ハンバーグ
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ハンバーグまたはハンバーグステーキとは、挽肉(豚肉や牛肉、またはその他の畜肉等を含めたあわせ挽肉)にタマネギ等の野菜類のみじん切りと胡椒等の香辛料を加え、鶏卵、パン粉を混ぜ、こね合わせたものを楕円形、円形などに整形して焼いた料理。
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概要
この料理は、下ごしらえに少々手間が掛かるものの、非常に食べ易い状態になっている為、児童や老人等の、咀嚼力が弱い人でも食べる事が出来、又消化も良い。大抵は付け合せに温野菜やサラダが用いられ、様々なソース類で味付けが成されている。主に挽肉とみじん切りにした野菜にパン粉を混ぜ、塩を加えて肉の粘性を出し、卵を繋ぎとして焼き固めた物であるが、味の濃いスープで煮込んだ「煮込みハンバーグ」という料理も有る。
特に児童に好まれる事もあってファミリーレストランの主力商品であるが、ナイフやフォークといった食器を使わなくても簡単に噛み千切れるので、パンに挟んでハンバーガーにする事もできる。箸でも容易に切れるために和風の味付けがなされることも多い。
然しその反面、ソースの味付け如何では、肉の素材自体の品質によってさほど味が左右されない為、長らくは屑肉と呼ばれる商品価値の低い材料を、食べられるようにする調理法とされる等の(やや不遇な)扱いを受けていた。この為、ハンバーグはしばしば「質や程度の低い料理」と見なされる事がある。
様々な工夫を凝らす余地が随所にある為、非常に多くのバリエーションが存在する。
歴史・変化
ハンバーグの起源は、ドイツ、ハンブルクで労働者向けの食事として流行っていたタルタルステーキを焼き固め、ソースをかけて味付けした料理からだといわれている。尚タルタルステーキは、13世紀頃にヨーロッパにまで攻め込んでいたモンゴロイド系民族のタタール人が食べた生肉料理を原型としている。
- 大航海時代、船内で備蓄されていた非常に硬い干し肉を乾燥前の状態に負けないくらい柔らかく美味しく調理する為に生み出された調理方法(ハンブルグ港を主な寄港先としていた船舶で最も盛んだった)が発祥という説も有る。
アメリカ合衆国では世界大戦中等牛肉のステーキは贅沢なのでハンバーグにかえるという運動もあったという。後にハンバーグのパテをパンズではさんだハンバーガーが大人気となりマクドナルド等ファストフードの大企業となった。
日本では縄文時代において、野鳥の卵とドングリ等の木の実、場合によっては鹿やイノシシ等の獣肉を混ぜた縄文クッキーと呼ばれる食品(の炭化物)が発見されており、獣肉が入った物は比較的「ハンバーグに似た」食品だと言う説も有る。
又1960年代以降の高度経済成長期には、栄養豊富な畜肉が比較的高価な食材であった為、しばしば安価なあわせ挽肉(鶏肉と豚肉等)を使ったこの料理を食卓に上らせる事で、豪華な夕食を演出できる事から、同年代以降の主婦が好んで夕食のメニューに取り入れた背景もあって、調理済みで後は焼くだけの物が発売されたりして、瞬く間に日本全国に広まった。更には1980年代頃から急速に多様化したレトルト食品(レトルト・ハンバーグ)の登場で、非常にありふれた料理や食材となった。レトルト食品のハンバーグでは、一度焼いたハンバーグをそのまま、又はソースと共に封入する事で、湯煎するだけで食卓に出す事ができる。
特にレトルト食品のハンバーグに関しては、調理が簡便である事と、少々の材料面における味の不備も漬け込むソースでフォローできる事、衛生的な生産工場(セントラルキッチン)による大量生産によって、非常に安価にできる事により、ファミリーレストランにおいては、主力メニューであると同時に、収益率の高い商品と成っている事が多い。尚、レストランによってはレトルト食品のハンバーグでは焼いた際のふっくら感が出し難い部分がある為に、焼く前の生のハンバーグを冷凍(又は冷蔵)してストックしておき、それを解凍して焼き上げる所も有る。今日のハンバーガーチェーン店では、この冷凍ハンバーグが広く使われている。
バリエーション
ハンバーグの素材として一般的な豚肉や牛肉以外に、他の食材を使う場合も有る。例えば鶏肉を使う等である。さらに、肉類を使わない、魚肉系の肉を使う物、豆腐をベースにした物等も有る。
刻んで入れる野菜に関しては、タマネギが最も多く用いられるが、ニンジンが入る事もあり、こちらはニンジンが苦手な児童でも喜んで食べる事ができるという物で、他にも児童が苦手とする野菜類の入った物もある。又シイタケを少量刻んで入れる事で風味が増す事が知られている他、半分に切って種を取り除いたピーマンに、焼く前のハンバーグの材料を詰め込む事で、肉詰めピーマンが作られる。
チーズをハンバーグの上に乗せたり中に詰めたものは、チーズバーグまたはチーズハンバーグと言うことも有る。トッピングとしてはその他に目玉焼き等も有る。 ハンバーグを別の料理に取り込む事で、その料理をより豪華にする事も可能である。ハンバーグカレーはその最たる物である。
類似した料理
同様の材料を大きな塊のままオーブンで焼き上げたものはミートローフ、一口で食べられる大きさにしたものはミートボールと呼ぶ。メンチカツの中身もハンバーグと共通している。
家庭で作るハンバーグ
家庭でハンバーグを作る際、幾つかの点で工夫すると、更に味が引き立つ。
生地
肉は牛や豚を単独で用いるよりも合挽き肉の方が両方の長所が引き立って良いとされる。また、多少手間がかかるもののみじん切りにしたタマネギを先に炒めてから生地に加えることでより甘みが増す。繋ぎのパン粉は市販のものよりも細かくちぎった食パンを牛乳等でふやかしたものを用いる方が味がまろやかになる。
加熱
大きなハンバーグを作る際、なかなか中心まで火が通らず、ひっくり返そうとして崩れてしまう事が有る。この場合、焼く前に皿に置いてラップを掛け、電子レンジで肉汁が滲み出すまで加熱して、その後に焼くと、ぶ厚い物も綺麗に焼け、中まで良く火がとおった物に仕上がる。電子レンジ加熱中に出た肉汁は肉の旨みを含んでいるので、ソースに利用する。
食中毒予防
O157等の食中毒を予防する為には、厚みを減らし中心部を充分加熱する(75℃で1分等)べきであるとされる。
関連項目
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