カツレツ
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カツレツとは食材を小麦粉、溶き卵、パン粉などの衣で包み、食用油脂を用いて加熱した料理の日本における呼称。省略形はカツ。西洋料理に日本独自のアレンジを加えた洋食の代表的な一品として知られる。トンカツやエビフライなど、~カツ、~フライとつくものはほとんどがこの調理法を用いて作られる。
カツレツはフランス料理のCôteletteに由来し、チーズをはさみ込んで揚げたコルドンブルーや、ミラノ風カツレツとして知られるイタリア料理のコトレッタ、ウィーン名物のシュニッツェルなども起源を同じくするとされる料理である。 英語のcutlet( "t" の音は非常に弱く発音されるため、日本人の耳にはカレあるいはカッレッと聞こえる)がカツレツと呼ばれるようになった理由は、促音を小さく書かない旧かな表記法の誤読であろうと想像される。 英語圏で「カレー」を注文したらcutletが出てきたという実話もあるほど本来の発音とはかけ離れた外来語である。歴史的な記録としては、1860年(万延元年)に福沢諭吉が発表した『増訂華英通語』(広東語・英語対訳の単語集にカタカナで読みと訳語を書き加えたもの)に収載[1]された「吉列鶏(フェヲル コルレッ)」が日本で最古のものであると考えられている。ただし、この語には訳語はつけられていない。「吉列」は広東語でカッリッと読み、現在もカツレツの訳語として使われている。
カツレツに用いられる素材は、関西では主として牛であるのに対して、関東以北では圧倒的に豚肉である。これは関西に比べて牛肉食があまり普及しなかった東京において、1890年(明治23年)に銀座のレストラン『煉瓦亭』が考案した、淡白な豚肉を天ぷらのように大量の植物油で揚げるスタイルのポークカツレツが好評を得て普及したことが原因であると思われる。煉瓦亭から広まったポークカツレツはその後独自の進化を遂げ、とんかつと呼ばれる新しい和食へと発展していくことになる。
カツレツの技法は、串かつやエビフライ、本来は異なる種類の料理であるコロッケなどにも応用されていった。現在では鳥獣肉のカツレツを「カツ」、魚介類や野菜を素材とする場合は「フライ」と呼び分けることが一般的である。
[編集] カツレツから派生した料理
- 豚カツ(トンカツ、ポークカツ) 部位によってヒレ(フィレ、ヘレ)カツ、ロースカツなどを使用。
- 牛カツ(ビーフカツ、ビフカツ) 部位によってヒレ(フィレ、ヘレ)カツ、ロースカツなどを使用。
- チキンカツ 鶏肉を使用。部位によってササミカツなどの名も。
- ミンチカツ ひき肉を使用。関東地区ではメンチと呼ばれる。
- 鯨カツ 鯨肉を使用。
- ハムカツ ハム(主としてプレスハム)が用いられる
- エビフライ すり身の場合はエビカツとも
- 魚のフライ アジ、鮭、ワカサギ、タラ、メルルーサなどが代表的。
- カキフライ 牡蠣を使用。
- ホタテフライ ホタテガイを使用。魚肉練り製品のコピー食品もある。
- イカフライ、イカリングフライ(カラマリ)、イカを使用。
- 串カツ(大阪の郷土料理 他地域では串揚げとも呼ばれる) 肉、魚介類、野菜、チーズ、卵、その他さまざまな食材を串に刺して揚げたもの。
- フィッシュフライ (徳島県によく見られる、カレー味の魚肉練り製品のカツ。
- ガンス (広島県の郷土料理) 天ぷらの下加工素材(白身のすり身を蒲鉾状にした物)をカツレツの技法で揚げたもの。