみの上映だったが、地道な全国各地でのキャンペーンと独特の宣伝展開で劇場数が増え、最終的には上映劇場100館、上映期間は6ヶ月を越えるロングランとなった。この現象は映画業界で話題になり、それ以降同じような映画が乱立した。シネマコンプレックスの普及と時期と重なり、2000年以降の邦画復活のきっかけを作った。
なお、同じスタッフで映画『スウィングガールズ』(2004年)が製作され、映画『ウォーターボーイズ』の倍以上の興行成績を記録。
本作のヒットを受け、2003年にフジテレビがテレビドラマ化。映画スタッフがドラマ製作に参加することにより、映画の世界観を壊さずドラマ化に成功し、高視聴率を記録。この「映画から連続ドラマ」という連動は、その後他局にまで影響を与えることになる。この後フジテレビは、パート2(2004年)、スペシャル版(2005年)と制作し、完結した。
映画・ドラマのヒットにより全国で「シンクロブーム」が起こり、高校を中心に男子シンクロ部が設立されるなど大きな影響を与えた。映画のモデルになった川越高校水泳部のドキュメンタリーが「にんげんドキュメント」(NHK総合)や「スーパーテレビ情報最前線」(日本テレビ)で放送され、同校の文化祭は約3万人(2002年)もの入場者数を記録するまでになった。
[編集] 歴史
- 2001年9月15日 - 映画『ウォーターボーイズ』公開。
- 2003年7月1日~9月9日 - テレビドラマ『WATER BOYS』放送。
- フジテレビのイベント「お台場冒険王」にて「ウォーターボーイズショー」開催。
- 2004年7月6日~9月21日 - テレビドラマ『WATER BOYS2』放送。
- 「お台場冒険王」にて「ウォーターボーイズショー 2」開催。
- 2004年9月21日「第1回全国高校ウォーターボーイズ選手権」放送(優勝校は鈴鹿工業高等専門学校)。
- 2004年10月4日「あの感動がよみがえる!ウォーターボーイズ 2 完全密着130日!涙と友情の最終回スペシャル!!」放送。
- 2005年8月19・20日 - テレビドラマ『WATER BOYS 2005夏』放送。
- 「お台場冒険王」にて「ウォーターボーイズショー 05」開催。
- 2005年9月27日「第2回全国高校ウォーターボーイズ選手権」放送(優勝校は鈴鹿工業高等専門学校)。
[編集] ストーリー
静岡県相良町(現在の牧之原市)が舞台。部員は鈴木智ただ一人という廃部寸前だった唯野(ただの)高校の水泳部に、美人教師・佐久間恵が顧問に着任した途端、部員が30人に激増。ところが、佐久間先生が本当に教えたかったのは、なんとシンクロナイズドスイミングだった。恐れをなした部員たちは皆逃げ帰ってしまう。
しかし取り残された部長の鈴木(妻夫木聡)、何事も中途半端な元バスケ部員の佐藤(玉木宏)、筋肉を付けたいガリガリのダンス少年・太田(三浦哲郁)、カナヅチ克服を目指すガリ勉・金沢(近藤公園)、ちょっと女の子っぽい早乙女(金子貴俊)の5人は泣く泣くシンクロをやる羽目に…。
怪しげなイルカの調教師・磯村(竹中直人)水泳部の責任者・杉田先生(杉本哲太)、鈴木とラブラブになる桜木女子高の空手少女・木内静子(平山綾(現:平山あや))、オカマバーのママ(柄本明)、など個性的な面々も応援に駆けつけ、鈴木たちはシンクロの練習に明け暮れる…。
[編集] 受賞
- 第25回日本アカデミー賞 優秀作品賞
- 第25回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞・新人俳優賞(妻夫木聡)
- 第25回日本アカデミー賞 優秀脚本賞・優秀監督賞(矢口史靖)
- 第56回毎日映画コンクール 日本映画優秀賞
- 第39回ゴールデンアロー賞 映画新人賞(妻夫木聡)
[編集] キャスト
- 鈴木智:妻夫木聡(初代ウォーターボーイズ)
- 佐藤勝正:玉木宏
- 太田祐一:三浦哲郁
- 金沢孝志:近藤公園
- 早乙女聖:金子貴俊
- 木内静子:平山綾
- 弥生:秋定里穂
- 佐久間恵:眞鍋かをり
- 杉田:杉本哲太
- 尾崎校長:谷啓
- 磯村:竹中直人
- 喫茶バー(オカマバー)「ともしび」
- その他のウォーターボーイズ(シンクロ参加者)
- バスケ部
- 吉田:森山栄治
[編集] スタッフ
[編集] 主なロケ地
[編集] 出版
- MAKING OF WATER BOYS(2003年・ワニブックス)
- MAKING OF WATER BOYS 2(2004年・ワニブックス)
- ウォーターボーイズ・オフィシャルブック(2004年・扶桑社)
[編集] その他
- 本作は、『世界の中心で、愛をさけぶ』との関連性が多い。まず、テレビドラマ版で共演した山田孝之と森山未來は、のちに『世界の中心で、愛をさけぶ』のドラマ版と映画版でそれぞれ松本朔太郎役を演じている。また、映画版で中田光太郎役だった田中幸太朗も、同作品のドラマ版で大木龍之介、同じく舞台版では松本朔太郎役を演じている他、『WATERBOYS 2005 夏』で小間俊一郎役だった柄本佑は、同作品のテレビドラマ版で「ボウズ」役として出演していた。その他、テレビドラマ版で安田孝役だった田中圭も同作品のドラマ版に出演。
- また、あだち充原作の漫画を基にしたドラマ『H2』でも、山田孝之、田中幸太朗、中尾明慶、北条隆博、高橋良輔、そして石垣佑磨が共演している。
- 映画版・ドラマ版を通じて主役の脇を固める出演者の中から後に特撮ヒーロー番組で主役や準主役を演じる俳優が数多く輩出されている。似たような例として、『バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】』があげられる。
- 映画版より
- 杉浦太陽=『ウルトラマンコスモス』のムサシ隊員→ウルトラマンコスモス
- 田中幸太朗=『爆竜戦隊アバレンジャー』の仲代壬琴→アバレキラー
- ドラマ版第一期より
- 伊阪達也=『幻星神ジャスティライザー』の伊達翔太→ライザーグレン
- 北条隆博=『仮面ライダー剣』の上城睦月→仮面ライダーレンゲル
- ドラマ版第二期より
- 高橋良輔=『超星艦隊セイザーX』の安藤拓人→ライオセイザー
- 橋本淳=『魔法戦隊マジレンジャー』の小津魁→マジレッド
- スペシャルドラマ「WATERBOYS 2005年夏」より
- 佐藤祐基=『仮面ライダーカブト』の加賀美新→仮面ライダーガタック
- 高橋光臣=『轟轟戦隊ボウケンジャー』の明石暁→ボウケンレッド
- 映画版より
- 2006年に放送されたのだめカンタービレの出演者も多く出ている。(玉木宏、瑛太、小出恵介、竹中直人、近藤公園、木村了(ゲスト出演)など)
[編集] シンクロで使用された曲
- DIAMOND HEAD(ザ・ベンチャーズ)
- 歌劇「カルメン」より 闘牛士の歌(ビゼー)
- あなたのとりこ(シルヴィ・ヴァルタン)
- オンリー・ユー(ザ・キングトーンズ)
- 愛のしるし(PUFFY)
- 学園天国(フィンガー5)
[編集] 関連項目
- スウィングガールズ(同監督の作品)
- がんばっていきまっしょい(同じプロデューサーチームの作品)
- 解夏(同じプロデューサーチームの作品)
- それでもボクはやってない(同じプロデューサーチームの作品)
- 関口大輔(プロデューサー)
- 桝井省志(プロデューサー)
[編集] 外部リンク
- フジテレビ
- 映画「ウォーターボーイズ」公式サイト
- WikiDrama
- トゥリトネス公式サイト シンクロコーチ不破央らによるシンクロチーム
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