ストライクガンダム
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ストライクガンダム (Strike Gundam) は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・略称はMS)。(型式番号:GAT-X105)本項では(型式番号:MBF-02)ストライクルージュ、発展機である(型式番号:GAT-X105E)ストライクノワールについても扱う。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] G兵器
G兵器とは、地球連合軍所属国家の大西洋連邦が、他の連合加盟国の承認を得ず「ヘリオポリス」にてモルゲンレーテ社と共同でG兵器開発計画の名の下に極秘開発した新型試作MS群である。
型式番号のGATとは「Gressorial Armament Tactical」(戦術装脚兵装)の略で、「X」は試作機である事を表す。「G兵器」の「G」とはOSの頭文字であり、通常は「G」、もしくは「Xナンバー」と呼ばれる。
この機体群は全機がフェイズシフト装甲(PS装甲)と言う特殊装甲を採用し、電力消費と引き換えに携行できるビーム兵器を殆ど持たないザフトのMSに対して無敵に近い防御力を発揮できる。また、新型の低電力高出力ジェネレーターの実用化によって小型化されたビーム兵器を搭載しており、標準装備で既に艦船をも撃沈する攻撃力を有している。だが、PS装甲とビーム兵器の同時運用は予想以上にエネルギー消費が激しく、新型の大容量バッテリーが動力源であるにも係わらず、フル稼働時の実働時間は一般の量産機よりもかなり短い。又、機体を制御するOSも不完全なものであり、ロールアウト時点ではナチュラルの手に余る代物であった。
[編集] ストライクガンダム
ストライク | |
型式番号 | GAT-X105 |
所属 | 地球連合軍→三隻同盟・アークエンジェル 地球連合軍 第81独立機動群“ファントムペイン”(再建造機) |
建造 | オーブ連合首長国(モルゲンレーテ社) 地球連合軍(アクタイオン・インダストリー社)(再建造機) |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 17.72m |
本体重量 | 64.8t |
全備重量 | 85.1t(エールストライカー装備時) 74.1t(ソードストライカー装備時) 83.7t(ランチャーストライカー装備時) |
装甲 | フェイズシフト装甲 |
武装 | ・75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2 ・アサルトナイフ「アーマーシュナイダー」×2 ・57mm高エネルギービームライフル ・対ビームシールド ・バズーカ エールストライカー武装 ・ビームサーベル×2 ソードストライカー武装 ・15.78m対艦刀「シュベルトゲベール」 ・ビームブーメラン「マイダスメッサー」 ・ロケットアンカー「パンツァーアイゼン」 ランチャーストライカー武装 ・320mm超高インパルス砲「アグニ」 ・120mm対艦バルカン砲 ・350mmガンランチャー×2 ガンバレルストライカー武装 ・M58E ガトリング機関砲 ・GAU-758S レールガン ・M70AMSAT ミサイル×2 I.W.S.P武装 ・115mmレールガン×2 ・105m単装砲×2 ・9.1m対艦刀×2 ・コンバインドシールド ・30m径6銃身ガトリング機関砲 ・ビームブーメラン ライトニングストライカー武装 ・70-31式電磁加農砲 |
主な搭乗者 | キラ・ヤマト ムウ・ラ・フラガ スウェン・カル・バヤン(再建造機) |
[編集] 機体解説
X105ストライクは、建造された5機の「G」の中でも最も後発に位置する機体で、独自の装備換装機構「ストライカーパックシステム」によって、多様な戦場に適応可能な汎用性を発揮する。このシステムは、戦況に応じて近・中・遠距離用等複数のバックパック、及びその他装備を換装する事によって、1機で各々の専用機と同等かそれ以上の性能を付加する事を目的としている。また、ストライカーは各々のパックが独立したバッテリーユニットを持ち、同時に装着機の補助電源の役割も兼ねている。これによって戦闘中それまでのパックを排除し、新たに母艦から射出されたパックを装着する事によって、機体稼働時間の大幅な延長を実現している。
ストライカーパックの運用を前提とした設計が為されたストライク本体は、固定のバックパックを持たず、更に内部骨格もベーシックなX100系フレームを採用した非常にシンプルな仕様となっているが、同じX100系採用型である先行機X102デュエルやX103バスターのフレームに比べ稼動範囲及び柔軟性などを向上させる改良が加えられており、限り無く人間に近い動きが可能となっている。
本機のバリエーション機や一部のストライカーパックにはフランス語の名称が使われているが、なぜフランス語なのかは不明。
「ストライク」は「攻撃」「打撃」の意。 X-105とはマツダ RX-7の開発コードから。[1]
[編集] 武装
- 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」Igel-stelung
- 主に接近してきた敵MSの牽制や、ミサイルの撃墜に用いられるCIWS。大口径である為、航空機への攻撃力も期待出来る。イージスやデュエル、アークエンジェル級にも同様の装備が搭載されている。
- 名称の由来は、「ハリネズミの陣」。現在米国及びその同盟国海軍艦艇が装備しているCIWS「ファランクス」(ハリネズミ、方陣)を独語訳したもの。なお劇中、ストライクのコクピットコンソールに表示されるスペルには誤りがある。正誤は以下通り。
- 誤:stelung
- 正:stellung
- アサルトナイフ「アーマーシュナイダー」
- 両腰のアーマーに収納されている折りたたみ式のナイフ。実体兵器であるためPS装甲には通じないが、エネルギーを消費せず使用できる。エネルギー残量がレッドゾーンに突入した時やストライク本体のみでの戦闘を余儀なくされた場合のサブウェポンではあるが、高硬度の金属で出来た刃は近接格闘戦においてMSの装甲を貫くのに充分な威力を発揮し、キラはこの装備でラゴゥやゾノといった当時の最新鋭機を撃破している。
- 尚、アーマーシュナイダーという名称はドイツ語で「装甲を切るもの」の意味だが、劇中のコクピットのコンソールに表示される英字表記がArmr-Scneiderとなっており、2カ所綴りが誤記されている。
- 誤:Armr
- 正:Armor
- 誤:Scneider
- 正:Schneider
- 57mm高エネルギービームライフル
- ライフル型の小型ビーム兵器。片手サイズにまで小型化されているが、その威力はローラシア級の外装をも一撃で撃ち抜く。但し、機体本体のジェネレータから直接ドライブする方式を取っている為、発砲数に応じて稼働時間に大きな制約を受ける。携行装備である為装着ストライカーの影響を受けず使用出来るが、エネルギー消費の関係上出力に余裕があるエールストライカー装備時での使用が望ましいとされる。
- 対ビームシールド
- 対ビームコーティング処理が施された防御装備。部材そのものも特殊な共振現象を起こす固有振動数を持った鋼材同士の複合金属で作られており、微細な振動を繰り返す事で、コーティングの効果と相まってPS装甲の弱点であるビームを屈折、拡散させる事が出来る。この盾はデュエル及びオーブ製のMBFアストレイ系列機の物と同規格の大型タイプで、有効防御面が広い反面大型の砲や剣を取り回す際には邪魔になってしまうので、ソードストライカー、ランチャーストライカー装備時は携行されない。
- バズーカ
- 月付近の宙域で第8艦隊と合流した際の補給物資の中にあった、対MS用バズーカ。アストレイゴールドフレームが使用したデュエルのものとは別のタイプで、一度に弾倉を4つまで装着できる。ビーム兵器の使えない水中戦に挑む為に装備したが、本来水中用の装備でない事もあり、大した成果は上げられなかった。
- 本編では一度切りの登場であったが、高山瑞穂版SEEDでは、オーブ解放戦争に参戦しているM1アストレイが装備していた。
- XM404 グランドスラム
- グランドスラムは元々プラモデル「PG(パーフェクトグレード) ストライクガンダム」に付属するボーナスパーツが初出で、アーマーシュナイダー同様SEEDシリーズのキャラデザイナーであり、銃器、刃物類に深い造詣を持つ平井久司自らがコンセプトデザインを手掛けている。又、この装備は後に発売された「MG(マスターグレード)ストライクガンダム I.W.S.P.」にも付属しているが、後の設定変更によって非公式装備として扱われており、インスト内の武装解説文にも詳細は一切記述されていない。
- グランドスラム・旧設定
- 本機のオプション武装の1つとして用意された巨大な実体刀剣。その全長はMSの身長を軽く上回り、リーチの長さを活かした広い間合いからの斬撃、刺突を可能とする。グリップは折り畳み式である程度の携帯性を確保しているが、結局は遥かに小型で取り回しに優れたアーマーシュナイダーが採用される事となった。残された装備は構造を簡略化した上で接近戦武装を持たないバスターに回される事となったが、その矢先ザフト軍クルーゼ隊によって同機を含む4機のGが強奪され、更にヘリオポリス崩壊に伴い製作された試作品及びその他関連資料の一切が行方不明となってしまった。
- 千葉智宏のブログ「ASTRAYなブログ」の2006年10月11日の記述でグランドスラムに関して、以下のような記述がある。
- 現在、この武器に文字設定(世界観設定)は存在してない。つまりSEED世界に、存在していないのだ。当初、この武器にも、開発過程や、用法など設定を作っていた。だが、バンダイホビーから以下のような提案を受けて、すべて破棄した。「グランドスラムは、模型としての遊びです。この武器に公式設定を付けた場合、以後、同じような模型としての提案をする場合にも、『公式に見てどうか?』という縛りが産まれます。それは模型としての自由な発想を失うことになります。ですから、今回のグランドスラムは、設定なしにいたしましょう」
[編集] ストライカーパックシステム
ストライク最大の特徴である装備換装システム。それぞれのパックがコンセプトに沿った武器、スラスター、バッテリー等の複合ユニットであり、状況に見合ったストライカーパックを装備して出撃する事であらゆる戦況で力を発揮出来る。通常は何らかのストライカーパックを装備した状態で運用され、水中戦等の特殊な状況を除き、本体のみで出撃することはほとんど無い。これら各ストライカーパックをストライクに装備した形態をここでは解説する。パック個々の詳細については、ストライカーパックの項も併せて参照のこと。
- エールストライク
- エールストライカーを装備した形態。機動性に優れ、近距離ではビームサーベル、中距離ではビームライフル、そしてシールドでの防御とバランスも良く、対MS戦に最も適している。そのため作中でも登場回数が最も多い。
- エールストライカーをスカイグラスパーに装備した場合、追加ブースターの役割を果たし、機動性や航続距離を大幅に向上させることが出来るが(ビームサーベルは使えない)、ストライクに装備されることが多い事から、この形態で運用される事は一度しか無かった。
- ソードストライク
- ソードストライカーを装備した形態。MSを一撃で両断するレーザー対艦刀「シュベルトゲベール」やトリッキーな動きで敵を切り裂くビームブーメラン「マイダスメッサー」等により格闘戦では無類の強さを誇るが、武器の射程距離はどれも短く広域での戦闘には向かない。左腕に装着するロケットアンカー基部は、小型の対ビームシールドとしても機能する。劇中ではヘリオポリスやアルテミス等、施設内の戦闘で使用された。アークエンジェルが地上に降下した後はインド洋でのモラシム隊との交戦及びオーブ沖でのザラ隊との交戦で使用され、後者においてブリッツガンダムを撃破したが、本編でその後使用されることは無かった。
- スカイグラスパーに装備した状態でもシュベルトゲベールは使用可能であるが、武器の性質上使用難度の高い装備となっている。北アフリカでの対レセップス戦においては、敵艦体にパンツァーアイゼンを打ち込み、それを軸に旋回しながら砲身を切り落とすという戦法がカガリ・ユラ・アスハの手で行われている。また、スカイグラスパーに装備する時はスカイグラスパー自体が前進する為、シュベルトゲベールの向きが逆になる。
- ランチャーストライク
- ランチャーストライカーを装備した形態。遠距離砲撃戦および対艦・対要塞戦に特化した装備で、主力武器「アグニ」によりTV劇中に登場したストライカーの中では最強の火力を誇る。右肩に装着するバルカン砲も中距離火器として十分な威力を持つ。反面、格闘戦用の武器は本体装備のアーマーシュナイダーのみとなり、尚且つ格闘戦に際してはランチャーストライカーそれ自体がデッドウェイトとなること、またシールドも持たないことから対MS戦には不向きであると言える。また「アグニ」は威力は極めて強力だがエネルギー消費も大きいので、稼働時間にも不安を残す。本編ではアークエンジェルの地球降下後、スカイグラスパーがこの装備を使用することが多かった為、ストライクの使用機会は少なかった。
- アグニはスカイグラスパー装備状態での使用も可能であり、作中ではストライクにエールストライカーを装備し白兵戦を、ムウ・ラ・フラガがランチャー装備のスカイグラスパーで支援砲撃を担当する戦術が多く見られた。
- ストライクI.W.S.P.
- 『ガンダムSEED MSV』で設定された第4のストライカー、IWSPを装備した形態。
- I.W.S.P.はモルゲンレーテ社製のエール、ランチャー、ソードの三種のストライカーに対し、ライバル企業のPMP社が提案していたストライカー。ちょうどモルゲンレーテのストライカー三種の性能をひとつに集約したような役割を果たす。たが、それだけに消費電力の増大を抑える事には難航し、PMP社は開発を断念。モルゲンレーテに引き継がれる事となる。結果としてパワーパックの小型・高性能化に秀でていた同社の改良により試作三号機が運用可能なレベルにまで到達した。
- ストライクガンダムIWSPは劇中に登場していないが、IWSPを装備したストライクルージュは機動戦士ガンダムSEED DESTINYの第1期オープニングに登場している他、「ASTRAY B」において(劇中には登場しないが)カガリがIWSP三号機を試験運用するエピソードが描かれている。また第81独立機動群ファントムペイン所属パイロット、スウェン・カル・バヤン中尉もIWSPを装備したダークカラーのストライク(後述)に搭乗した事が確認されている。これはストライク本体同様アクタイオン社によって再生産されたものである。
- ガンバレルストライク
- 『ガンダムSEED MSV』にて設定創作されたガンバレルストライカーを装備した形態。ムウ・ラ・フラガの使用を前提として用意されていたが、その手に届く前に彼がストライクごと連合を離反したため、実際に装備された例は無い。だが、ゲームボーイアドバンス用ソフト『機動戦士ガンダムSEED 友と君と戦場(ここ)で。』に、if設定の隠し要素として登場している。
- 最大の特徴は、4つのガンバレルによるオールレンジ攻撃が出来る事である。
- ライトニングストライク
- 『ガンダムSEED MSV』にて設定が創作されたライトニングストライカーを装備した形態。
- この機体は「ガンダムSEEDメカコンテスト」においてホビージャパン賞に選ばれた一般公募作品を元にデザインされている。投稿者の考えは「重装甲+高機動」だったが、高機動は既にエールストライカーで成している為、スタッフにより若干の設定変更を加えてある。
[編集] 劇中での活躍
本機はコズミック・イラ71年1月25日、ザフト軍クルーゼ隊によるヘリオポリス襲撃の最中、地球連合軍の女性士官マリュー・ラミアスと偶然居合わせたヘリオポリス工業カレッジの学生でコーディネイターのキラ・ヤマトが搭乗。起動時は腕を負傷し、パイロットですらないマリューが操縦していたが、絶体絶命のピンチに陥った時強引に操縦を代わったキラ自身の手で未完成だった機体OSを瞬時に書き換えられ、標準装備ながらその驚異的な機動力で迫り来るジンを撃破した。だがOSを書き換えられたストライクはキラ以外には到底扱える物ではなくなってしまった為、そのままなし崩し的に彼はストライクの専任パイロットにされてしまう。
以後奪われた4機のGを伴って迫るクルーゼ隊の襲撃をかわし続け、地球降下後アフリカでは「砂漠の虎」ことアンドリュー・バルトフェルド率いるバルトフェルド隊、紅海横断途中にマルコ・モラシム隊と交戦しこれを撃破した。
オーブ近海での戦闘の後、アークエンジェルと共にオーブに匿われ、キラのモルゲンレーテへの技術協力(M1アストレイのOS開発)及びストライクの戦闘データの提供を交換条件にモルゲンレーテ本社工場内にてオーバーホールを受けた。オーブ出発直後の戦闘で遂に奪取されたG兵器の内の一機ブリッツを撃破するが、その後の戦闘でイージスの自爆攻撃に巻き込まれ中破する。その後機体はオーブに回収され、ナチュラル用のOSが組み込まれた上で修復される。
その後、地球連合軍を離反したアークエンジェルがオーブに寄港した際に引き渡され、以降はムウ・ラ・フラガの搭乗機となる。オーブ解放作戦においてはストライクダガーやカラミティを相手に初心者とは思えない戦い振りを見せ、オーブ陥落後も三隻同盟の貴重な戦力として運用され続けるが、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてアークエンジェルを護るため、ドミニオンのローエングリンをその身を挺して受け止め爆散した。
[編集] ストライク(再生産機)
戦後、地球連合軍第81独立機動群“ファントムペイン”によって推進されたエースパイロット用ワンオフカスタムMS開発計画「アクタイオン・プロジェクト」に基づき再生産された機体。
大戦後期~戦後に渡り続々開発された新型機の登場に伴い、初期GAT-Xは相対的な旧世代機として扱われていたが、それでも尚そのポテンシャルはこれら後継の機体群にも充分対抗可能な水準を維持していた。その優秀性に着目したファントムペインは、アクタイオン・インダストリー社を主導とする民間企業連合に初期GAT-Xの再生産を依頼。部隊内から選抜した優秀なパイロットをこれらの機体に搭乗させ、実働データの収集・再検証を行った。そして、その結果得られたデータやパイロット本人の意見を基に機体をカスタマイズする事で、次世代機に匹敵する高性能MSを生み出そうとしていたのである。
再生産されたストライクは、設計上はヘリオポリス製の機体と全くの同一機体だが、機体ジェネレーターは、モルゲンレーテ社が開発した強化型バッテリーパック、パワーエクステンダーが本格的に採用されている。PS装甲の電圧設定も一部変更され、ヘリオポリス製の機体に比べ起動色がやや暗色化しているのが特徴である。背部ストライカーパックは、専任パイロットであるスウェン・カル・バヤン中尉のオールラウンドな操縦特性に合わせ全領域対応型のIWSPが実装された。
IWSPは確かに強力な装備であったが、データの蓄積・解析が進むにつれ、様々な欠点も露呈させていった。特に機体上半身や、コンバインドシールドを装備する左腕部のマスバランスの悪さは顕著であり、機動時の余剰モーメントの発生は深刻な問題であった。後に、これら欠点の克服と同時に、より機能を発展、昇華させた新型ストライカー「ノワールストライカー」が製作された。平行してストライク本体も改修が加えられ、後の「ストライクE」として生まれ変わる事となる。
[編集] ストライクルージュ
ストライクルージュ(Strike Rouge)は機動戦士ガンダムSEED及び機動戦士ガンダムSEED DESTINYに登場するMS。(型式番号:MBF-02)
ストライクルージュ | |
型式番号 | MBF-02 |
所属 | 三隻同盟(機動戦士ガンダムSEED) アークエンジェル(機動戦士ガンダムSEED DESTINY) |
建造 | オーブ連合首長国(モルゲンレーテ社) |
生産形態 | 模造機 |
全高 | 17.72m |
本体重量 | 64.8t |
全備重量 | 85.1t(エールストライカー装備時) |
装甲 | 改良型フェイズシフト装甲 |
武装 | ・75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2 ・アサルトナイフ「アーマーシュナイダー」×2 ・57mm高エネルギービームライフル ・対ビームシールド エールストライカー武装 ・ビームサーベル×2 |
主な搭乗者 | カガリ・ユラ・アスハ キラ・ヤマト |
[編集] 機体解説
本機はGAT-X303イージスとの戦闘で大破したストライクを回収し修理した際に、大量に製作した予備パーツから組み上げられた機体である。そのため基本的にはストライクと同一の機体であるが、モルゲンレーテ社による独自の改良が加えられている。
オリジナルのストライクとの最大の違いは、強化型バッテリーユニット「パワーエクステンダー」の搭載によりエネルギー変換効率が向上し、機体の稼働時間が大幅に延長されている点である。その稼働時間は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてジェネシス破壊後までフェイズシフトダウンを起こさなかった事から、他の非PS装甲機とほぼ同等であると推察できる。
又、エネルギー変換効率の向上に伴ってフェイズシフト時に装甲にかける電圧を増すように設定されており、増加した電圧に比例して装甲の耐久力も更に向上している。耐久力だけでなくカラーリングも赤主体に変化しており、その独特の起動色が「ルージュ(フランス語で赤)」という名称の由来となった。後にプラントで開発される機体群「セカンドステージシリーズ」のVPS装甲は、この電圧を増してPS装甲の強度を上げる技術の発展系である。
この他、制御系にはオーブ連合首長国が独自開発した操縦支援AIシステムが追加装備されている。
[編集] 劇中での活躍
作中では、オーブが地球連合軍の侵攻を受けた時期にはパーツが完成した状態であり、オーブ降伏の折、クサナギにより宇宙に運び出され、約一ヶ月の組立作業を経て完成した。パイロットはオーブの姫君として知られるカガリ・ユラ・アスハである。カガリは第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において本機で出撃し、ルーキーパイロットであるにもかかわらずかなりの戦果を挙げた。
当初はIWSPを装備して出撃する予定であったが、コーディネイターのエースパイロットでも並大抵には操縦できないほど複雑化した火器管制を、MSパイロットとしては初心者のカガリには扱いきれず、ナチュラル用OSで補助する事も出来なかったため結局はエールストライカーを装備して出撃している。このため本機用のエールストライカーを準備する必要が生じ、初陣が遅れることとなった。
続編である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にも、引き続きカガリ・ユラ・アスハの専用機として登場しており、劇中におけるオーブ軍兵士の言動から旗頭的な存在であると推察される。しかしC.E.73年においては、装甲を除けば性能は平凡化しており、ザフトの量産機ザクウォーリアに劣るとされる。第1クールのオープニングではIWSPを装備した姿で登場しているが、実際の劇中では改良を加え滞空時間を増したエールストライカーを使用している。
39話ではザフト軍艦隊に追われピンチに陥ったエターナル救出のため、シン・アスカのインパルスとの戦闘でフリーダムを失ったキラ・ヤマトが、カガリからこの機体を借り受けて使用した。発進の際、大気圏離脱用のストライクブースターを装着し、かつての自分の愛機であったストライクと同じ設定を施したために機体の色は赤ではなく、オリジナルと同じトリコロールカラーであった。(例外としてPS装甲でない盾のカラーリングや頭部デュアルセンサーの色はそのまま)なお、小説では、ブースターは急遽シャトル用のものを調整したものとなっている。
大気圏を離脱したストライクルージュはエターナルが撃墜される直前に戦闘に介入、艦橋を狙ったガナーザクウォーリアのオルトロスを射抜きそのままエターナル防衛に加わった。しかし機体性能で同等のニューミレニアムシリーズ複数機を相手に、ただ撃墜するだけでなくエターナル防衛までをもこなす事はキラの技量を以ってしても至難であった。ザクウォーリア・グフイグナイテッドを数機退けたものの、再びエターナルに向けられたガナーザクのオルトロスの砲撃を真正面からシールドで受け止めている最中に、別のガナーザクのオルトロスにより左腕を吹き飛ばされた(ほぼ同方向から放たれたので気付いていない人も多い)。その後右腕も破壊されたが、その際に放り出されたビームライフルはガイアが受け取り使用している。キラがストライクフリーダムを受け取る為にエターナルに着艦する時にシークエンス中に両脚部をも失った。エターナルの緊急着艦システムを使用しなければいけないほど大破していたが、エターナルは撃墜の危機を免れた為その役割は果たしたと言える。回収後この機体がどういった扱いを受けたのかは明らかにされていない。なお、エターナルに収納されてるとも考えられる、そのあと不明である。
[編集] ストライクノワール
ストライクノワール(Strike Noir)は『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER 』に登場するMS。(型式番号:GAT-X105E)
なお、この名称はノワールストライカーを装着した状態を差し、MS本体の名称は正確には「ストライクE」(Strike E type)と呼ばれる。但し、公式サイト及びその他メディアでの表記や知名度等を考慮し、この名称を用いる。また、プラモデル等の商品名は「ストライクノワールガンダム」と表記される。
[編集] 機体解説
ストライクノワール (ストライクE+ノワールストライカー) |
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型式番号 | GAT-X105E+AQM/E-X09S |
所属 | 地球連合軍第81独立機動群“ファントムペイン” |
建造 | 地球連合軍(アクタイオン・インダストリー社) |
生産形態 | 強化改修機 |
全高 | 17.72m |
重量 | 90.51t(ノワールストライカー装備時) |
装甲 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
武装 | ・M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2 ・M8F-SB1 ビームライフルショーティー×2 ・EQS1358 アンカーランチャー×6 ・57mm高エネルギービームライフル(175mmグレネードランチャー)×2 ・AQM/E-X09S ノワールストライカー (MAU-M3E4 2連装リニアガン×2) (MR-Q10 フラガラッハ3ビームブレイド×2) (EQS1358T アンカーランチャー) |
主な搭乗者 | スウェン・カル・バヤン |
地球連合軍第81独立機動群“ファントムペイン”に所属する青年士官スウェン・カル・バヤン中尉の搭乗機。
アクタイオン・インダストリー社が再建造したストライクをベースに強化改修を施したカスタマイズMS。改修前はIWSPを実装しての稼働試験が行われ、戦後各地で発生したザフト残党や反連合勢力の掃討戦にも投入されていた。後に得られたデータを元にストライク本体はストライクEへと改修され、IWSPは万能型装備のコンセプトを継承したノワールストライカーへと昇華される。基本構造上は原型機とほぼ同様だが、オーブのモルゲンレーテ社が実用化したパワーエクステンダーの搭載、及び各部材のエネルギー変換効率の改善による稼働時間延長や、ノワールストライカー実装による火力、機動性の強化が図られている。また、OSのブラッシュアップ等ソフトウェア、インターフェイス面においても改良が加えられ、C.E.73年代の機体群にも匹敵するスペックを獲得している。名称の「ノワール」(フランス語の“黒”)が示す通り、黒を基調としたPS装甲色が特徴。これはパワーエクステンダー搭載時の副次効果とストライクルージュで確立されたVPS装甲技術を反映したもので、ノワールストライカー装着時の専用色でもある。パワーエクステンダー自体は改修以前から既に搭載されていたもので、その時点でもヘリオポリス製のX105に比べ若干トーンを落とした暗色系のトリコロールカラーとなっていた。改修後は機体の運用戦術に最適な電力配分を考慮した結果、更にトーンダウンした漆黒の配色へと変化した。同じ特殊戦MS小隊所属機であるX1022ブルデュエル、X103APヴェルデバスターとの連携を重点に運用される。
[編集] ストライクE
ノワールストライカーを排除した軽装状態。名称は機体本体の呼称である「ストライクE」となり、VPS装甲もノーマルのX105に近いトリコロール系の配色に変化する。外観上は両肩部サブスラスター(この部分の配色は変化しない)の追加や各部装甲形状の部分的変更が行われている程度で、少なくともシルエット上では原型機との差異はほとんど無い。
尚、型式番号及び機体名末尾の「E」は『Enhanced(エンハンスド)』の略で、「強化型」を意味する。
- ストライクE+I.W.S.P.
- 『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 ⊿ ASTRAY』に登場。:オーブ洋上でのマーシャン殲滅作戦において、デルタアストレイに破壊されたノワールストライカーに替わりワイド・ラビ・ナダガ搭乗のスローターダガーから奪い取ったIWSPを装着した姿。IWSPは元々モルゲンレーテ社に保管されていたストライクルージュ用の装備を流用したもので、作戦終了後はオーブに返却された。
[編集] 武装
- M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器
- ダガーL以降の連合系MSに標準装備される両側頭部の対空防御機関砲。
- M8F-SB1 ビームライフルショーティー
- 両腰ラッチにマウントされた射撃武装。 近距離での取り回しと連射性を重視し、ハンドガンサイズまでに切り詰められた短銃身が特徴。但し、出力自体は通常のビームライフルとほぼ同程度を維持している。
- EQS1358 アンカーランチャー
- 両掌、両爪先及び踵裏に固定装備されたワイヤーアンカー。敵への奇襲、捕獲等、様々な用途に使用される応用性の高い装備であり、特殊な高分子物質で構成されたワイヤーはMSの質量を支えられるだけの強度を持つ。強化改修の際スウェン本人の希望を取り入れ実装された。
- 175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル
- キルギスプラント防衛任務の際使用されたグレネードランチャー内蔵型ビームライフルで、X102デュエルの物と同一装備。
- 劇中の「STAGE-1」終盤にて2挺を携行した状態での発進シーンが確認されたが、実際に使用されたシーンは結局存在しなかった(但し、月刊ガンダムエース連載の漫画版(作画:守屋直樹)では発砲シーンが存在する)。
- AQM/E-X09S ノワールストライカー
- 機体と平行して開発された専用ストライカーパック。 詳細は別途項目「ノワールストライカー」を参照。
[編集] 劇中での活躍
本機は、ブレイク・ザ・ワールド事件後キルギスプラントを襲撃したザフト軍の殲滅任務を受けブルデュエル、ヴェルデバスターと共に現場に急行、これを鎮圧。また、西ユーラシア地方にてハンニバル陸上戦艦ボナパルトの防衛任務を務めた後、高度な自律型AIユニットを有するDSSD製の宇宙探査用MS、GSX-401FWスターゲイザー奪取任務を命じられトロヤステーションを襲撃した。ヴェルデバスターと共に圧倒的戦闘力で保安部のシビリアンアストレイを多数撃墜、そして自ら出撃したスターゲイザーと相見える。激戦の末相手に組み付かれ、そのままヴォワチュール・リュミエールの超加速で太陽方面へ飛ばされた。その際強烈なGによるダメージで機体は大きく損壊、最後は地球圏帰還の為残存エネルギーをスターゲイザーに与えそのまま放棄される。
[編集] 参考
- GAT-01 ストライクダガー
- ストライクを元に開発された地球連合軍初の量産型MS。生産性を優先した簡易型ゆえに、ストライカーパックの運用能力は無い。ストライクダガーの項目を参照。
- GAT-01A1 ダガー(105ダガー)
- ストライクの制式量産機。ストライカーパックの運用が可能となっている。ストライクダガーの項目を参照。
- GAT-04 ウィンダム
- ダガータイプに代わる地球連合軍主力MSであり、ストライク直系の後継機。ウィンダムの項目を参照。
- ORB-01 アカツキ
- オーブにてストライクをベースとし秘密裏に完成したオーブ代表専用機。アカツキの項目を参照。
- ZGMF-X12A(RGX-00) テスタメント
- ザフト軍が奪取に失敗したストライクの運用検証の為に開発した機体。ストライカーパックの運用が可能。ガンダムアストレイアウトフレームの項目を参照。
- ZGMF-X56S インパルス
- テスタメントの後に建造されたザフト製のガンダムタイプのMS。ストライカーパックを参考にしたシルエットシステムを採用しており、装備の構成やカラーリングなども似通っている。インパルスガンダムの項目を参照。
- ZGMF-X20A ストライクフリーダム
- ザフトによって開発され、クライン派秘密組織ターミナルが奪取して運用したZGMF-X10A フリーダムの発展型MS。ストライクの名を冠しているが、105系列上の機体ではなく、これまでは恋人であるキラ・ヤマトの命を守った「ストライク」と「フリーダム」、2機の名を継承させることで「祈り」とした、ラクス・クラインによる命名であるとされていた。だが、昨今ではターミナルの奪取以前から「ストライクフリーダム」の呼称が使用されていたという説もあり、情報は錯綜している。ストライクフリーダムガンダムの項目を参照。
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