ドイツ・レクイエム
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ドイツ・レクイエム 作品45(ドイツ語:Ein Deutsches Requiem op.45)は、ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスが1868年に完成した、オーケストラと合唱、およびソプラノ・バリトンの独唱による宗教曲。
通常レクイエムはカトリック教会において死者の霊を慰めるための典礼音楽のことであり、ラテン語の祈祷文に従って作曲される。しかし、ブラームスはプロテスタントの信者であり、この曲ではマルティン・ルターが訳したドイツ語版の聖書などに基づいて、ブラームスが自分で選んだテキストを歌詞として使用しているほか、演奏会用として製作され、典礼音楽として使うことは考えられていないのが、大きな特徴として挙げられる。ブラームス自身も、「キリストの復活に関わる部分は注意深く除いた」と語っている。
なお、この曲の理解者で、1868年に一部演奏を担当した指揮者カール・マルティン・ラインターラー(Karl Martin Reinthaler、1822年-1896年)はブラームスの詞の選択に納得がいかず、『メサイア』のソプラノによるアリア「私は知る、私を贖う者は生きておられる」("I know that my Redeemer liveth...")を挿入した。ブラームスは彼への書簡で、「私は、喜んでこの曲のタイトルから『ドイツ』の名を取り去り、『人間の』と置き換えたいと公言してもいい」と述べている。
この曲は1857年頃から書かれ始めた。この曲が構想されたきっかけは、1856年に自らを世に出してくれた恩人ローベルト・シューマンが死去したことにあったと言われている。1857-59年には早くも現在の第2楽章(これは、もともと最初の交響曲の一部にする予定であったらしい)を完成させるが、そこからは進まなかった。しかし、1865年、ブラームスの母が死去し、これが彼に曲の製作を急がせることとなった。
1867年2月1日には、最初の3つの楽章の試演がウィーン楽友協会で行われたが、演奏がうまくいかず聴衆の罵声を浴びて失敗。しかしブラームスは諦めることなく作曲を続け、1868年、ブレーメンで第5楽章を除く全曲を自らの指揮で初演し、大成功を収めた。これにより、ブラームスは35歳にしてドイツ屈指の作曲家としての地位を確立したのである。その後、同年4月28日にラインターラーの指揮で再演され(上記)、9月17日に第5曲がフリードリヒ・ヘーガーの指揮によりチューリッヒで初演。そして、1869年2月18日に7楽章全曲の初演がカルル・ライネッケの指揮するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって行われた。
[編集] 編成
- ピッコロ-1
- フルート-2
- オーボエ-2
- クラリネット-2
- ファゴット-2
- コントラファゴット-1
- ホルン-4
- トランペット-2
- トロンボーン-3
- テューバ-1
- ティンパニー-2
- ハープ-1ないしは2
- 弦五部(ヴァイオリン第1、第2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
- オルガン(任意)
- 混声4部合唱
- ソプラノ独唱(第5楽章)、バリトン独唱(第3、第6楽章)
なお、第1楽章ではヴァイオリンは使われず、ヴィオラが弦楽の中心となっている。
[編集] 構成
- 悲しんでいる人々は幸いである( Selig sind, die da Leid tragen! ?)(マタイ伝5:4、詩篇126:5-6) へ長調 4/4拍子
- 人は皆草のごとく( Denn alles Fleisch, es ist wie Gras! ?)(1ペテロ1:24、ヤコブ書5:7、イザヤ書35:10) 変ロ短調 3/4拍子
- 主よ、我が終わりと、我が日の数の(" Herr, lehre doch mich! ?")(詩篇39:4-7、知恵の書3:1) ニ短調 2/2拍子
- 万軍の主よ、あなたの住まいは( Wie lieblich sind deine Wohnungen! ?)(詩篇84:1-2、4) 変ホ長調 3/4拍子
- このように、あなた方にも今は( Ihr habt nun Traurigkeit! ?)(ヨハネ伝16:22、シラ書51:27、イザヤ書66:13) ト長調 4/4拍子
- この地上に永遠の都はない( Denn wir haben hie keine bleibende Statt! ?)(ヘブル書13:14、コリント前15:51-55、黙示録4:11) ハ短調 4/4拍子
- 今から後、主にあって死ぬ死人は幸いである( Selig sind die Toten! ?)(黙示録14:13) へ長調 4/4拍子