パケット定額制
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パケット定額制(-ていがくせい)とは、パケット通信料金を使った分だけ従量課金するのではなく、どれだけ使っても一定額となる、携帯電話・PHSの料金制度である。
この項目では主として、通信端末のうち音声通話用の端末(音声端末)を、音声端末単体で利用する際の料金プランについて説明する。
PC・PDA[1]において携帯電話端末を利用する形態[2]の場合、各社ともサービス体系や料金体系が異なる場合があるため、注意が必要である。これらによるデータ通信の定額制に関してはモバイルデータ通信定額制も併せて参照のこと。
目次 |
[編集] 概要 (日本)
日本国内では2005年7月現在、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルが提供中。
なお、現状通信方式はPHSおよび第三世代携帯電話(3G)に限られ、第二世代携帯電話(2G)でのパケット定額制のサービスは日本国内では存在しない。
パケット通信料金は主として、音声端末単体でウェブやメールサービス(AIR-EDGE PHONEやEZweb、i-mode、Yahoo!ケータイ)を使用する場合や、PC・PDA[1]において携帯電話・PHS端末を利用する形態[3]する場合にも課金される。
料金体系は、所定の基本料金とは別にオプション料としてパケット定額料が課金される。ただし、ウィルコムのAIR-EDGEやAIR-EDGE PHONEおよびイー・モバイルでは「基本料金プラン」の一つとしても定額制サービスが提供されている。
なお、パケット定額制には以下のような条件があるため、注意が必要である。
- ウィルコムのAIR-EDGEやAIR-EDGE PHONEおよびイー・モバイルを除き、定額となるのは音声端末単独での通信に限られ(2007年3月31日現在)、PC・PDA[1][4]において携帯電話端末を利用する形態[2]での通信は、通常の従量制課金が適用される。[5]
- パソコン向けウェブサイト が閲覧できるフルブラウザ(Opera等)を使った通信料も、パケット定額制の対象となる(2006年現在)[6]。ただし、一部キャリアでは通常の場合よりも上限額が割増となる。[7][4]フルブラウザの項も参照。
- 国際ローミング等による利用は通常、定額制の対象外が多い。
なお、NTTドコモPHSの@FreeD、および旧アステルグループ関連の関西・中国各地方の定額制PHSデータ通信サービス「eo64エア」・「MEGA EGG 64」、かつて存在したアステルグループのドットi[8] などはパケット通信ではないため、本項目では扱わない。これらについてはモバイルデータ通信定額制を参照のこと。
[編集] パケット定額制の歴史
適宜、パケット通信に関する事項を含む。
- 2003年4月1日 DDIポケット(現ウィルコム)が、AirH" PHONE(現AIR-EDGE PHONE)によりPHS音声端末によるパケット定額制サービス(つなぎ放題コース)を開始。
- (2001年8月29日より、PCカード型のAirH"対応データ通信端末向けにパケット定額制を導入済み。またそれ以降のAIR-EDGE PHONE以前にも、PCに接続してパケット通信の可能な音声端末(AirH"対応音声端末)も発売される。)
- 2003年11月28日 auがCDMA 1X WINのパケット定額制サービスEZフラットを開始。
- 2004年6月1日 NTTドコモがFOMAiモード通信のパケット定額制サービスパケ・ホーダイを開始。
- 2004年8月1日 auがEZフラットのサービスを改定、料金を3段階に分けた段階的料金制のパケット定額制サービスダブル定額を開始。
- 2004年11月21日 ボーダフォン(現・ソフトバンク)がVodafone 3G限定のパケット定額制サービスパケットフリーを開始。
- 2005年5月1日 auがパケット割WINのサービスを改定、ダブル定額ライトを開始。
- 2005年5月1日 auのフルブラウザ機能「PCサイトビューアー」を使った通信料がパケット定額制の対象に。
- 2005年6月1日 ボーダフォンがパケットフリーのサービスを改定、料金を3段階に分けた段階的料金制のパケット定額制サービスデュアルパケット定額を開始。
- 2005年7月1日 ウィルコムが音声通話定額制プラン契約者を対象に、パケット定額制サービス「リアルインターネットプラス[1x]」を開始。1x[9]通信方式。[10]
- 2005年11月25日 ウィルコムが音声通話定額制プラン契約者を対象に、料金を3段階に分けた段階的料金制のパケット定額制サービス「データ定額」を開始。4x通信方式。
- 2006年2月1日 ウィルコムが2xパケット方式を標準化、従来の1xと同等料金(パケット定額制を含む)で使用可能に。
- 2006年2月23日 ウィルコムが高度化PHSサービスW-OAMを開始、対応データ通信専用型端末も発売。パケット定額制も適用。
- 2006年3月1日 NTTドコモのFOMAパケット定額制サービスパケ・ホーダイがすべての新基本料金プランで組み合わせ可能に。
- 2006年8月31日 NTTドコモのFOMAパケット定額制サービスパケ・ホーダイがHSDPAサービス(iモード音声端末上)でも使用可能に。
- 2007年3月1日 NTTドコモがFOMAでのフルブラウザ機能(iモード音声端末上)を使ったパケット定額制サービスパケ・ホーダイフルが開始。
- 2006年12月14日 以降、ウィルコムのW-OAM対応音声端末が順次発売され、音声端末単体でもW-OAM通信が利用可能に。
- 2007年3月31日 イー・モバイルがPDA内蔵型端末およびデータ通信専用型端末によるパケット定額制サービスを開始。
- 2007年4月5日 ウィルコムが高度化PHSサービスW-OAM typeGを開始。対応データ通信専用型端末も同日発売。
- 2007年春 NTTドコモがiモード非対応のスマートフォンでのパケット定額制サービスBiz・ホーダイを開始予定。
[編集] キャリア別トータルコストの比較
キャリア | 基本料+ウェブ使用料 | 定額オプション | フルブラウザ | 外部利用 | 従量制部分のパケット単価 | 合計 | 単独契約・年間契約・初年度での割引適用後の金額 (さらに他の割引の適用後) |
無料通話分 | 最大通信速度(下り)・備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ウィルコム | 2,900円 (ウィルコム定額プラン) |
2,100円 (リアルインターネットプラス) |
なし | 5,000円 | 5,000円 (ファミリーパック 2台目以降/マルチパック:4,300円) |
0円 | 102kbps(2x/W-OAM)、64kbps(2x)。 音声通話定額制も適用。 |
||
3,800円~ 1,050円 (データ定額) |
上限6,300円 | 0.0105円 | 6,700円[11]~ 3,950円 |
6,700円[11]~3,950円 (ファミリーパック2台目以降/マルチパック:6,000円[12]~3,250円) |
204kbps(4x/W-OAM)、128kbps(4x)。 音声通話定額制も適用。 |
||||
6,090円 (つなぎ放題) |
0円 | なし | 6,090円 | 5,176円 (A&B割:4,263円 A&B割+複数(家族)割引:4,053円 マルチパック:3,400円) |
102kbps(2x/W-OAM)、64kbps(2x)。 | ||||
9,765円 (つなぎ放題[4x]) |
9,765円 | 8,851円 (A&B割:7,938円 A&B割+複数(家族)割引:7,728円 マルチパック:7,100円) |
204kbps(4x/W-OAM)、128kbps(4x)。 | ||||||
NTT DoCoMo |
3,780+210円 (タイプSS+i-mode) |
4,095円 (パケ・ホーダイ) |
5,985円 (パケ・ホーダイフル) |
対象外[4] | なし | 8,085円[13] | 7,707円[14] (新いちねん割引+ファミリー割引:6,762円) |
1,050円 | 3.6Mbps(FOMAハイスピード)/384kbps。 |
au | 3,780+315円 (プランSS+EZweb) |
4,410~1,050円 (ダブル定額ライト) |
上限5,985円[15] | 対象外 | 0.084円 | 8,505[16]~5,145円 | 7,938[17]~4,578円 (MY割/年割+家族割:7,125[18]~3,765円) |
1,050円 | 3.1Mbps(EV-DO Rev.A)/2.4Mbps(EV-DO Rel.0)/144kbps(1X)。 |
ソフトバンク | 980+315円 (ホワイトプラン+Yahoo!ケータイ) |
4,410~1,029円 (パケットし放題) |
上限5,985円[19] | 対象外[4] | 0.084円 | 5,705[20]~2,324円 | 5,705[20]~2,324円(割引対象外) | 0円 | 3.6Mbpsまたは1.8Mbps(3Gハイスピード)/384kbps。 音声通話定額制も適用。 |
(表注)
- 表記の基本プランは、定額サービス適用可能な最安料金プラン。
- 加入に年齢制限のあるプランは現時点では除外している。
- 「m~n円」の低い方の額はパケット量が少ない場合の最低額。
- 「外部利用」とは、PC・PDA[1]において携帯電話・PHS端末を利用する形態[3]での通信を言う。
- なお、端末単体によるEメールの送受信もパケット定額制の対象となる。ただし、料金プラン・オプションによりメール定額制が適用される場合(例えば、ウィルコム定額プラン、ゴールドプラン、ホワイトプランなどはそれ単体でメール定額制が適用される)には、Eメール送受信のパケット数は、通常、段階的定額制(データ定額、ダブル定額、パケットし放題)における従量制部分のパケット数にカウントされない。詳細はメール定額制を参照。
- ソフトバンクでは、下記のものの他にもそれぞれのプランにより併せて4種類のパケット定額制サービスを選択できる。SoftBank 3G#課金体系を参照のこと。
- ウィルコムの「外部利用」には課金上、端末単体でのAIR-EDGE PHONEセンター以外のISPでの接続を含む。また、ISPの料金は別途必要。
- イー・モバイルは2007年3月31日現在、サービスはPDA内蔵型端末およびデータ通信専用型端末(前述の「外部利用」形態)に限られるため、本表からは除外している。これについてはモバイルデータ通信定額制を参照のこと。
[編集] 脚注
- ^ a b c d ここでは、スマートフォンはPDAに含める。
- ^ a b 携帯電話端末や携帯電話データ通信専用型端末を、をPC・PDAに接続して利用する、携帯電話通信端末を内蔵したPC・PDAにおいて利用するなど
- ^ a b 携帯電話・PHSの通信端末(データ通信専用型端末を含む)をPC・PDAに接続して利用する、通信端末を内蔵したPC・PDAにおいて利用するなど
- ^ a b c d NTTドコモのBiz・ホーダイ適用端末、およびソフトバンクモバイルのPCサイトダイレクト適用端末ではそれぞれの(別途の)定額制が適用される。これについてはモバイルデータ通信定額制を参照のこと。
- ^ ただし、2005年7月25日より、MVNOによる法人向けVPNアクセス回線限定ながら、ソフトバンクモバイルの第三世代携帯電話 (3G) 回線でのPC等外部接続の定額制が日本通信より提供開始された。[1] [2]
- ^ 以前は同フルブラウザにおいてパケット定額制の対象とならない事があった。パケ死の項目を参照。
- ^ 一部キャリアでは音声端末フルブラウザの場合と、PDA・スマートフォンの場合とでパケット定額制の料金体系が異なる場合がある。後者についてはモバイルデータ通信定額制も参照のこと。
- ^ [3]
- ^ nxのnは束ねるマルチリンクの数。
- ^ 開始当時は1xであったが、2x標準化(2006年2月1日)とともに、サービス名称も「リアルインターネットプラス」と変更され、2x方式までの提供にサービス改訂された。
- ^ a b 「外部利用」の場合上限は9,200円となる。
- ^ 「外部利用」の場合上限は8,500円となる。
- ^ フルブラウザ利用の場合は9,975円となる。
- ^ フルブラウザ利用の場合は9,597円となる。
- ^ PCサイトビューアーを利用の場合。
- ^ フルブラウザ利用の場合上限は10,080円となる。
- ^ フルブラウザ利用の場合上限は9,513円となる。
- ^ フルブラウザ利用の場合上限は8,700円となる。
- ^ PCサイトブラウザを利用の場合。
- ^ a b フルブラウザ利用の場合上限は7,280円となる。