ラインメタルFG42自動小銃
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正式名称 | ラインメタルFG42自動小銃 |
全長 | 93.7cm(1) / 106.0cm(2) |
銃身長 | 50.8cm(1) / 52.5cm(2) |
重量 | 4.5kg(1) / 4.9kg(2) |
口径 | 7.92mm×54 |
装弾数 | 10発/20発(弾倉式) |
発射速度 | 毎分900発(1) / 600発(2) |
製造国 | ドイツ |
製造 | ラインメタル社他 |
FG42 (Fallschirmjagergewehr 42) は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した自動小銃である。「クレタ島の戦い」の経験から、軽量の機関銃を求めていた降下兵用に開発された。他の国家はこの時、例えばブレン軽機関銃のような、大量の軽機関銃 (LMG) を展開していたが、当時のナチス・ドイツにはこのような兵器はなかった。降下兵は限られた数のMG34を使用していたが、これは他国のLMGよりも重いので、個人用兵器としてKar98kライフル銃とMP40短機関銃の中間の武器を求めていた。その結果、FG42が開発された。この銃は単発をオートマチックで発射できるだけでなく、連射することもできたので、軽支援火器として使用できた。この武器の開発はヘルマン・ゲーリング (Herman Göring) が許可した。
目次 |
[編集] 開発
FG42は、クレタ島の戦いで大打撃を受けた降下兵の要求に応える形で開発された。ドイツ陸軍 (Heer) とナチス親衛隊 (Waffen SS) ではGew41とGew43半自動小銃が支給され始めたが、ドイツ空軍 (Luftwaffe) の総指揮官であったヘルマン・ゲーリングは、彼が指揮する降下兵 (Fallschirmjäger) のために、さらに進化した自動火器が必要であると強調した。要求として、降下兵が空挺降下時に個別に所持するのに十分な軽さであること、自動小銃を実現すること、必要な時はライフル銃としての役割も果たせることであった。6社の製造者が製造契約を与えられたが、実際に製造されたのは数千丁だけであった。
FG42-2(または、FG42マークII)が開発されている間までに、戦況は著しく悪化してきた。連合軍の頻繁な爆撃は、ナチス・ドイツの体力を削っていった。生産することができた武器は、二流の材料と貧弱な生産方式に限られた。総数で約5,000丁が生産され、限られた兵だけにしか供給されなかった。この武器は高価な失敗作と見なされ、製造ラインはより効果的で安価な武器、たとえばkar98kやMP40、MG42のようなものに取って代わられた。
[編集] 実戦試験
FG42は、ドイツの武器製造ラインの隙間を縫って製造され、テストのために降下兵に支給された。しかし、いくつかの弱点が判明した。FG42は10発、時には20発入りのマガジンを側面に装填する方式であった。この側面装填方式は、他の同年代の武器同様に一般的だったが、この方式は著しくFG42のバランスを崩すことが判明した。比較的短い銃身のため、FG42は威力が低く射程距離が短いことも判明した。また、他の軽火器に比べ、7.92mm × 57モーゼル弾がもたらす銃口からのマズルフラッシュ(発射炎)が大きいため、射手の位置を簡単に悟られてしまい、さらにFG42の射手の視界をも遮ってしまった。現代の兵器ではこのようなことがないように、スプリッタを取り付けることでマズルフラッシュを側面に出し、視界を遮ることがないように工夫されている。付け加えると、この実体の大きいライフル弾は、特に伏射の時に激しい反動をもたらした。
[編集] 実戦とその後
FG42は、実戦配備するには良いことずくめでない、とされてきた設計上の特徴を組み込んだ。単射(セミオート)で射撃した場合、伝統的なクローズド・ボルト式となるが、連射(フルオート)で射撃した場合にはオープンボルト式となる。この設計は非常に高く付き、ただでさえ限られた製造ラインに技術上の問題をもたらした。この銃が5,000丁程度しか作られず、限られた兵士にしか渡されなかったのはこのためである。オットー・スコルツェニーに率いられたコマンド部隊の兵士達が、この武器を最初に使用して、イタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニ救出作戦に参加した。前述のように、この武器は高価な失敗作と見なされ、より有用なMP43/44/StG44に取って代わられた。
他の特徴として、ガスオペレーション式のボルト選択機構は、戦後のアメリカ陸軍の技術者達にとって大変参考になった。FG42とMG42の特徴を参考にして設計されたサコーM60軽機関銃では、参考にした銃器と似たようなトラブルが報告された。
[編集] FG42が登場するメディア作品
- CALL OF DUTY(Windows用ゲーム)
- Wolfenstein:Enemy Territory(マルチプレイ専用フリーソフト)
- HELLSING(平野耕太) ミレニアム大隊が使用。
- 犬狼伝説(漫画・藤原カムイ・押井守作) ハイジャック事件において空港で特機隊が対峙した警視庁の特殊部隊が使用。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Modern Firearms (英語)
- U.S WWII Intelligence Report on FG42 (英語)
- FG42 (英語)