オットー・スコルツェニー
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オットー・スコルツェニー(Otto Skorzeny, 1908年6月12日 ウィーン - 1975年7月5日 マドリッド)は、オーストリア出身の軍人。第二次世界大戦中の武装親衛隊の士官。最終階級は親衛隊中佐。
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[編集] プロフィール
[編集] 生い立ち
スコルツェニーはウィーンの中産階級の家庭に生まれた。姓はポーランド語のスコジェンニ (Skorzenny) かチェコ語のスコジェニー (Skořený) に由来する。1920年代の学生時代にはフェンシングの選手としてウィーンで名が知られていた。彼は15回の個人的な決闘を行い、10回目の決闘で頬に大きな傷を残した。
[編集] 軍人
1931年にオーストリア・ナチ党に加わり、すぐに突撃隊に入隊した。彼は始めから指導者としての適性を示した。1938年3月12日のドイツのオーストリア合邦の時、彼はヴィルヘルム・ミクラス大統領 (Wilhelm Miklas) をナチ党の暴漢から守った。
一年後に第二次世界大戦が始まり、土木技師の職にあったスコルツェニーは空軍に志願したが、年齢が30歳を越えていたため入隊できず、彼は武装親衛隊に加わった。1940年2月21日、彼は有名なLAH（Leibstandarte Adolf Hitler：アドルフ・ヒトラー親衛部隊の意）連隊の一員として実戦に参加し、1941年から42年には東部戦線で戦った。彼は負傷し1942年12月にドイツに帰国した。
[編集] ムッソリーニ救出作戦
スコルツェニーは退院した後、ヒトラーが創設を要望していたコマンド部隊の指揮官として友人に推薦された。彼は、1943年7月に空軍と陸軍の候補者の中からヒトラーによって個人的に選ばれ、権力を奪われて何処かに幽閉されたムッソリーニ救出作戦「アイヒ（柏）作戦」の指揮を執る。
イタリア軍は救出を妨げるため、ムッソリーニを様々な場所に移動させたが、9月12日、スコルツェニーは幽閉場所を突き止め、アペニン山脈の山頂にグライダー降下し、そこにあるグラン・サッソホテルからムッソリーニを無傷で救出した。この功績で彼は親衛隊中佐に昇進し騎士十字章を受章した (Unternehmen Eiche)。
[編集] レッセルシュプルング作戦
1944年5月25日、レッセルシュプルング（桂馬跳び）作戦 (de) が行われた。彼の任務はユーゴスラビアのパルチザン指導者、ヨシップ・ブロズ・チトーをドラヴァルの近くの司令部から誘拐し、バルカン半島における共産主義抵抗勢力を壊滅させることであった。彼の部隊が司令部のある洞窟に到達したときチトーは数分前に脱出した後であった。
[編集] ヒトラー暗殺計画
1944年7月20日にヒトラー暗殺計画が実行された時、彼はベルリンにいた。クーデター派が重要機関を占拠しようとしたが、彼は反乱の鎮圧に協力し、反乱は36時間で鎮圧された。
[編集] アイゼンファウスト作戦
1944年10月、ヒトラーはスコルツェニーをハンガリーに送った。ハンガリー摂政ホルティ・ミクローシュは密かにソ連との講和を策していた。講和によってバルカン半島で戦う100万のドイツ軍将兵がドイツ本国から遮断される恐れがあり、スコルツェニーはアイゼンファウスト（鉄の拳）作戦 (en) と名付けられたホルティの息子ニコラスを誘拐し摂政を辞任させる作戦を実行した。作戦は成功し1945年4月までハンガリーには親ドイツ政権が存続した。
[編集] ヨーロッパで最も危険な人物
1944年10月21日、ヒトラーはアーヘンでアメリカ軍が鹵獲したドイツ戦車を自軍に使用したことからある作戦を思いつき、スコルツェニーをベルリンに呼び出し、アメリカ軍に偽装した戦車部隊の編制・指揮を命じた。スコルツェニーは、この作戦をグライフ作戦 (en) と名付けた。これはアメリカ軍の軍服を着た20名以上のドイツ兵が鹵獲したジープに分乗し、M-10駆逐戦車に偽装したパンター戦車、アメリカ軍塗装を施したIII号突撃砲などを率いて、戦線の後方に侵入してアメリカ軍を攪乱させる作戦である。ドイツ軍の最後の大反攻となったバルジの戦いでスコルツェニーの編制した特殊部隊はアメリカ軍を恐怖に陥れた。一部の兵士は捕らえられたが、嘘の自白によって部隊がパリを襲撃し、アイゼンハワーを誘拐または暗殺することが目的である、といった噂を広げた。アメリカ軍はアイゼンハワーの警備を厳重にし、アイゼンハワーは何週間も司令部に閉じこめられることとなった。このときスコルツェニーは「ヨーロッパで最も危険な人物」と呼ばれた。
この作戦の終了後、彼は1945年の2月までソ連軍の押し寄せるドイツ東部を防衛のため陸軍部隊を指揮した。
[編集] 捕虜
スコルツェニーは5月に連合国に降伏し、2年間捕虜として収容された。バルジの戦いでアメリカ軍の軍服を着用して偽装したことが戦時犯罪として訴えられたが、連合軍も同様な作戦を実施していたとの弁護から無罪の判決が出た。しかし、彼は釈放を待つまでもなく1948年7月27日に捕虜収容所から脱走した。
[編集] 亡命
彼はファシスト・スペインの独裁者フランシスコ・フランコから与えられたパスポートでスペインに定住し、エンジニアとして戦前の仕事を再開した。1952年に彼はドイツ政府から「ナチではない」と宣言され、海外旅行が可能となった。後に彼はエジプトの独裁者ガマール・アブドゥン＝ナーセルおよびアルゼンチンのフアン・ペロン大統領のコンサルタントとして働き、元ナチス親衛隊員の互助組織とされるオデッサで友達のうちの数人を支援したと噂された。 スコルツェニーは富豪となり、1975年にマドリッドでがんのため死去した。
