ハネウェル
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ハネウェル(Honeywell、NYSE:HON、日本語読みでは「ハニウェル」とも)は、1886年に設立されたアメリカの多国籍企業であり、電子制御システムや自動化機器を製造販売している。
アメリカ航空宇宙局、ボーイング、アメリカ国防総省に技術サービスやアビオニクスを提供している会社である。 本部はニュージャージー州のモーリスタウン。
ハネウェルは、現在10万人を超える従業員を抱える巨大企業である。
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[編集] 歴史
[編集] 黎明期
- 1927年 ファクトリーオートメーション技術の先駆者マーク・ハネウェル(Mark C. Honeywell)が1906年 が設立したハネウェル・ヒーティング・スペシャルティーズ(Honeywell Heating Specialties Company)と、William R. Sweatt の会社ミネアポリス・ヒート・レギュレータ(Minneapolis Heat Regulator Company)が合併してミネアポリス・ハネウェル・レギュレータ(Minneapolis Honeywell Regulator Co.)となった。この時代はサーモスタット(自動温度調節装置)の専門企業であった。
[編集] Bingerの経営
- 1943年 James H. Binger がハネウェルに引き抜かた。Binger は医師の息子としてミネソタ州セントポールで育った。エール大学で経済学を学び、ミネソタ大学で法律を学んだ。卒業後、ミネアポリスの法律事務所に就職した。ハネウェル社はそこのクライアントであった。1961年には社長就任、1965年には会長に就任した。
- Binger はハネウェルの会長に就任するに当たり、売り上げよりも利益を重視して販売手法を改善した。また海外進出にも積極的で、全生産量の12%を海外で生産するようになった。また、社名を Minneapolis-Honneywell Regulator Co から現在のハネウェル(Honeywell)に変更した(Time.comの記事)。
- Binger は 1978年に会長を引退したが、亡くなるまで相談役にとどまった。後任は Edson Spencer(Honeywell Control Systems の初代社長)である。
[編集] 光学機器の輸入
- 1950年代から1970年代中盤まで、ハネウェルはペンタックス株式会社のカメラと写真関連機器の輸入元でもあった。その製品はアメリカではHoneywell Pentaxの名で販売された。
[編集] コンピューター製造への参入・撤退
- 1954年にレイセオン社との合弁でメインフレーム製造の事業に進出。1960年にエレクトロニック・データ・プロセッシング社を設立。1963年にハネウェル・インコーポレーテッド社に社名変更。
- 1960年代、ハネウェルはコンピュータ業界で「白雪姫と7人の小人」の一社に数えられた。IBMが白雪姫であり、小人にはハネウェルの他にバロース、CDC、GE、NCR、RCA、UNIVACが数えられる。日本電気は1962年、ハネウェルとコンピュータに関する技術提携契約を結んだ。ハネウェルのH200シリーズはIBM 1401に対抗するマシンとして成功し、日本電気はこれをNEAC2200シリーズとして発売、日本でのシェアを急速に伸ばすこととなった。
- 1970年、ハネウェルはゼネラル・エレクトリックのコンピュータ部門を買い取った。これに伴って会社組織が再編され、Honeywell Information Systems(HIS)とHoneywell Control Systems とに分かれた。RCAがそのコンピュータ事業をUNIVACに売却すると、「7人の小人」は5社に減り「BUNCH」と呼ばれるようになった。
- 1986年、フランスのコンピューター製造会社「ブル」(Bull)、日本電気との合弁会社「ハネウェル・ブル」を設立。
- 1991年、ハネウェルはコンピュータ部門(HIS)をブルに売却し、コンピューター事業から完全撤退。
[編集] 航空宇宙分野への進出
- 1986年 スペリー・エアロスペースを買収し、アビオニクスの世界最大手となる。
[編集] アライドシグナルとの合併
- 1998年に航空宇宙、自動車用製品、工業材料の大手メーカーであったアライドシグナル(AlliedSignal)と合併。現在の「Honeywell International, Inc.」の名称となった。 2社のうちアライドシグナル社の方が規模が大きかったが、合併後の社名はブランド名としてよく知られているハネウェルとなった。しかし、本社はアライドシグナルの本拠地ニュージャージー州モーリスタウンに置かれた。
[編集] 事業部門
- 航空宇宙
- 自動化と制御ソリューション
- 特殊素材
- 輸送システム
- 自動車のターボチャージャーで有名なギャレット(Garrett)はこのグループ。
[編集] GEとハネウェルの合併未遂
ハネウェルは2001年にゼネラル・エレクトリック(GE)と合併することを検討したことがある。GEが450億ドルでハネウェルを買収するという内容であった。(これは2000年に航空機エンジン製造のユナイテッド・テクノロジーズからの420億ドルでの買収提案を阻止するための提案であった。) 合併はアメリカ当局には認可されたが、ヨーロッパ委員会が独占禁止法に基づく審査によって合併を阻止した。 これは、両社の合併によってジェットエンジンやアビオニクスなどの分野でいろいろな製品を組み合わせて販売することにより寡占化が起きて他の企業が存続できなくなることを危惧したためである。ちょうどマイクロソフトがいろいろなソフトをOSにバンドルして寡占化を進めてきたのを告発されたのと同じことである。
[編集] 外部リンク
- Honeywell International Inc(英語版)Honeywell.com
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