ヘルムート・コール
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ヘルムート・ヨーゼフ・ミヒャエル・コール(Helmut Josef Michael Kohl, 1930年4月3日 - )は、ドイツの政治家。連邦首相(在任: 1982年 - 1998年)。東西に分裂したドイツが、再び統一された時、首相の座にあった。
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[編集] 経歴
1930年4月3日、ドイツのルートヴィヒスハーフェンにカトリック教徒の家庭に生まれた。1946年にキリスト教民主同盟(CDU)に入党した。その後、フランクフルト大学およびハイデルベルク大学で学び、歴史学と哲学で博士号を取得する。1969年から1976年までラインラント=プファルツ州の州首相。その後、連邦議会議員となり、ドイツ社会民主党(SPD)政権に対する野党であったCDUを率いた。
1982年10月1日コール率いるCDUは、SPDのヘルムート・シュミット首相に対して、建設的内閣不信任案を提出、これに自由民主党 (ドイツ)が同調し、戦後、唯一建設的内閣不信任案により政権を奪取し、連邦首相の地位を獲得することに成功した。長らく地方政界にあり、前任者のヴィリー・ブラントやシュミットと比較して国際政治に通暁していないとしてコールの手腕を不安視する向きもあったが、結果として、1998年まで政権の座にあり、オットー・フォン・ビスマルク以来の在任期間の記録を保持した。
コールの最大の政治的業績は、1989年11月9日にベルリンの壁崩壊によって始まったドイツの再統一(ドイツ再統一)である。ヨーロッパでは、二度の世界大戦の経験から、中欧に統一されたドイツの誕生を警戒する声もあった。また、西ドイツ国内を中心に経済的に格差のある東ドイツを吸収することに対する負担の大きさを危惧する意見も多かった(この点は、統一後も大きな問題として残った)。しかし、コールは、ドイツ統一の好機を逃すこと の不利を説き、一気呵成に統一を推進した。コールは、ヨーロッパ統合推進派として、統一ドイツをヨーロッパ連合及び、NATOの枠内に位置づけすることで各国首脳の合意を得ることに成功した。
ドイツ統一の立役者として、コールの政治的威信は頂点に達した。しかし、CDUがコールの指示の下、不法な政治資金を調達したことが発覚し、ドイツ統一の功労者としての立場も一転して地に墜ちた。
[編集] 第一次コール内閣(1982年10月4日 - 1983年5月29日)
- 首相 - ヘルムート・コール(CDU)
- 副首相兼外相 - ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー (FDP)
- 国防相 - マンフレート・ヴェルナー (CDU)
- 内相 - フリードリヒ・ツィンマーマン (CSU)
- 蔵相 - ゲルハルト・シュトルテンベルク (CDU)
- 法相 - ハンス・エンゲルハルト (FDP)
- 経済相 - オットー・グラーフ・ラムスドルフ (FDP)
- 労働社会問題相 - ノルベルト・ブリューム (CDU)
- 食糧農業森林相 - ヨーゼフ・エルトル (FDP)
- 運輸相 - ヴェルナー・ドーリンガー (CSU)
- 建設相 - オスカー・シュナイダー (CSU)
- 青年・家族・保健(厚生)相 - ハイナー・ガイスラー (CDU)
- 研究(調査)技術相 - ハインツ・リーゼンフーバー (CDU)
- 教育科学相 - ドロシー・ヴィルムス (CDU)
- 経済協力相 - ユルゲン・ヴァルンケ (CSU)
- 郵政コミュニケーション相 - クリスティアン・シュヴァルツ=シリンク (CDU)
- ドイツ問題相 - ライナー・バルツェル (CDU)
[編集] 第二次コール内閣( 1983年5月29日 - 1987年5月11日)
- 首相 - ヘルムート・コール (CDU)
- 副首相兼外相 - ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー (FDP)
- 国防相 - マンフレート・ヴェルナー (CDU)
- 内相 - フリードリヒ・ツィンマーマン (CSU)
- 蔵相 - ゲルハルト・シュトルテンベルク (CDU)
- 法相 - ハンス・エンゲルハルト (FDP)
- 経済相 - オットー・グラーフ・ラムスドルフ (FDP)/マルティン・バンゲマン (FDP)(1984年6月27日から)
- 労働者社会問題相 - ノルベルト・ブリューム (CDU)
- 食糧農業森林相 - イグナッツ・キーヒェル (CSU)
- 運輸相 - ヴェルナー・ドーリンガー (CSU)
- 建設相 - オスカー・シュナイダー (CSU)
- 青年・家族・保健相 - ハイナー・ガイスラー (CDU)/リタ・スースムート (CDU) (1985年9月26日から。1986年6月6日から、青年・家族・婦人・保健相)
- 研究技術相 - ハインツ・リーゼンフーバー (CDU)
- 教育科学相 - ドロシー・ヴィルムス (CDU)
- 経済協力相 - ユルゲン・ヴァルンケ (CSU)
- 郵政コミュニケーション相 - クリスティアン・シュヴァルツ=シュィリンク (CDU)
- ドイツ問題相 - ハインリヒ・ヴィンデーレン (CDU)
- 環境・自然保護・原子力安全相(1986年6月6日新設) - ワルター・ワルマン
- 15 November 1984 - ヴォルフガング・ショイブレ (CDU) enters the ministry as Minister of Special Tasks
[編集] 第三次コール内閣(1987年5月12日 - 1991年1月17日)
- 首相 - ヘルムート・コール(CDU)
- 副首相兼外相 - ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー (FDP)
- 国防相 - マンフレート・ヴェルナー (CDU)/ルパート・ショルツ (CDU) (1988年5月18日から)/ゲルハルト・シュトルテンベルク (CDU) 1989年4月21日から)
- 内相 - フリードリヒ・ツィンマーマン (CSU)/ヴォルフガング・ショイブレ (CDU)(1989年4月21日から)
- 蔵相 - ゲルハルト・シュトルテンベルク (CDU)/テオ・ヴァイゲル(テオ・ワイゲル)(CSU) (1989年4月21日から)
- 法相 - ハンス・エンゲルハルト (FDP)
- 経済相 - マルティン・バンゲマン (FDP)/ヘルムート・ハウスマン (FDP) (1988年12月9日から)
- 労働社会問題相 - ノルベルト・ブリューム (CDU)
- 食糧農業森林相 - イグナッツ・キーヒェル (CSU)
- 運輸相 - ユルゲン・ヴァルンケ (CSU)/フリードリヒ・ツィンマーマン (CSU)(1989年4月21日から)
- 建設相 - オスカー・シュナイダー (CSU)/ゲルダ・ハッセルフェルト (CSU))(1989年4月21日から)
- 青年・家族・婦人・保健相 - リタ・スースムート (CDU)
- 研究技術相 - ハインツ・リーゼンフーバー (CDU)
- 教育科学相 - ユルゲン・メレマン (FDP)
- 経済協力相 - ハンス・クライン (CSU)/ユルゲン・ヴァルンケ(CSU)(1989年4月21日から)
- 環境・自然保護、原子力安全相 - ワルター・ワルマン (CDU)/クラウス・ケプファー (CDU)(1987年4月22日から)
- 無任所相 - ヴォルフガング・ショイブレ (CDU)
- 郵政コミュニケーション相 - クリスティアン・シュヴァルツ=シリンク (CDU)
- ドイツ問題相 - ドロシー・ヴィルムス (CDU)
- 無任所相 - ハンス・クライン(CSU) (1989年4月21日から)
- 無任所相 - ルドルフ・ザイタース (CDU)(1989年4月21日から)
- 無任所相(以下の5人は旧東独閣僚) - ロタール・デメジエール (CDU)((1990年10月3日から1990年12月19日まで), サビーネ・ベルグマン=ポール (CDU), ギュンター・クラウス (CDU), ライナー・オルトレープ (FDP), ハンス・ヨアヒム・ワルター (ドイツ社会同盟・DSU)(1990年10月3日から)
[編集] 第四次コール内閣(1991年1月18日 - 1994年11月15日)
- 首相 - ヘルムート・コール (CDU)
- 副首相兼外相 - ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー (FDP)(1992年5月18日まで)
- 副首相 - ユルゲン・メレマン (FDP)(1992年5月18日から)
- 外相 - クラウス・キンケル (FDP)(1992年5月18日から、1993年1月21日からは副首相兼務)
- 国防相 - ゲルハルト・シュトルテンベルク (CDU)/フォルカー・リューエ (CDU)(1992年4月1日から)
- 内相 - ヴォルフガング・ショイブレ (CDU)/ルドルフ・ザイタース (CDU)( 1991年11月26日から)/マンフレート・カンター (CDU)(1993年7月7日から)
- 蔵相 - テオ・ヴァイゲル (CSU)
- 法相 - クラウス・キンケル (FDP)/サビーネ・ロイトホイッサー=シュナーレンベルガー (FDP)(1992年5月18日から)
- 経済相 - ユルゲン・メレマン (FDP)/ギュンター・レックスロート (FDP)(1993年1月21日から)
- 労働社会問題相 - ノルベルト・ブリューム (CDU)
- 食糧・農業・森林相 - イグナッツ・キーヒェル (CSU)/ヨッヒェン・ボルヒャート (CDU)(1993年1月21日から)
- 運輸相 - ギュンター・クラウス (CDU)/マティアス・ヴィスマン (CDU) (1993年5月13日から)
- 建設相 - イルムガルド・アダム・シュヴァイツアー (CSU)
- Minister of Family and Senior Citizens - ハンネローレ・レンシュ (CDU)
- 婦人青年相 - アンゲラ・メルケル (CDU)
- 保健相(厚相) - ゲルダ・ハッセルフェルト (CDU)/ホルスト・ゼーホーファー (CSU)(1992年5月6日から)
- 研究技術相 - ハインツ・リーゼンフーバー (CDU)/マティアス・ヴィスマン (CDU) (1993年1月21日から)/パウル・クリューガー (CDU) (1993年5月13日から)
- 教育科学相 - ライナー・オルトレープ (FDP)/カール・ハンス・ラエルマン (FDP) (1994年2月4日から)
- 経済協力相 - カール・ディーター・シュプランガー (CSU))(1993年1月21日から、経済協力開発相)
- 環境・自然保護・原子力安全相 - クラウス・テップファー (CDU)
- Minister of Special Tasks - ルドルフ・ザイタース (CDU)/フリードリヒ・ボール (CDU)(1991年11月26日から)
- 郵政コミュニケーション相 - クリスティアン・シュヴァルツ=シリンク (CDU)/ヴォルフガング・ベッシュ (CSU)(1992年12月17日から)
[編集] 第五次コール内閣(1994年11月15日 - 1998年10月27日)
- 首相 - ヘルムート・コール (CDU)
- 副首相兼外相 - クラウス・キンケル (FDP)
- 国防相 - フォルカー・リューエ (CDU)
- 内相 - マンフレート・カンター (CDU)
- 蔵相 - テオ・ヴァイゲル (CSU)
- 法相 - サビーネ・ロイトホイッサー=シュナレンベルガー (FDP)/エドザルド・シュミット=ヨルトジーク (FDP)(1996年1月17日から)
- 経済相 - ギュンターレックスロート (FDP)
- 労働社会問題相 - ノルベルト・ブリューム (CDU)
- 食糧・農業・森林相 - ヨッヒェン・ボルヒャート (CDU)
- 運輸相 - マティアス・ヴィスマン (CDU)
- 建設相 - クラウス・テップファー (CDU)/ エドワルド・オスヴァルド(1998年1月14日から)
- 家庭・Senior Citizens・婦人・青年相 - クラウディア・ノルテ (CDU)
- 保健相 - ホルスト・ゼーホファー (CSU)
- 教育・科学・研究・技術相 - ユルゲン・リュットゲルス (CDU)
- 経済協力開発相 - カール・ディーター・シュプランガー (CSU)
- 環境・自然保護・原子力安全相 - アンゲラ・メルケル (CDU)
- Minister of Special Tasks - フリードリヒ・ボール (CDU)
- 郵政コミュニケーション相 - ヴォルフガング・ベッシュ (CSU)(1997年12月31日まで)
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